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「OCN モバイル ONE」はシェア1位奪還を目指す――発表会で語られた新コースの狙いと仕組み

 20日、NTTコミュニケーションズのMVNOサービス「OCN モバイル ONE」の新コースが発表された。

木藤氏

 同日に開催された説明会では、OCN モバイル ONE サービスプロデューサーの木藤暢俊氏から、MVNO分野の先駆者だったOCN モバイル ONEが、今後、シェア1位を目指す方針が示された。

シェア1位に向けて

 格安SIM、格安スマホとも呼ばれるMVNOサービスにおいて、OCN モバイル ONEは老舗と言える存在。MVNOが広く認知されはじめた2013年時点、木藤氏によれば、「OCN モバイル ONE」はイノベーター層を中心に支持を受け、トップシェアを誇った。

 しかし、そのシェアは現在半減し、10.3%に留まり、MVNO市場の4位となっている。

 料金や品質で満足してもらえなかったと振り返る木藤氏は「再びMVNO業界シェア1位を獲得したい」と意気込みを見せる。

 ここで言うシェア1位とは、MVNO分野でのこと。現在トップの楽天モバイルは今後MNOとしてカウントされる見込みだ。

 そこで用意したのが、最低利用期間なし違約金なしで値下げした新プラン。オプションのかけ放題も割安で提供するキャンペーンを実施するほか、容量追加(チャージ)も従来の半額で利用できる形にした(サービス詳細記事)。

 ちなみに日次コースは、今も人気とのことだが、トレンドとして「ギガ(○GB)がわかりやすい」(木藤氏)として、今回の新コースは月次のものだけが用意されることになった。

 業界で最高水準を目指す中で、今後、従来から引き続き端末ラインアップや販売価格での訴求、グループのgooとの連携などを通じて、総合満足度を高める考えだ。

乗り換えやすいキャンペーンも

 あわせてOCN モバイル ONEでは、MNPでの新規申込で4000円相当を割引する。

 木藤氏は「電気通信事業法の改正で違約金は1000円までとなったが、MNP手数料は3000円かかる。キャンペーンで4000円相当割り引くことで格安SIMに興味を持ってもらっている方に利用してほしい」とキャンペーンの狙いを説明する。

 既存ユーザーに向けて、12月以降、コース変更後、OCNでんわを300円で安く利用できるキャンペーンが提供される。

低速通信、その仕組みは

 料金値下げとなった今回。その裏には、通信制御に関して、新しい考え方が採り入れられたことがある。

 一般的にMVNOでは、いざサービスを使うと、データ通信速度が遅かったり、特定の時間帯で繋がりにくかったりすることがある。そのMVNOの通信速度が遅くなる要因は何だろうか。

藤原氏

 OCN モバイル ONE テクニカルプロデューサーの藤原康行氏は、「大きく分けると2つの課題がある」と語る。1つはユーザーが多い基地局へのアクセス集中。もうひとつは帯域の圧迫だ。

 アクセスの集中は、大型イベントが開催される場所、あるいは人が多く行き交う駅周辺といった場所で起きる。この点については、MNO(大手携帯会社)にとっても課題。MVNOにはなかなか対策が取れない点だ。

新しい考え方で「快適なモバワン」へ

 もう一方の帯域についてはどうだろうか。

 藤原氏は「OCN モバイル ONEはドコモから帯域を購入してサービスを提供している。ユーザー数などを踏まえて帯域を設計している。しかし、一部の時間は契約帯域が圧迫される時間が発生してしまう。そのときはパケットロスが発生して、遅く感じる。たとえばランチタイムや業務後の夕方といった時間帯は品質が落ちる傾向がある」と語る。

 OCN モバイル ONEでは、これまでもトラフィックを制御する仕組みを採り入れてきたが、品質に満足していないという声はまだある。そこで「快適なモバワン」を今回目指すことになった。

 「より多くの方に通信品質の改善を実感してもらい、長く使ってもらえること」を目指すと藤原氏。そこでごく一部の回線における低速通信に規制をかけて、圧迫が起きにくいよう制御することになった。

低速通信への制御の考え方

 従来は利用する通信量にあわせて、さまざまな容量のプランが用意されてきた。たとえば3GBプランなら、3GB分、高速通信が利用できる。使い切れば200kbpsの低速通信になる。

 一方、新コースでは、3GBの高速通信はそのまま、200kbpsの低速通信の通信量が1.5GB(契約プランの半分の通信量)になれば、さらに遅くする、という仕組みだ。

 さらに遅くなったときの速度は具体的に明らかにされておらず、今後、ユーザーの動向を見ながら調整していく方針。藤原氏によれば、Webブラウジングは遅くなるが、LINEなどのメッセージングサービスは使える程度の速度になるという。

 なお、従来プランは引き続き提供される。「従来は低速通信をうまく使いたい方に適している。新コースは高速通信を快適に使いたい方向け」と藤原氏。

 低速通信を頻繁に使うユーザーは5~10%と少数。総トラフィックの50%が10%程度のユーザーによって占められており、公平な環境のために新コースでは2段階の制御が採り入れられることになった。藤原氏によれば、大多数は通常のプラン通りの容量を使っているとのことで、最適な契約コースを選べば、規制の影響は受けないと予測されている。

goo Simsellerでキャンペーン

 法人向けとあわせたシェアにより、電気通信事業法の規制対象となっているOCN モバイル ONE。端末販売の値引きも、2万円までの上限が適用される。

 そうした状況の中で、グループ会社のNTTレゾナントが手がけるWebサイト「goo Simseller」では、OCN モバイル ONEとSIMロックフリースマートフォンのセット販売において、割引キャンペーンが実施される。

苗村氏

 goo Simseller セールスディレクターの苗村亮一氏は20日からスタートする新たなキャンペーンを紹介。今後も引き続き、積極的なキャンペーンを展開していく考えを示した。

 さらに今回、ユーザー同士で疑問をぶつけ合えるQ&Aコミュニティを開設することが明らかにされた。