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タンスに眠る昔のケータイ、1兆2080億円の市場価値~スマホの売却経験は1割に留まる

MM総研調査

 MM総研は、中古携帯電話端末の利用実態と市場規模に関する調査結果を発表した。同社の試算によると、使われずに保管されている携帯端末の市場価値は総額1兆2936億円となった。

 個人名義で利用されていたが、機種変更など使われなくなった後も自宅などで保管されている“埋蔵端末”は、同社の試算によれば1億7607万台にのぼる。フィーチャーフォンが最も多く、1億870台という見積もりで、スマートフォンは6737万台、タブレットで1059万台と予測された。

 同社は使われなくなった端末の台数に平均下取り額と売却金額をかけあわせて市場価値を試算。フィーチャーフォンは5301億円、スマートフォンは6779億円、タブレットは856億円となり、総額で1兆2936億円となった。ただし、この試算結果には対応周波数や故障などの要因により現在利用できない端末などは考慮されていないため、実際の市場価値はより低くなる可能性があると、同社は指摘している。

スマホの売却経験は10%未満

 一方、携帯電話端末を中古業者に売却したり、キャリアの下取りに出したりといった経験があるユーザーは少数に留まるようだ。同社が9月、2万1811人を対象に実施したWebアンケート調査によると、売却や下取りの経験があるのはフィーチャーフォンで7.3%、スマートフォンで9.4%、タブレットで3.4%と、それぞれ10%未満にとどまっている。

 売却や下取りをしない理由については、「売却・下取りできることを知らなかった」という理由が40%と最も多く、売却・下取りサービス自体の認知度の低さがうかがえる。そのほか、「セキュリティが心配(個人情報やデータ流出)」が21.2%、「必要なデータが保存されているから」が16.3%と続き、重要なデータも扱う携帯電話を手放すことに対する抵抗感も、こうしたサービスが利用されない大きな要因となっているようだ。

購入経験は5%以下

 同じアンケート調査では、中古端末を購入したことがあるというユーザーは、フィーチャーフォンで3.5%、スマートフォンで4.5%、タブレットでは3.1%にとどまった。

 購入したユーザーは価格の安さや、2年契約に縛られることなく購入できること、見た目が新品同様であること、必要な機能を選んで買えることなどを評価。

 反対に、購入したことがないユーザーはその理由を「売られていることを知らない」(31.6%)、「前の利用者が不明だから」(18.6%)、「中古端末を生理的に受け付けられないから」(17.5%)などと説明した。

中古市場の規模は238万台、キャリアの下取りが最大の競合に

 同社は中古端末の市場規模を2016年度で238万台と推計(うち携帯電話は191万台)。MVNOの拡大にともない、中古市場は今後拡大していくが、2020年度で308万台(うち携帯電話は245万台)と、“埋蔵端末”の規模と比較すると、控えめな予測になっている。

 中古フィーチャーフォン市場が新品市場の縮小と連動して減少している一方、中古スマートフォン市場は期待されたほど拡大していない状況となっている。同社はスマホ市場の伸び悩みの要因として、大手キャリアなどの下取り施策、SIMフリースマホの台頭、ユーザーの認知不足の3つを挙げている。

 特に、大手キャリアが下取りした端末は国内で中古販売されている様子が見られず、中古スマホの販売業者にとって最大の競合相手となっているのは大手キャリアと言えると分析。

 その上で、中古スマホの市場拡大のためには、まずは購入候補として検討するユーザーを増やす取り組みが重要と指摘している。