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ソニー、ダイナミック周波数共用で秒周期の基地局制御に成功

 ソニーは、同一周波数帯の異なる無線システム間で動的に周波数帯を共有するダイナミック周波数共用(Dynamic Spectrum Access、DSA)技術を開発し、1分未満の秒周期で周波数の割り当てや制御などを行うことに成功したと発表した。

 ダイナミック周波数共用技術は、無線システムで利用されている電波の利用状況をデータベースで一元管理し、時間や場所(空間)ごとに空いている周波数帯域を、電波干渉を抑制しながら別の事業者や利用者に割り当てることを可能にする技術。日本国内でも、5Gなどの普及に向けた電波資源の有効活用策として研究開発が進められ、総務省では2021年度の実用化をめざしている。

 ソニーは4月、総務省より実験試験局免許を受領し、2.3~2.4GHz帯(TD-LTEではBand 40)に対応したLTE基地局をソニーシティ大崎(東京都品川区)に複数設置。LTE対応のスマートフォンを用いた動画像の伝送試験などの各種実証実験を、米国のDSA制度「CBRS(Citizens Broadband Radio Service)」に準拠する周波数管理データベースシステム(Spectrum Access System、SAS)を同周波数帯に対応させたものを用いて実施してきた。

 同社は今回、同環境による基地局の遠隔制御の高速化技術を開発し、複数の基地局で送信周波数の変更や最大送信電力などの各種パラメーターの変更指示の反映までにかかる周期を、世界で初めて60秒未満という短時間で実現することに成功した。

 周波数割り当てなどの変更が反映されるまでには、複数のSAS管理者間でデータ同期をとることから通常は数時間~数日を要し、従来の運用では更新周期が1日単位となっていたが、これを1分以内の秒周期に短縮できることが実証された。

 なお、同社はすでに米国連邦通信委員会(FCC)より、3.5GHz帯(TD-LTEではBand 48)の周波数管理サービスの商用提供の認可を受け、米国でSASの運用を行っている。

 現在は、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(カリフォルニア州カルバーシティ)の敷地内に同システム管理のプライベートネットワークを展開し、新規アプリケーション開発への応用検討を進めている。今後、ソニー・ヨーロッパのUK Technology Centre(英国ペンコイド)においても、同様の実地検証を行う予定。