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オンライン決済「Paidy」が100万人突破、70万サイトが導入の“クレカ代替サービス”

 エクスチェンジコーポレーションは、オンライン決済サービスの「Paidy」(ペイディ)の利用者数(口座数)が100万人を突破したと発表した。「Paidy」での決済に対応するWebサイトは70万以上。11月14日には都内で戦略説明会が開催され、今後の展開が解説された。

「Paidy」対応サイトでの利用イメージ。携帯電話番号とメールアドレスだけで利用を開始でき、クレジットカードのような即時決済と翌月のまとめ払いが可能

 「Paidy」は日本国内向けに2014年から提供されているオンライン決済サービス。事前の申込みは不要で、携帯電話番号とメールアドレスの登録だけで、クレジットカードのような即時に決済して翌月にまとめて支払うサービスを利用できるのが最大の特徴。決済時にはワンタイムパスワードがSMSに送信される。Paidyで決済した買物は、SMSとEメールで請求書が送付され、月末締めの翌月10日払いでコンビニや銀行振込、口座振替で代金を支払う。必要な情報を入力すれば分割払いも可能になっている。またPaidyのWebサイトでは履歴や累計の利用額がすぐに確認できる。

Paidyの概要や特徴。ユーザーと加盟店の双方にメリットがあるとした

 同社は調査などから、クレジットカードの普及枚数自体は平均3枚以上で行き渡っている状況である一方、ECサイトを利用するユーザーのうち、専業主婦や若年層は、クレジットカードを所持していないことも多いと指摘する。また、初めて利用するECサイトでは、過半数が代引きを選択するという調査結果があることも示し、信用できるかどうかわからないECサイトにクレジットカード番号を入力することが、大きな心理的障壁になっていることを紹介した。

 Paidyはこうした、クレジットカードを使えない、あるいは使いたくないというユーザーに対し、決済時にクレジットカードと同じような使い勝手を提供でき、代引きのように自宅に待機する必要がない、便利な選択肢であるとする。また、クレジットカードの顧客を奪うビジネスモデルではなく、新規の顧客を開拓しているサービスであるともしている。

 Paidyを一度利用すると、口座という形で個人に対し与信が設定(非公開)されるが、これは利用頻度や内容により変化していくとしている。また決済時にECサイト側から都度提供される住所情報(物品の配送先)も加味しながら、AIなどを活用し、決済毎の審査も行う。

 「Paidy」を導入する加盟店にとっては、こちらもクレジットカード同様が謳われており、売上金の入金は100%保証される。返金処理を簡便にしたほか、(クレジットカードの利用に抵抗を感じている)新規顧客を獲得できるとする。Paidy側に支払う手数料は非公開だが、クレジットカードと同じレベルとしている。

 また、今後重点的に開拓する分野として挙げられているトラベル業界のECサイト向けには、航空券などのチケットを予約しても決済しないという問題に対処できるものとして提供していく。

 エクスチェンジコーポレーションでは、2017年11月現在のユーザー数として100万口座を突破と発表したが、11カ月前の2016年末の時点では50万口座で、11カ月で2倍に増えた形。今後さらに増加ペースを拡大させていく方針で、高額決済やデジタルコンテンツ決済などのサービスも拡充していく。また、リアル店舗での決済にも対応できるよう検討を始めているという。さらに、決済だけでなく金融サービスとしてレンディング(融資)なども視野に入っているとしている。

加盟店にとっても「導入しない理由がないサービス」とアピール

 エクスチェンジコーポレーション 代表取締役会長のラッセル・カマー氏は、エクスチェンジコーポレーションがFinTech企業として日本でトップ10に入る資金調達規模を獲得し、大手銀行やFinTech専門のベンチャーキャピタルから出資を受けていることや、日本ですでに3年のサービス提供の実績があり、個別信用購入あっせん業者など3つの関連する免許を取得していることなどを紹介。シンプルで分かりやすいことに注力し、まとめて後払いになるクレジットカードと同様の機能を、“クレジットカードレス”で提供していることが特徴とした。

 日本で提供されているこのPaidy、事前に利用の申し込みをしたり、代引きで自宅に待機したりといった、決済にまつわる「面倒くさい」をとにかく解消することに注力して開発したのとこで、こうした哲学はサービスの隅々にまで徹底されているとした。

 11月からエクスチェンジコーポレーション 代表取締役社長 兼 CEOに就任した杉江陸氏は、個人消費全体と比較して利用が伸びているECサイトの市場規模や、決済にまつわるクレジットカードの、主に心理的な理由による課題を、独自に調査した結果で紹介。クレジットカードと同等のまとめ払いを提供することで、サービスが伸びる余地があるとした。

 杉江氏は「クレジットカードを利用している人は、そのまま利用してもらえばいい」と、あくまでクレジットカードを使えない・使いたくない人向けの、新規顧客を開拓しているサービスであることを強調する。また代引きについては、受け取りを拒否された場合、往復の配送料で利益が消えてしまうケースが多いとし、加盟店にとってはリスクの高い決済手段とも指摘する。こうしたことから、加盟店にとっても「導入して損はない。クレジットカード導入のメリットと比較して何一つ損ねたことはなく、新規の顧客を獲得できる。導入しない理由がないサービス」と、Paidyをアピールした。

 なお、未成年の利用に対する対応については、基本的には抑制する方向であるものの、「未成年に一律で決済手段を提供しないのが正しいのかというと、そうは思わない。高額な決済に対し、未成年で携帯電話の利用年数も少ないユーザーを(決済毎の審査で)通すことは絶対にない。しかし、数百円の決済もできないのが正しいのかというと、そうは思わない。与信を大きくして(代金を後から払えず)追い込まないようにすることが重要で、常にさじ加減の問題」(杉江氏)という方針で、社会的な動向も注視していくとしている。