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日本で最も人気のあるSUPER GTレースで勃発した「au vs. NTT Com」の戦い
2021年4月13日 06:00
日本で最も人気のあるモータースポーツでキャリア対決?
日本では数多くのモータースポーツが行なわれているが、その中でも日本有数の集客を誇るレースシリーズとして知られているのが年間全8戦で争われる「SUPER GT」。500馬力相当のGT500マシンと300馬力相当のGT300マシンが混走するのが特徴で、速いGT500マシンは多くのGT300マシンを抜きながらレースに勝利しなければならない。また、ドライバー交代制の耐久レースであるほか、勝てば勝つほどサクセスウェイトという重量ハンデが課せられる。そのため、勝ち続けることが実質的にとても難しいルールとなっていて、単純に勝てばよいというものではないのが面白さにつながっている。
年間を戦略性を持って戦っていかないと、シリーズ中盤に重くなりすぎて勝つチャンスが見込めないことにもなり、ある意味過酷なレースでもある。
このSUPER GTに長年チームスポンサーとして活動しているのがau(KDDI)だ。auは2016年から強豪チームであるトムスの36号車をスポンサード。現在は36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組)として参戦している。
この世界的にも知られるSUPER GTに、2021年シーズンから本格参戦したのがルーキーレーシング。このルーキーレーシングは、トヨタ自動車代表取締役社長である豊田章男氏が個人的に設立したレーシングチームで、豊田章男氏はルーキーレーシングのチームオーナーという立場になる。
そしてこのルーキーレーシングとレーシングフィールドでのICTを活用した実証実験を実施するためにテクノロジーパートナー契約を締結したのがNTTコミュニケーションズ。スーパーフォーミュラもサポートするのだが、GTにおいては14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)をサポートする。これにより、SUPER GTにおいては同じGR Supraによるau vs. NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の対決が実現することになった。
激しいバトルの続いたau vs. NTT Com
4月11日、その初戦となる第1戦岡山の決勝レースが岡山国際サーキットで行なわれた。予選で上位となったのは、14号車 ENEOS X PRIME GR Supra。36号車 au TOM'S GR Supraは予選3位からのスタートとなっていた。決勝レースでは、どちらもトップを走る37号車 KeePer TOM'S GR Supraを追いかける展開だが、33周目にGT300車両がスピンしてコースにストップ。各車が一斉にドライバー交代のためにピットインする事態に。その混乱のさなか、37号車がピットイン作業に手間取り14号車 ENEOS X PRIME GR Supraがトップでピットアウト。36号車 au TOM'S GR Supraが2位で続き、直接対決の幕が開けた。
レースは40周目にリスタートし、14号車 ENEOS X PRIME GR Supraと36号車 au TOM'S GR Supraのバトルが始まった。14号車 ENEOS X PRIME GR Supraのリアウィング翼端板にはNTT Comのロゴが入っており、まさにNTT Comをauが追いかける展開。36号車 au TOM'S GR Supraをドライブする坪井翔選手のペースがよく、なんども14号車に並びかけるものの、抜くまでには至らない。
75周目のヘアピンコーナーで坪井選手はアウト側からブレーキを遅らせて抜きにかかるが、レース終盤のためタイヤが耐えきれずコースアウト。坪井選手はコースに戻ることができたものの14号車との差が8秒以上開き、82周のゴールを迎えた。
初戦はNTT Comがサポートする14号車が勝利したものの、23ポイントを獲得。一方2位となったauの36号車は15ポイントを獲得。第6戦まではポイント×2kgのサクセスウェイトを課せられるので、5月3日~4日に開催される第2戦富士ではNTT Comの14号車が46kg、auの36号車が30kg重くなる。しかも、第2戦富士は500kmの長丁場なので、重さは戦いの厳しさへとつながっていく。
これまでSUPER GTへのキャリア参戦といえばauが代表だったが、NTT Comの参戦により、違った目で戦いを見ることができる。シーズンを通しての戦いを楽しみにしてほしい。