ニュース

スポーツの瞬間を見逃さない、「4DREPLAY」は5G時代の新たな観戦スタイルとなるか

 2月15日にKDDIが協賛するスポーツイベント「レッドブル・アイスクロス横浜 2020」が開催された。

スタート直後の様子

 「ICE CROSS」(アイスクロス)とは、スケート競技の一種。スキークロスのスケートバージョンのようなものだ。ルールはとにかく一番先にゴールすること。今回の大会では同時に4人がスタートし、ジャンプ台もある起伏の激しいコースを疾走した。

 選手たちは皆、アイスホッケーを思わせるプロテクターやヘルメットを装着している。このアイスクロスは選手同士の接触も珍しくない。特にコーナーの入り口などでは、団子状態で突っ込んだ選手たちの熾烈な争いを見ることができる。

当日の横浜会場。競技が始まるとこの付近は足の踏み場もないくらいの人出だった

 時速は数十km/hに達するというこのアイスクロス。レッドブル・アイスクロス横浜 2020では、KDDIのドーム型VRスペースにより選手の視点を体験できるアトラクションが展示されていた。

アングルも時間も自在な「4DREPLAY」を体験

 会場には、「ICE CLUB」というラウンジが設置されていて、専用のパスを持つ人が入れるスペースが設けられていた。中には、タブレットが数台設置されており、「4DREPLAY」を活用した自由視点映像を楽しめる。

指でスライドするだけで自由にプレイバック・アングル移動ができる

 4DREPLAYは、米4DREPLAYが開発する映像ソリューション。数十台のカメラをアレー状に設置し、「タイムスライス」と呼ばれる機能により、任意の再生時間、アングルで映像を楽しめる。編集から配信にかかる時間は、従来のテレビ局での編集などに比べてほんのわずか。人員は1人でも済むという。KDDIはKOIF(KDDI Open Innovation Fund)を通じて同社に出資している。

アイスクロス会場に設置されていた4DREPLAYの編集室。通常よりも簡素な機器が目立つ。編集の担当は奥側の男性1人とのこと

 筆者もタブレットの1台を試してみたところ、鮮明な映像で選手たちがコーナーを曲がる瞬間を見ることができた。アングルをずらして見ると選手同士の間隔の狭さや壁ギリギリのラインで駆け抜けている様子が手に取るように分かって、非常に新鮮な感覚で競技を楽しめる。

アングルの変更は自由自在といった印象。細部の確認も容易にできる
右下のボタンから書き込みできる

 右下のボタンを押すと、画面に書き込むことも可能だ。書き込んだものはそのまま配信できるので、実況中継などに役立てられる。

 KDDI 経営戦略本部 ビジネスインキュベーション推進部 次世代ビジネス推進グループマネージャーの松村敏幸氏によると「4G回線がボトルネック。(4DREPLAYの)ポテンシャルを使い切れるとなると5G」と語る。4DREPLAYは4Kの映像を扱うことができるが、4Gでは4Kの大容量を伝送するのは少々難しい。今後は、さまざまな映像エンターテイメントが発展してくることが予想されるが、その過程において5Gは欠かせない。

 また、松村氏は「スポーツ会場に来た時にメインはやはりあくまで生観戦。しかし、今後は『今、何が起きたの?』という時に手元のデバイスでそれぞれが好きなアングルでリプレイを見つつ観戦するというスタイルが定着するのでは」と、5G時代の新たな観戦体験の展望を示した。

VRドームにグラスのプレゼントなど

 競技がスタートする前、VRの設置直後に訪れてみたところ、そのほかの展示を押しのける勢いで人気を集めていた。

なかなかの賑わいぶりだった

 数分の映像を見終わってドームから出てきた来場者は皆満足げな笑顔を浮かべている。これから広まっていくであろうスポーツなだけに、観戦者からすると競技を把握しやすいし、周知も広まりやすい。

登録すると無料だった

 ちなみに、ブースの周辺では「au スマートパスプレミアム」に登録するとVRグラスがもらえるプレゼントもあった。