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KDDI、セコムとともにセルラードローンによるスタジアム警備の実証実験

 KDDI、テラドローン、セコムの3社は、埼玉スタジアム2002でドローンによる広域警備の実証実験に成功したと発表した。

実証実験に用いられたドローン

 今回の実証実験は、4G LTEによるモバイル通信ネットワークをサポートし、人物検知機能に対応したスマートドローンをスタジアム上空で飛行させ、不審者を探し出すというもの。カメラで撮影した映像をAIにより解析し、不審な動きをする人物を自動検知し、追尾する。

 警備システムは、高い高度を飛行し、4Kカメラで広いエリアをカバーする俯瞰ドローンと、俯瞰ドローンからの指示により、現場にかけつける巡回ドローン(フルHDカメラ搭載)の2種類のドローンで構成され、それぞれにAIが搭載されている。

俯瞰ドローンには4Kカメラを搭載
ドローンにAI処理能力を搭載することで、人物検知のリアルタイム性を高めている

 セコム 開発センター サービスロボット開発G統括担当 兼 開発統括担当 ゼネラルマネージャーの尾坐幸一氏によれば、今年度はイベントが開催されていない時のスタジアム警備をテーマとしており、敷地内に立ち入る人間を検知し、追尾するところまでが確認された。

 ただし、不審者とスタジアム関係者を識別するアルゴリズムは搭載されておらず、実用化に向けての課題も残されている。また、来年度に予定されているイベント開催時の警備を想定した実証実験では、さらに高度なAI処理が求められることになる。

セコム 開発センター サービスロボット開発G統括担当 兼 開発統括担当 ゼネラルマネージャーの尾坐幸一氏

 AIによるドローンの連携に加え、飛行エリア周辺の天気・風況情報や上空電波情報を3Dマップ上に重ね合わせて表示し、確認できる運航管理システムも開発された。運航管理担当者がタブレット(iPad)上でドローンの飛行ルートをプログラミングする際、安全に飛行できる状況かどうかを判定する。

 KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品1G 課長補佐の杉田博司氏は、今回の実証実験は警備を目的としたものだが、プラットフォーム自体は設備点検や災害対策など、幅広い分野に応用可能と述べ、5Gの商用化を視野に入れながら、今後も実用化に向けて開発を進めていくとしている。

KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品1G 課長補佐の杉田博司氏
実証実験の紹介ビデオ