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KDDIの自律ドローンに気象情報を追加、開発は第二フェーズへ

基地局を中継・充電ポイントにする飛行ルート拡大構想も

 KDDIは、モバイル通信網につながる「スマートドローン構想」の実現に向けて、ウェザーニューズと業務提携を締結したと発表した。今後、ドローン向けの気象予測情報の提供や、KDDIの基地局に設置されている気象観測システム「ソラテナ」を活用するなどしていく。

充電を行う「ドローンポート」と、KDDIのスマートドローンの薬剤散布仕様

 KDDIはドローン関連の開発を2016年12月に発表、クアルコムやプロドローン(機体開発)、ゼンリン(3次元地図)、テラドローン(航空管制システム)といった関連企業との提携や、実証実験などをいくつか発表してきた。これらは一定の成果を得たとして、LTE網につながる自立飛行のドローンの「第1期の開発は完了した」(KDDI 執行役員常務 商品・CS統括本部長の山本泰英氏)という位置付けで、企業向けにドローンパッケージの販売も開始している。

 一方、今後の長距離自立飛行や、法整備・規制緩和にともなって実現できるようになるドローンビジネスでは、安全運航のための気象予測データが重要になるとし、すでに基地局への観測設備の設置などでつながりのあったウェザーニューズと提携、ドローンの運航管理システムに、詳細な気象予測データを組み込めるようにした。

 KDDIはまた、スマートドローンの最新の実験結果として、モバイル通信網と3次元地図を活用し、充電を行う中継地点「ドローンポート」を経由して離陸地点に帰還する、完全自立飛行の実験を行った。この実験では、3次元地図で高低差を判別しながら、鯉を養殖する池に実際に薬剤を散布、総距離約6.3kmを完全自立飛行して帰還することに成功している。

充電を行う「ドローンポート」と、KDDIのスマートドローン。着陸後、金色の端子面に接点をくっつけて充電を行う

 KDDIの山本氏は、11月29日に開催した発表会でこれまでのドローンへの取り組みや今後について語り、国が官民協議会が想定しているロードマップにおいて、2018年頃から解禁される「レベル3」への対応についても「絶対いける」と自信をみせた。レベル3は「無人地帯での目視外飛行」と定義されており、用途は、離島や山間部への荷物搬送(補助者なしの自立飛行)、災害状況調査、捜索などが想定されている。

 KDDIではまた、スマートドローン構想の将来の姿として、上記のような自立飛行のドローン用の中継地点に、携帯電話基地局の敷地を活用することを検討しているという。さらに、全国に10カ所あるというKDDIのネットワークセンターを、規模の大きなドローンの拠点「ドローンステーション」として活用することも構想している。

 これにより、たとえば災害時に、ネットワークセンターの「ドローンステーション」からドローンを発進させ、途中にある基地局の「ドローンポート」で充電を行いながらすばやく目的地に到着するといったことが可能になるという。自立飛行ドローン自体は約20kmの距離を飛行できるが、基地局の多くは1km間隔で設置されているため、ドローンポート同士を結んだ“ドローン用航路”を最適に設定することで、広範なエリアを対象に、完全自立飛行のドローンを運用できるようになるとしている。

ゼンリン、プロドローン、テラドローン、ウェザーニューズの担当者が登壇したパネルディスカッションも開催された