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度肝を抜かされた「OPPO Find X」の爆速充電

【OPPO Find X】

「SuperVOOC」の充電器をつなげば、電池残量ゼロから、20秒ほどで起動できる状態になる

 全画面スマホ「OPPO Find X」。ニュース記事やレビューで紹介されるときは、動くカメラ機構だけ取り沙汰されがちなこのスマホだが、使ってみて本当にありがたいと感じたのはそこではなく「急速充電」だった。

 前回は、「Find X」を購入した理由について書いた。今回は急速充電機能に絞って紹介しよう。

 OPPOのスマートフォンでは「VOOC(ボーク)」という、独自の急速充電技術を採用している。Find Xがサポートしているのはその上位版の規格「SuperVOOC」だ。

「Battery Mix Pro」で電池残量の推移を計測。急速すぎて切り立った崖のようなグラフになる

 このSuperVOOCを、3400mAhというスマホとしては大容量のバッテリーを、たったの35分で充電できる。実際に電池を使い切った状態から計測してみても、「35分でフル充電」といううたい文句通りで、とにかく充電のスピードがすさまじい。

 少し技術寄りの話になるが、「SuperVOOC」のカラクリを紹介しよう。スマートフォン向けのUSB-AC充電器の出力(電流電圧)は、5V/0.5A~2Aとなっていることが多い。

 SuperVOOC対応スマートフォンを専用充電器に接続すると、最大50W(10V/5A)という出力で給電する。

電池残量28%の段階でつないでみた。8.74V/4.89A、つまり42Wで給電している。充電が進むほど、電流(A)を落とす制御のようだ

 スマートフォン向けの急速充電としては50Wというのは類を見ない大出力だ。スマホ向け急速充電の主流となっている「USB-PD」では、最大100W(20V/5A)という仕様をサポートしているが、スマホでは充電器の大きさや発熱などの課題から、18W(9V/2A)までの対応とすることが多いようだ。

 加えて、Find Xの内蔵バッテリーは容量3400mAhだが、内部的には1700mAhのバッテリーが2枚という構成になっている。10V/5Aという出力を、5V/5Vに分けて並列で充電することで、充電スピードをさらに高速化するという工夫だ。

 最大50Wという(スマホにしては)高出力だが、発熱は少ない。スマホ側は下部が気持ち暖かいかな、と感じる程度。ACアダプターもじんわり暖かい、というくらいだ。USB PD対応のACアダプターでパソコンを40W出力で充電しているときと比べても、発熱は段違いに抑えられている。

 充電がここまで早いと、スマホの使い方が変わる。SuperVOOC対応の付属充電器を常に持ち歩くようにしていれば、スマホのバッテリーが切れた時でも、カフェでコーヒーを飲む10分の間に、20%程度まで回復できる。もし寝る前に充電を忘れたとしても、家を出る前の20分で70%ほども充電できるのだ。20秒で1%程度と、見る間に増えていくバッテリー容量には、頼もしさを感じる。

 SuperVOOCのデメリットはシンプル。「充電器が高い」ということにつきる。特殊な独自規格ゆえに、現状、OPPO純正品しか充電器の選択肢がない(もっとも、これだけ急速だと非公認の互換品は怖くて使えないが)。

SuperVOOCの急速充電には、チャージャーだけでなくケーブルも、オレンジ端子の純正品を使う必要がある

 この純正SuperVOOC対応チャージャーがなかなか高い。OPPOのカスタマーサポートに問い合わせれば単体購入できるのだが、ACアダプターが6000円(税込、以下同)、USBケーブルが3000円で、しめて9000円だ。

 OPPOの本国(中国)向けのサポートで調べてみたが、アダプターとケーブルであわせて248元(約4080円)だった。そこに輸送コストなどが上乗せされて9000円となるのは、まあまあ納得できる設定だ。とはいえ、自宅用に追加購入しようと考えていたが、ちょっとためらってしまうほどには高いと思う。

 もう1つ残念なのは、SuperVOOC対応のモバイルバッテリーが流通していないこと。この高速充電が外出先でも使えればと思って調べてみたが、現時点では中国でも販売されていないようだ。

 ただし、OPPOはSuperVOOC対応のモバイルバッテリーを発表していおり、中国向けには12月発売と案内している。しかも、SuperVOOCのイメージキャラクターとしてポケモンの「ピカチュウ」が就任したため、「SuperVOOC対応でピカチュウがあしらわれたモバイルバッテリー」となっている。ライセンスの関係で、日本にそのまま持ち込むのは難しいようにも思えるが、いちユーザーとしては、ぜひ日本でも公式に販売してほしいと思える製品だ。