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KDDI第1四半期決算は計画通りに推移、新プラン導入の影響は

 KDDIは8月1日、2020年3月期の第1四半期(2019年4月~6月)の決算会見を開催した。売上高は1兆2641億円(前年同期比+244億円)、営業利益は2558億円(-331億円)で増収減益となった。

 減益の要因は、2019年3月期はミャンマー事業の決算期変更の兼ね合いで一時的な増益となっていたことや端末の評価減などで一時的なものとしている。通期目標に対する達成率は、売上高が24.0%、営業利益が25.1%とおおむね計画通りに推移した。

au契約者数は下げ止まり、3Gからの移行を推進

 au契約者の純減数は3.8万と下げ止まり、MVNO契約数を加えた「モバイルID数」は前年比+1.6%の2703万。通信・非通信分野を合算した総合ARPA(1契約あたりの収入)は、前年比+3.9%の7450円となった。

 通信事業が順調に推移する理由のひとつに、新規事業者の参入や法改正といった2019年秋の市場変化を前に、3G停波に向けた巻き取り(4Gへの移行措置)を前倒しで進めていることが挙げられる。

 また、2017年に導入した分離プランへの移行も進み、スマートフォン契約の3分の2程度を占める。非分離プランの加入者の一部ではまだ「毎月割」の割引期間が残っているケースがあるが、フィーチャーフォンを含むハンドセット全体で、6月末時点での毎月割加入率は15%前後。年度末にはさらに9%まで下がり、支出に占める割引原資の割合は減る見込み。

 ライフデザイン領域、ビジネスセグメント領域については、売上高、営業利益ともに成長している。「au PAY」は開始から4カ月間で400万ユーザーを突破。auブランドへのリニューアルが完了した「au Wowma!」も、動画を活用したライブコマースなどに新たに取り組む。金融分野においては、銀行や証券、損保、スマートフォン決済サービスと多岐に渡るauフィナンシャルグループの構築を進めた。

新料金プランや法改正、楽天参入の影響は?

 5月に発表した新料金プランについては、第1四半期の段階では収益に大きな影響は与えていない。2017年から他社に先がけて提供してきた分離プランのマイナーチェンジであり、ピタットプラン・フラットプランの構成比は大きく変わっていないという。

KDDI 代表取締役社長 高橋誠氏

 一連の法改正の流れを受けて、会見では、楽天参入後の対抗策や新料金プラン発表後に浮上した「違約金1000円」問題への対処など、再度料金プランに手を入れる可能性を問う質問が挙がった。

 高橋誠社長は、解約金規制などユーザーの流動性が上がる要素、割引規制などの流動性が下がる要素の両面があることに触れ、市場環境やユーザーの動きの変化に合わせて手直ししていく可能性はあるとしたうえで、通期の業績予想を修正するには及ばないと説明した。

5G時代に向けた展開

 5Gでは「競争と協調の時代が訪れる」と高橋氏。協調領域はパートナー企業とのコラボレーションによる事業創出のほか、ソフトバンクとの地方におけるインフラシェアリングも予定されており、インフラシェアリングによるコストの抑制は5Gの早期展開にもつながる。5G時代の主要テーマのひとつである地方創生についても、63の地方自治体と協定を結び、地方の課題解決に取り組む。

 決算会見の時点では、ソフトバンクは7月に最初の5Gプレサービスを実施し、NTTドコモは9月20日からのプレサービスの内容を予告済という状況。auのプレサービスは9月からで、5G回線を使った高精細映像の伝送や警備ソリューションといった内容。トライアルの場所は花園ラグビー場を予定していることが明かされた。

 また、開始当初はLTEネットワークとセットで展開されるNSA(ノンスタンドアローン)となることから、5Gネットワークを構築する機器のベンダーは、LTEで採用したベンダーと揃える考えを示した。具体的には、エリクソン、ノキア、サムスンの3社が挙げられた。