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OPPO、最新の高速充電技術を発表、20分で満充電を実現

 OPPOは、15日に同社独自の急速充電技術「VOOC」(ヴォーク)に関するオンライン発表会を開催した。

 そのなかで、対応端末を約20分で満充電まで充電できる「OPPO 125W flash charge」と、65Wでワイヤレス充電できる「OPPO 65W AirVOOC」の2つの高速充電技術と、小さいサイズの急速充電アダプター「OPPO 50W mini SuperVOOC charger」と「OPPO 110W mini flash charger」を発表した。発売日はいずれも未定。

20分で満充電、125Wの充電を実現する「OPPO 125W flash charge」

 「OPPO 125W flash charge」は、USB Type-CのPPS(Programmable Power Supply)の充電規格を利用したOPPO独自の充電プロトコル。125Wでの充電を実現し、電池容量が4000mAhのスマートフォンを、5分で41%まで充電、20分で満充電できるという。

 試作中の充電アダプターは、同プロトコルによる最大125W出力や、SuperVOOCの65W、VOOCの30W、PDの65W、QCの36W出力をサポートする。同プロトコル対応端末以外でも同充電器で最適な充電をサポートするという。

 充電する端末の電池セルには新たに「Multiple-Tab Double 6C Cell」を開発。また、充電回路のチャージポンプを3つ平行に組み込むことで98%の変換効率となった。

 充電中の温度については、充電回路や電池には、既存の4個の温度センサーに加えて、10個の温度センサーを新たに配置し、温度を常にモニタリングしている。温度が40度以上にならないように電流を制御しているという。

 このように、同プロトコルでは「充電状態判定保護」、「充電器の過負荷保護」、「インターフェイスの過負荷保護」、「バッテリーの過負荷保護」、「バッテリーのヒューズ保護」の5重の安全保護を行っている。これに加えて、ケーブルにも同社の128ビット暗号化アルゴリズムが施されたマーカー暗号を付加しており、アダプターが対応のケーブルと認識した場合のみ、125Wの電流を流す仕組みになっている。

ワイヤレス高速充電技術、OPPO 65W AirVOOC

 「OPPO 65W AirVOOC」は、最大65Wでワイヤレス充電ができる高速充電技術。有線の高速充電技術の「OPPO 65W SuperVOOC」と同じ端末で充電すると、ほぼ同様の速度で充電することができているという。4000mAhの試作機の端末では、およそ30分で満充電できる。

 充電器と端末には、40Wと25Wと2つの充電用の電導コイルを備えており、並列に回路を組むことで65Wの伝送を行っている。また、干渉を最小限に抑えることで、伝送効率88%を実現した。

 また、充電中のスマートフォンの温度が40度を超えないよう、充電器に放熱用のファンを設け、端末の冷却を行う。

「OPPO 50W mini SuperVOOC charger」と「OPPO 110W mini flash charger」

 「OPPO 50W mini SuperVOOC charger」は、卵大のサイズで50W出力できる充電アダプター。小さいサイズなのでジーンズのポケットに入れていても目立たないサイズだという。

 これまでの変圧器は、20mm以上の厚さがあり、電解コンデンサーの大きさとともに、充電アダプターの小型化の壁になっていたという。そこで、小型サイズを実現するために、変圧器と電解コンデンサーの改良を試みた。

 変圧器には、高周波に強い窒化ガリウム(ちっかガリウム、GaN)を採用し、より高い周波数で動作するようにしている。また、回路設計を工夫し、同機の変圧器はわずか8mmの厚さに抑えている。

 電解コンデンサーについては、出力する電力が大きくなればなるほどコンデンサーも大きくなってしまっていた。同機では小型化のため、電解コンデンサーをなくしたという。このため、電力の安定出力を担っていた電解コンデンサーにかわり、航空宇宙産業で使用されているクランプダイオードを採用した。電圧変動によるサージを吸収し、安全性を確保している。

 また、電解コンデンサーがない設計のため、出力する電力が不連続であるという特徴がある。同機でも一定の間隔で出力が0Aとなる。

 この隙間があることで、バッテリーの分極効果がなくなり、バッテリーの消耗が少なくなるという。また温度変化が小さくなることにも貢献し、よりバッテリーに優しい効率的な充電を実現したという。

 同様の技術を採用した充電アダプターは110W出力対応のものも開発している。それぞれPPSによる高速充電のほか、SuperVOOC、VOOC、PD、QCといったほかの充電規格にも対応している。

5G時代とこれからの高速充電技術

 OPPOでは、急速充電技術の最先端をリードしてきたと自負しており、最先端をいくことは難しいとしながらも、意義のあるものだと語る。

 5G通信の時代では、ハードウェアのスペックが上がり、より多くの電力を使うアプリが増えてくるが、残念ながらバッテリーは無限に増やすことができない。このため、5G時代には、充電効率をより重視する必要があるという。

 また、現在はスマートフォンやタブレット、ノートパソコンで急速充電技術は利用できるが、将来的にはイヤホンやスマートウォッチ、カメラなどほかの電子機器やデバイスで利用できるようにするという。またオフィスや自宅だけでなく、バスの中や飛行機、カフェなどさまざまな場所でも利用できるように努力していくとしている。