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妊娠期からの育児をサポート、グリコから夫婦向けにメッセージアプリ

 江崎グリコは、夫婦で取り組む子育て「Coparenting(コペアレンティング)」を推進するプロジェクト「Co育てPROJECT」の発表会を行った。プロジェクトの一環として、妊娠、育児期における夫婦間のコミュニケーションをサポートするメッセージアプリ「こぺ」の提供を開始した。アプリのダウンロード、利用はともに無料。

夫婦の子育てをメッセージアプリでサポート

 こぺは、妊娠期から1000日間の夫婦の子育てをサポートするコミュニケーションアプリ。アプリでは、1対1の専用チャットルームのほか、父親と母親それぞれに向けた育児などの記事やクイズ、育児記録などの機能が提供される。

 メッセンジャー機能では、テキストや画像の送信機能のほかに、育児や家事にあわせたスタンプが用意される。また、チャット画面上部には、妊娠期から2歳までの子どもの育児期間にあわせた解説記事などをキャラクターが案内する。記事はアプリのメニューからも閲覧可能。

家事お願いするスタンプなど夫婦のコミュニケーションに合わせたものを用意

 また、出産後には、夫婦で共有可能な育児記録も提供される。「ミルク」「おしっこ」などのカテゴリが用意され、選択することで、双方が育児でなにをしたか分かるようになる。

アプリメニュー
育児などの解説記事が見られる「お役立ち記事」
解説記事
育児記録が可能な「育児ログ」

 ほかにも、男女の育児に対する意識の差や、脳の認知傾向による夫婦のすれ違いをなくすために男女の考え方の違いを紹介する記事やクイズが提供される。

 アプリをインストールした上で、性別を登録し、発行されるコードを登録することで双方が紐づけられ、利用できる。アプリはiOS向けとAndroid向けに用意されている。

 今後のアップデートでは、育児記録の項目カスタマイズ、育児や家事への感謝をSNSのように「いいね」などで伝える機能、シングルマザー・ファザーへの対応などが検討されている。

子育ての講習プログラムを希望する団体に提供

 同プロジェクトでは、ほかにも同社が提供する育児商品の強化、プロジェクト推進を目的とした東北大学との協定、同社での育児休暇の拡充が取り組みとして発表された。

 東北大学では、Coparenting研究が行われており、協定では、希望する団体に子育てのデモンストレーションなどのプログラムを提供する。団体の担当者へ東北大学が講習をレクチャーし、プログラムの効果研究が行われる。また、渋谷区の産官ビジネス推進を委託されている渋谷未来デザインとの連携も発表され、プログラムの開発支援を受けながら渋谷区との連携が図られる。

アプリはコミュニケーション機能を重視、商品以外でユーザーとの繋がりを

 江崎グリコ 経営企画本部 コーポレートコミュニケーション部 プロジェクトリーダーの宮崎友恵氏は、幸福度が高いとされているフィンランドと日本での調査データを比較し、日本はフィンランドに比べ、夫婦で協力して育児ができておらず、コミュニケーションも取れていないと分析した。Coparentingを推進し、夫婦のコミュニケーションがとりやすくなれば、育児ストレスの低下や産後うつのリスクが低下すると説明した。

 アプリが、妊娠期から“1000日間”の子育てにフォーカスしているのは、“カラダとココロの健康の基礎ができる期間が最初の1000日間”というユニセフの研究成果に基づいているためだという。

 アプリを開発するにいたっては、日本の子育てにおける問題を解決する社会的事業に基づいて行われたという。こぺは、アプリ内に製品情報のリンクを設置する、など同社商品の販売戦略には利用されていない。アプリを販売戦略に利用するかどうかについて同氏は、「まずは、夫婦間のコミュニケーション機能を重視する。商品以外でのユーザーとのつながりに向けてチャレンジしたい」と述べた。同社広報担当者も「アプリは、現在提供している商品や、ファンクラブ以外のチャネルでユーザーとの接点を増やす取り組みである」と説明した。

 同社では過去に、ポッキーのパッケージをアプリで撮影するとAR技術により花火が出るなどの取り組み(関連記事)を行っている。これについて宮崎氏は「お菓子はコミュニケーションのツールである。(今回の取り組みと)アプローチは異なるがユーザー同士のコミュニケーションに向けた一貫した取り組み」と説明した。