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「2画面スマホはドコモが企画」吉澤社長が語る
2017年10月18日 19:03
NTTドコモは10月18日、スマートフォンやタブレットの新機種、カーシェアや新たな映像サービスなどを発表した。2画面スマホなど尖った製品も取りそろえる中、プレゼンテーションを行った代表取締役社長の吉澤和宏氏は「今回のテーマはRealize(リアライズ、実現させる)」と語る。
今春、「beyond宣言」を発表し、新たな付加価値の提供を目指すドコモは何を提供しようとしているのだろうか。
2画面スマホ「M」は海外キャリアでも
新機種のうち、最も力を込めて紹介されたのはZTE製の2画面スマートフォン「M」だ。ドコモの発表会が開催される半日ほど前にニューヨークで発表した機種が、日本でも、という形だが、実はドコモが企画をリードしたと吉澤氏。
吉澤氏
「Webブラウジングしながらメールを見たり、2画面をあわせて地図を見たり、用途にあわせて便利に使える。この新たなスタイルのスマートフォンはドコモが企画立案し、メーカーと共同開発した。日本だけではなくグローバルで展開する。AT&T、ボーダフォンから発売される。今後は世界のさまざまなキャリアから発売できるよう取り組んでいる。ドコモが提案する新しいスマートフォンを楽しんで欲しい」
吉澤氏によれば、ドコモ発案の機種であることから、海外キャリアで販売される場合、ロイヤリティ収入が発生する仕組みになっているという。
かつて同社では2画面スマートフォンとして「MEDIAS W」を発売したこともあるが、「当時もチャレンジだったが、今回はカメラやCPU、ディスプレイなどが進化した。Androidもマルチウィンドウ対応になり、2つのアプリを立ち上げられる。使い方の広がりがあるモデルだと思う」と森健一プロダクト部長は期待を込めたコメント。
2画面という新たなアイデアについては「5G時代になれば大画面化は大きな流れで出てくるだろう。スマートフォンの全てではなく、ひとつの方向性として徐々にそういう機種が出てくるのではないか」と説明。開けば大画面になるという仕組み自体は現時点で実現可能な大画面化のアイデアであり、今後、新たな技術の登場もありつつ、大画面化自体は今後も重要な要素との見方を示す。
同社テレビCMに登場する芸能人が登壇した際も、俳優の堤真一は「めちゃめちゃ格好いい。パパパってやっていると仕事できそうな気がする」とコメントし、さらに女優の高畑充希は「電子書籍で漫画をよく読むが、見開きで楽しめる。画期的。個人的にはMはすごすぎる。ちょっと2018年の楽しみです。今日、来られてよかったです」と期待に胸を膨らませていた。
カーシェア、AIエージェントで生活に新たな体験
注目を集めたサービスのひとつは「dカーシェア」。企業が提供するレンタカーおよびカーシェアに加えて、個人間のクルマの貸し借りを実現する。
ドコモでは今春発表したbeyond宣言の「スタイル革新宣言」の中で、シェアリングサービスに取り組む方針を打ち出していた。ユーザーのライフスタイルに新たな価値をもたらすためで、「dカーシェア」はその一環という位置づけ。
5G時代にはより高度な自動運転の実現が期待され、はたまた人口動態にあわせてタクシーの配車やバスのルートを変更するといった新たな手法もNTTドコモでは開発を進めている。自動運転やルート変更に加えて、今回のdカーシェアも、広く捉えれば「移動」というニーズに含まれるもの。通信対応の車載機器は利用せず通信事業と直接的なシナジーはないが、将来的には、5Gにおける自動車向け新技術との連携なども視野に入れている。
ドコモのAIエージェントは「自然な会話」「行動の先読み」
グーグルやLINE、そしてAmazonと、スマートスピーカーが続々と投入され、音声で操作するエージェント機能が今秋、注目を集めている。
そうした中で、ドコモでもAIエージェントを開発しており、来春、正式サービスを提供する予定だ。今秋は、その先駆けとして一部の機能が提供される。吉澤社長は「ドコモのAIエージェントは、お使いのスマートフォン、タブレットから、いつでもどこでもを実現する」と語り、スマートスピーカーではなく、ユーザーがメインで使うスマートフォンをハブして活用していく姿勢を示す。
その特徴は、行動の先読みや自然対話、パーソナライズなど。たとえば先読みは、雨天の場合に普段より早い時間でアラームを鳴らすというもの。日頃、自転車で駅まで行っている場合は雨で徒歩になるであろう、と予測した行動というわけだ。また早く退社する日には「映画に行きますか?」と提案してくれる。これも直近で楽しんだ映像コンテンツがあれば、その続編などを薦めてくれるという。
その使い勝手をイメージした映像もあわせて公開されたが、対話の部分は「どこが質問で、どこが雑談か見極めがまだ難しい」(担当者)として、実現までしばらく時間がかかる見込みながら、行動の先読みなど、動画で描かれている主な機能は実装される予定だという。
吉澤社長は「現時点で20社を超えるパートナーと話をしている。APIをオープンにしてさまざまなパートナーと作り上げたい」と意欲を見せる。今話題のスマートスピーカーについてもベンダーへAPIを開放することから、「どんどん作っていただければ」と語っていた。
フィーチャーフォンはラインアップに含まれず
今回のラインアップでは、折りたたみ型のフィーチャーフォンがなかった。これに吉澤社長は「(1年前にリリースした)PとSHで需要をまかない切れていると思っている」と説明した。
なお、法人向けにはシャープ製のカメラレスフィーチャーフォン「SH-02K」が11月下旬に発売される予定だ。
iPhone 8の動向は?
iPhone 8/8 Plusの売れ行きを問われた吉澤社長は「同じ期間でiPhone 7と比べると7割前後だと思う。そこまで数は出ていない。iPhone Xを待つ方がかなりいるのではないか。(iPhone X発売後)触って比較して8かXか。合算することでかなり出てくるのかな」とコメント。iPhone X発売後、iPhone 8シリーズとの合計でiPhone 7シリーズを超えるとの見通しを示す。
ただiPhone Xの入荷については「数はまだわからない。予約を受け付けてそれなりに発注したいと思っているが、どれくらい来るのか。品薄になる場合、供給がどれくらいで満足していただけるようになるのか、まだわかりません」と不透明な状況であることを明らかにした。
また端末代金の割引をなくす代わりに利用料を安くする「docomo with」の対象にiPhoneシリーズを加えて欲しいという声はないのか、という問いには「まったくないわけではないが、非常に少ない」(吉澤社長)という。
docomo with発表時から変わらず、ハイエンドモデルは端末割引があるほうが購入しやすいのでは、と述べた吉澤氏は、auのような手法として、端末購入の有無どちらか選べるようにするとユーザーにとっては迷いを生むため、避けていると語る。「iPhone SE」はdocomo with向きでは? という質問には、「ちょっと4万円を超えるものは難しいのでは。調達価格で決まる話だが、調達価格以下で販売することは絶対にない。iPhone SEも、ドコモとしてそこまで扱っておらず、そこはないと思う」と否定した。