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1兆7013億円もの「埋蔵携帯」が家庭に眠る~浸透しない携帯電話の再活用

 ゲオは、使われないまま家庭で保管されている「埋蔵携帯」の資産価値を「1兆7013億円」と算出した。

 同社は「埋蔵携帯」を「現在使われていない自宅に保管している携帯電話」と定義。関西大学の宮本勝浩名誉教授の協力のもと、日本全体の資産価値総額を試算した。具体的には、埋蔵携帯の台数を「(平均携帯保有台数-平均契約携帯台数)×携帯電話保有人数」として算出。ゲオの中古買取の平均価格を掛けて、資産価値を導き出した。

 2015年5月に発表した同様の試算では「1兆6489億円」とされたことから、2年間で約500億円、増加した形となった。同社は「中古携帯市場が注目を集めるが、使わなくなった携帯電話を売る習慣が根付いていないことが課題」としている。

中古携帯電話市場は発展途上

リユースモバイル・ジャパン設立発表会の様子

 ゲオやTSUTAYA、ブックオフなど、中古携帯電話を扱う大手8社は、3月が業界団体「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」を設立し、中古端末の利用拡大を目指した取り組みを行っている。

 同団体は、会員8社のiPhone(5s以降の8機種)の買い取り実績を集計し、月別で公表している。現在公表されている2017年1~5月の実績では、各月1万4000台~1万9000台程度となっており、年間では20万台程度になると見込まれる。

 IDC Japanの調査によると、2016年の1年間には3260万台の携帯電話が出荷された。このうち、スマートフォンは2923万台となっている。iPhone 5s発売の2013年度以降、スマホ市場で約50%近いシェアを維持しており、この年もシェア49.1%となっている。大まかに計算して、1400万台ものiPhoneが出荷されたことになる。

 先に挙げたRMJ公表の実績はAndroidスマートフォンやフィーチャーフォンを含まないものだ。とはいえ、スマートフォンの出荷台数規模と比較すると、中古市場に流通する端末はきわめて少ないと言えるだろう。

【お詫びと訂正 2017/08/23 16:21】
 記事初出時、RMJ公表の買い取り実績について、集計対象を「スマートフォン」としていましたが、正しくは、「iPhone 5s以降の8機種」です。お詫びして訂正いたします。該当箇所は、iPhoneに限った比較となるよう修正済みです。

携帯電話リサイクル、業界の取り組み

 使用済みの携帯電話は、金銀などの貴重な金属資源が含まれることから「都市鉱山」とも呼ばれており、リサイクルの面からも再活用が期待されている。

モバイル・リサイクル・ネットワークのロゴマーク

 携帯電話のリサイクルは、電気通信事業者協会などが組織した「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」が継続的に実施している。キャリアショップなどで無料で回収し、再資源化する仕組みを整備している。

 MRNの毎年度の回収実績では、最新の2016年度の回収実績は562万1000台。携帯電話全体の年間出荷台数には遠く及ばない規模に留まる。また、設立初年度の2003年度の実績がもっとも多く、以降は横ばいまたは減少傾向になっている。

 2011年には国の主導で「携帯電話リサイクル推進協議会」が設立されたが、2014年以降は活動実績が更新されていない状況となっている。

 2017年4月には、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」がスタート。東京オリンピックで使われる約5000個のメダルを、回収した携帯電話の金属から作ることを目標としたプロジェクトで、全国の自治体やNTTドコモなどから回収を受け付けている。