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初iPadに最適なiPad(第7世代)と常時表示に対応したApple Watch Series 5のスペックを解説

 9月11日(日本時間)、iPhone 11シリーズと同時に「iPad(第7世代)」と「Apple Watch Series 5」も発表された。筆者もまだ実機は触れていないが、iPad、Apple Watchシリーズのヘビーユーザーとしての視点も交えつつ、発表されたスペックから新モデルが従来モデルとどう違うかを解説する。

エントリーユーザーに最適なiPad(第7世代)。iPad慣れしてるならAirもオススメ

 今回発表された第7世代のiPadは、「Air」や「Pro」のような愛称の付かない、もっともベーシックなiPadである。

 まず以下の表に現行モデルと前モデルのiPadについて、スペックを抜粋しつつまとめてみた。価格は発売時の税抜価格で、特記しない限り64GB Wi-Fiモデルである。

モデル名価格発売日プロセッサーディスプレイサイズ解像度重さ
iPad(第7世代)3万4800円(32GB)2019年10月A10 Fusion10.2インチ2160×1620483g
iPad Air(第3世代)5万4800円2019年3月A12 Bionic10.5インチ2224×1668456g
iPad mini(第5世代)4万5800円2019年3月A12 Bionic7.9インチ2048×1536300.5g
12.9インチiPad Pro(第3世代)11万1800円2019年11月A12X Bionic12.9インチ2732×2048631g
11インチiPad Pro8万9800円2019年11月A12X Bionic11インチ2388×1668468g
iPad(第6世代)3万7800円(32GB)2018年3月A10 Fusion9.7インチ2048×1536469g

 現行のラインアップではiPad Proがハイエンドモデル、iPad AirとiPad miniがスタンダードモデル、第7世代iPadがエントリーモデルと位置づけられている。

 今シーズンのiPhoneでは最も安いiPhone 11がスタンダードモデルという位置づけだが、iPad(第7世代)はスタンダードモデルというより、さらに下のエントリーモデルという印象だ。iPhoneは旧モデルが廉価モデルとして残されているが、現在のiPadラインアップに旧モデルは残っていない。

 iPad(第7世代)は32GB Wi-Fiモデルが3万4800円と他モデルよりかなり安いが、コストパフォーマンスが良いかというと、必ずしもそうとは言い切れない。問題はプロセッサーの世代だ。A10 Fusionは今春のiPad Air/miniよりも2世代(2年)古く、同時発表のiPhone 11シリーズより3世代(3年)も古い。プロセッサーの性能差については後述するが、その差は小さくはない。

 スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスは、毎年のように高性能化した新製品が登場し、それをターゲットとしてOSもアプリも徐々に高機能化するので、古い機器は次第に、機能に制約を受けたり動作にモッサリ感が出てきたりする。どのくらい長く使い続けられるかは、この機能の制約やモッサリ感をどのくらい我慢するかにかかってくる。

 かなり大雑把な理論だが、プロセッサー世代から考えると、iPad(第7世代)を3年間使ったときの機能制約やモッサリ感は、プロセッサーが2世代新しいiPad Air(第3世代)やiPad mini(第5世代)を5年間使ったときと同等、と予想できる。バッテリーの劣化などもあるので実際にはそこまで単純な話ではないが、極論をいえば「iPad(第7世代)より今春のiPad Air/miniの方が2年長く使える」ということだ。

 たとえばiPad(第7世代)の32GBモデルを3年間使えば、1年あたりのコストは1万1600円となる。iPad Air(第3世代)の64GBモデルを5年使えば、1年あたりのコストは1万960円、iPad mini(第5世代)の64GBモデルを5年使えば、1年あたりのコストは9160円だ。長く使うなら、iPad Air/miniのコストパフォーマンスも良いのだ。

 ではiPad(第7世代)がどのような人向けかというと、筆者は初めてiPadを買う人におすすめしたい。初めてだとiPadを使いこなせるかわからず、長期にわたって使うかも判断しづらい。そんな人が最初のお試し感覚で選ぶモデルとして、iPad(第7世代)は最適だ。3年しか使わなくても、iPad Air/miniを5年使ったのと同じ年間コストで済む。

 一方、すでにiPadをそれなりに使っていて、次のモデルも4年、5年と長く使い続けたいなら、iPad Air/miniを選ぶべきだと思う。もちろん、iPadに慣れていても、短期で買い換える前提でiPad(第7世代)を選ぶのも悪くない。

