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クアルコムが株主総会を延期、ブロードコムによる買収問題で

 スマートフォン向けチップセットなどを製造する米クアルコム(Qualcomm)は、同業の米ブロードコム(Broadcom)の買収提案に関連して、米当局による調査のため、株主総会の開催と取締役の選任を30日間延期すると発表した。

 ブロードコムは2017年11月にクアルコムへ約1300億ドル(2018年3月時点のレートで約13.8兆円)での買収を提案。この提案をクアルコムは「安すぎる」と拒否している。

 その後、2018年2月にブロードコムは1株当たりの支払い額を大幅に上乗せし、約1200億ドル(約12.7兆円)での新たな買収提案を行っていたが、クアルコムは反トラスト法上のリスクがあるなどとしてこれも拒否した。

 一方でブロードコムはクアルコムの「新しい取締役候補」を提案。クアルコムの株主に対し両社が支持を訴える、委任状争奪戦の様相を見せていた。

 焦点となっていたクアルコムの株主総会は、3月6日に開催される予定だった。しかし、開催が目前に迫った4日、米国の司法対米外国投資委員会(CFIUS)が、「ブロードコムの買収提案に安全保障上の懸念がある」として、その調査のために、株主総会の開催延期を命令。これを受けてクアルコムは、30日間の延期を発表した。

 ブロードコムの本拠地は米カリフォルニア州にあるが、登記上は本社の所在地がシンガポールとなっており、これが米当局に“外国企業”と見なされた格好だ。ブロードコムは5日の声明で、同社の役員はほとんどが米国人で、株式の大半は米国の機関投資家が所有していると弁解。5月までに登記上の本社を米国に移転すると表明。その上で、クアルコムがブロードコムとの交渉の裏で秘密裏にCFIUSへの調査依頼を行ったとして批判している。

 これに対しクアルコムは、6日付の声明で、「ブロードコムの声明は実体に反するレトリックで、重要な規制や安保上の問題を軽視し、株主を誤解させようとするものだ」と激しく非難。買収を阻止するためにCFIUSに調査を依頼したというブロードコムからの批判に対しては、「ブロードコムは数週間前からCFIUSとの交渉を行っており、根拠がないものだ」と反論している。