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QRコード決済の先駆者「Origami Pay」が目指す世界

 LINEの「LINE Pay」やNTTドコモの「d払い」など、多くのプレイヤーが参入し、にわかに注目されてきたスマートフォンとQRコードを使った決済サービス。Origamiは、このQRコード決済を日本でいち早く展開したスタートアップ企業だ。

 7日、同社は報道関係者向けに新オフィスを公開。社長の康井義貴氏が、スマートフォン決済市場の現状や今後の方針を紹介した。

QRコード決済、使い方は?

 「Origami Pay」は、専用アプリを使う決済サービスだ。利用方法はシンプルで、店員に「Origami Payで支払います」と伝えた後、店頭にあるQRコードをアプリにかざすだけ。代金はあらかじめ指定したクレジットカードや銀行口座から引き落とされる。

 利用履歴はアプリ内でチェックでき、利用したお店からクーポンが送られてくることもある。

Origami Payで支払うと伝え、アプリを支払いモードに
QRコードを読み取って支払い
購入履歴はアプリの「レシート」から確認できる

 メリットは、わざわざクレジットカードを出さなくても、常に持ち歩いているスマートフォンで支払いができること。また、おサイフケータイなどと違い、SIMフリースマホなどにも対応している。

 さらに、多くの加盟店では、現金で支払い額から2%割引されるという特典が用意されている。

 加盟店はロフト、無印良品、アオキ、日本交通など。百貨店ではモディ、パルコなどが対応している。コンビニではローソンが導入を予定している。

決済がユーザー接点になる

Origami 代表取締役社長 康井義貴氏(左)と、マーケティング部 ディレクターの古見幸生氏

 Origami社の設立は2012年2月。当初の事業はアプリでのECサービスの提供だった。決済サービス「Origami Pay」の提供を開始したのは2016年5月。QRコードを使った決済サービスは中国などではすでに普及していたが、日本で使えるサービスの中では、康井氏いわく“古株”だという。

 サービス開始から約1年半と、成長途上のサービスだが、加盟店は全国で約2万店となっている(導入予定のローソンなどを含む)。なお、取扱高などは非公表としている。

 2016年11月には中国アリババのQRコード決済「Alipay(支付宝)」と提携。「Origami Pay」のシステムがAlipayアプリの支払いに対応したことで、インバウンド対応のサービスとしても展開している。

 加盟店の決済手数料は一律3.25%で、初期費用や維持手数料などの固定費はかからない。

 おサイフケータイやクレジットカード決済が普及しているなか、Origami Payを導入する加盟店にメリットはあるのか。康井社長は「オムニチャネル戦略」をキーワードに、その答えを説明する。

 康井氏によると、これまでの決済方法では、店舗と来店客の関係は決済した時点で終了しており、購入したユーザーに対して再来店を促すことはできなかった。また、店舗独自のポイントカードなどを発行する販促手法でも、登録するのは一部にとどまり、実際のリーチ率は非常に低いと説明。

 一方、Origami Payでは一度決済したユーザーに対し、アプリ上でクーポンやセール告知を配布する機能を用意。多くのユーザーに対してアプローチできるという。康井氏は、「ECサイトに押される市場環境で、小売店もAmazonのようなデジタルレコメンデーションを導入しないと戦えなくなる」と語り、Origami Payの優位性を強調した。

決済機能のオープン化でシェア拡大を目指す

 同社は1月、「Origami Pay」のオープンプラットフォーム化構想を発表した。

 QRコード決済は、インターネット接続さえあれば特別な機能なしで実装できる。そこで、決済機能をAPIとして公開し、他社のアプリで決済機能を導入できるようにしようというのが同社の描く構想だ。

 第1弾として、セゾンカード・UCカードのクレジットカード会員向けアプリがOrigami Pay機能に対応。利用額などを確認するためのアプリで、そのまま支払いをできるようにした。すでにログインしているアカウントのカード情報を利用するため、あたらめてアカウントを作る必要もないという。

 Origamiはこうした決済機能を、手軽に導入できる決済プラットフォームとして、大手小売店のユーザー向けアプリなどへも展開していくという。

 また、Origami Payユーザーの支払い手段も拡充していく方針だ。これまではクレジットカードのみをサポートしていたが、大垣共立銀行との提携により口座引き落としに対応。支払った時点で口座から引き落とされる、デビットカードのような使い方もできるようになった。

 支払方法は、店舗の独自ポイントなど、カードや現金以外にも拡大していく方針。例えば、喫茶店チェーンでは独自のコーヒー回数券などを発行している場合、Origami Pay上での支払い時に回数券を利用できるような仕組みを検討しているという。

六本木ヒルズ31階の新本社

 2月1日より営業を開始したOrigamiの新本社は、六本木ヒルズの31階にある。かつて、リーマン・ブラザーズ証券のオフィスがあったフロアだ。康井社長はかつて同社に新卒入社し、2008年のリーマン・ショックを経験している。偶然だというが、ちょうど働いていたフロアに出戻りした形になる。

 新オフィスは「未完成・発展性」と「透明性」がテーマ。工事現場のプレハブ建築の仕組みを採用し、組み替えて拡張できる会議室を採用。窓の多く配置し、見通しの良いオフィスレイアウトにしている。

 社内にはOrigami Payだけで決済できるキオスクも用意。Origamiグッズや社員向けの食事などがキャッシュレスで購入できるようになっている。