 また、電子書籍や動画再生など、ユーザー操作が少ないアプリ用途なら、プロセッサーパワーが低くても影響を受けにくいので、そうした用途が中心なら、iPad慣れしていてもiPad(第7世代)を選ぶという手もある。逆にテキスト入力や写真編集、動画編集などのアプリだと、操作ごとのモタツキ感は致命的なので、そうした用途で長く使いたいなら、iPad Air/miniをオススメしたい。

 このあたりは個人の好みではあるが、とりあえずコストパフォーマンスを重視するなら、iPad Air/miniを選択肢から切り捨てるのはもったいない、とだけ覚えておこう。

ベンチマークスコアには歴然とした差アリ

 以下は、ベンチマークアプリで筆者の私物である12.9インチiPad Pro、iPad mini(第5世代)、iPad(第6世代)のCPUスコア(シングルコア)、CPUスコア(マルチコア)、GPUスコア、スペックを計測した表である。

 iPad(第6世代)とiPad(第7世代)は同じプロセッサーなので、似たスコアになるはずだ。しかし公表されていないシステムメモリ容量やクロック数、コア数などで第7世代は強化されている可能性もあることをご了承いただきたい。また、そもそもベンチマークは数値が不安定で誤差も大きいこともあわせてご了承いただきたい。

モデル名プロセッサーシステムメモリ容量CPUシングルスコアCPUマルチスコアGPUスコア
iPad(第6世代)A10 Fusion(2コア2.32GHz)2GB76314112810
iPad miniA12 Bionic(6コア2.49GHz)3GB111628484486
12.9インチiPad ProA12X Bionic(8コア2.49GHz)4GB112546088983

 CPUのシングルコアは大差がないようにも見えるが、iPad miniと約46%の差がある。プロセッサーの2世代の差は小さくない。現時点で使っていてiPad(第6世代)にモッサリ感はないが、将来的にこの差が体感に出てくると予想される。iPad miniとiPad Proはプロセッサー世代が同じなので、シングルコアスコアはほぼ同等だ。

 プロセッサーのコア数とシステムメモリ容量に差があるので、CPUマルチコアの差はよりはっきり出ている。こちらはアプリの切り替え動作のなめらかさに影響してくる。また、フォトレタッチアプリなど単体でメモリを大量に消費するプロ向けアプリの動作のサクサク感にも影響する。

 GPU性能はゲームやGPUを使ったプロ向けアプリに影響する。こちらも上記3機種間の差は大きく、同じプロセッサー世代でも、強化されているiPad Proの性能はダントツだ。

 こうやって見ると、「iPad Proスゲー、買いだな!」と思われるかも知れない。ある意味ではその通りなのだが、iPad Proのハイスペックを生かし切るアプリは少ないので、よほどヘビーに使わない限り、元を取るのは難しいと思う。たとえばゲームアプリなどは、多くの人に遊んでもらうことが重要なので、現時点で言えばA8あたりのスペックでも動作するように開発される。A12Xだからゲームがスゴイ、というようなことは、少なくとも現時点ではレアケースだ。ただ、技術デモ的にそういったアプリが作られることはある。

 しかしiPad Proにシングルコアスコアで肉薄し、プロセッサー世代も同じなので陳腐化速度も似たものになると予想できるiPad Air/miniは、こうしたベンチマークスコアを見るともの凄くお買い得に感じられる。誰もがプロセッサー性能を求めるわけではなく、そうしたプロセッサー性能より「手軽なiPad体験」を求める人向けのiPad(第7世代)なわけだが、先行して発売されているモデルと比較しても、性能差があることは覚えておこう。

iPad Airとほぼ同サイズになり、周辺機器の幅が増えた第7世代iPad

 第6世代iPadと第7世代iPadを比較すると、スペック面ではプロセッサーが同じA10 Fusionだったりと変化が少ないのだが、ディスプレイサイズが変更され、合わせてボディサイズも変わり、対応するアクセサリー製品も変わっている。

 iPad(第7世代)のサイズは、iPad Air(第3世代)や10.5インチiPad Proと同じ高さ・幅となる。ただしiPad(第7世代)の方が厚みがあり、より重たい。厚みが違うので、ジャケットケースなどはiPad Airのものを流用できないが、側面に付けるタイプのSmart Coverなどは流用できるようだ。厚みがあまり関係ないスタンドやスリーブケースなども、流用できるものがそこそこありそうである。

 ディスプレイサイズは9.7インチだったiPad(第6世代)より若干大きくなり、iPad(第7世代)では10.2インチとなった。スペックを細かく見ると、色域やコーティングなどにおいては、iPad Air/miniの方がディスプレイのグレードが上だ。

 前モデルのiPad(第6世代)は、2013年発売のiPad Air(第1世代)やiPad(第5世代)とほぼ同じデザインで、同じケースなどのアクセサリーが流用できた。しかし第7世代iPadはデザイン変更により、それらのアクセサリーはほとんど流用できない。このクラスの製品はスマートPOSレジや簡易デジタルサイネージとしても使われたりするが、そうしたアクセサリーも流用できなくなる可能性があるので、業務用途でiPadを使っている人は注意が必要だ。

 また、iPad(第7世代)には第6世代にはなかったSmart Connectorが追加されていて、iPad Air(第3世代)や10.5インチiPad Proと同じSmart Keyboardを接続できるようになっている。これも大きな変化だ。Smart Connectorはキーボード以外の製品はほとんどないが、充電などにも使えるので、今後はもっといろいろな製品の登場に期待したいところだ。

 前モデル同様、Apple Pencilにも対応している。ただし対応しているのは第1世代のApple Pencilなので、iPad Proの第2世代Apple Pencilとは互換性がない。しかしApple Pencilは第1世代、第2世代で使用感はあまり変わらないので気にする必要はない。

常時点灯が画期的なApple Watch Series 5

 iPhone 11シリーズと同時に発表されたApple Watch Series 5は、ディスプレイがLTPO(低温ポリシリコン)になり、ディスプレイドライバーなども省電力化することで、常時表示が可能になった。

 Series 4までのApple Watchは、使用後数秒で画面が消灯し、腕を上げるような動きがあると、画面が点灯するようになっていた。そのため、作業中やエクササイズ中など、腕を動かしにくいタイミングでは表示を確認しづらかった。これがSeries 5だと改善されることになる。Apple Watchのヘビーユーザーからすると、これはけっこう大きな変化だと感じられる。

 常時表示以外の大きな変更点としては、電子コンパスが内蔵されたほか、Cellularモデルは国際緊急通報に対応した。国際緊急通報はセルラープランの有無に関係なく利用できるとされている。ただし日本は他国と異なり、SIMなしでの緊急通報ができない地域なので、この機能が使えるかは不明だ。

 Series 5の登場により、Series 4は終息し、現行ラインアップはSeries 3とSeries 5の2種類となる。それぞれに2種類のサイズと数種類のケース素材、バンドの種類、カラー、GPSモデルとCellularモデルがあり、豊富なバリエーションから選ぶことができる。

 Series 3とSeries 5の差は、主にディスプレイの違いにある。常時表示になっているほかにも、Series 5の方は狭額縁デザインで、本体サイズはほぼ同じなのにディスプレイが大型化している。それ以外にも心拍センサーやコンパス、転倒検知、プロセッサーなどに違いがあるが、使用感に大きな差はなく、Apple Payなどの機能はSeries 3でも利用できる。

 当然だが、旧型のSeries 3の方が大幅に安い。最も安い小さいサイズのアルミニウムケース・GPSモデルを比較すると、Series 5は4万2800円〜、Series 3は1万9800円〜となる。

 どれを買うかは、けっこう迷うところだが、Apple Watch未経験であれば、まずはSeries 3の安いモデルでも良いと思う。Apple Watchはライフスタイルに合えば本当に便利で、5万円以上払う価値はあると思うが、ライフスタイルに合わない人も少なくない。自分に合っているかを確認する、半ばお試し的な用途なら、2万円のSeries 3は最適なエントリーモデルだ。

 一方、すでにApple Watchを毎日着用するくらいに使いこなしていて、Series 2あたりからの買い換えなら、Series 5はオススメだ。ディスプレイの大型化と常時表示化は、価格相応の大きな変化である。しかしSeries 3からの買い換えとなると、まだ現行モデルでもあるので、ディスプレイに大きな魅力を感じないなら、買い換えなくても良いだろう。Series 4からとなると、常時表示くらいしか違いがないので、これも買い換えを待っても良いと思う。

 Cellularモデルは、ムリに選ばなくても良いと思う。iPhoneのBluetooth通信圏外に離れることが多い人向けの機能だが、防犯なども考えるとiPhoneは肌身離さずに持っておくべきだ。また、Cellularモデルの通信契約は、iPhone側がNTTドコモ/au/ソフトバンクのいずれかである必要があり、格安SIMだと使えないので注意しよう。

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