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au NAGOYAであの頃の思い出がよみがえる「ケータイ再起動」イベント

au NAGOYAに期間限定で実施されている「おもいでケータイ再起動」

 KDDI直営店の「au NAGOYA」では、8月18日~20日にかけて、過去に使っていた携帯電話を充電・再起動し、端末内の思い出の写真をプリントアウトしてもらえるイベント「おもいでケータイ再起動」が実施されている。

 初日となる18日には30名弱のユーザーがau NAGOYAを訪れ、思い出のケータイの再起動にチャレンジした。持ち込まれた端末の多くは10年以上前のもので、その多くはバッテリーが放電した状態。中にはバッテリーのカバーがはまらないほど膨らんだものも。

 こうした難敵を前に、KDDI社員有志で構成された「au おせっかい部」のメンバーが、auショップのバックヤードで使用していたバッテリーのテスターを使ったり、ACアダプターで給電したり、あらゆる手段を駆使して端末の再起動を試みた。

 再起動に成功したケータイを手に、夫と付き合っていた当時のメールを目にし、はにかみながら喜ぶ女性を前に、スタッフが一緒になって喜ぶ場面があるなど、終始笑顔に満ちたイベントとなっていた。プリクラが貼ってあったり、盛大にデコレーションされていたり、テーブルに並ぶケータイを眺めるだけでも楽しい。

 もちろん、水没シールが赤く染まり、端末自体が動かなくなっており、期待に応えられないこともあるが、それも含めてユーザーとスタッフが一喜一憂して楽しんでいた。

バッテリーテスターで完全放電したバッテリーへの充電を試みる
バッテリーパックが膨らんで接点と接触不良を起こしている場合はテープで角度調整
懐かしの思い出がよみがえると、思わず笑顔に
希望者には思い出の写真をプリントアウトしてプレゼントしてくれる

きっかけは昨年のケータイ30周年企画

(左から)KDDI コンシューマ事業本部 コンシューマ事業企画本部 コンシューマエクスペリエンス推進部長で、おせっかい部 部長の木村奈津子氏と広報部 メディア開発グループ グループリーダーの西原由哲氏

 CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上をテーマに、さまざまな改革に取り組んできたKDDIだが、コンシューマ事業本部 コンシューマ事業企画本部 コンシューマエクスペリエンス推進部長で、おせっかい部 部長の木村奈津子氏は、「皆さん、思い出がケータイに詰まっていて、それは我々としてもお客様との貴重で大事な接点で、宝物だと思っているので、それをお客様と一緒に楽しんだり、復活させたりというのは、キャリアとしてやっていくというのはいいことだよね、と思ってやっている」と、その意義を説明する。

 同氏は、「2016年の春に『おもいでタイムライン』や『ケータイ図鑑』を企画した時、懐かしいケータイの話をすると、みんながほっこりしたいい感じになって、いろんな思い出話が出ていた。そう言えば、中にいろいろと入っているよね、でも、(バッテリーが)放電しちゃって中のものが見られないという物が意外と多いということに気づき、これを取り出してあげたらお客様が喜ぶんじゃないか、みたいな話になり、au SHINJUKUで第1弾となる『おもいで充電イベント』を実施した」と振り返る。

店頭には「おもいでタイムライン」のパネルも

 その際、全国各地からユーザーが来て、地方でもやってほしいという声が多かったことから、全国に点在するKDDI直営店でも同様の企画をブラッシュアップして実施することに至ったという。

 当時、「おもいでタイムライン」や「ケータイ図鑑」、au SHINJUKUでの「おもいで充電イベント」を担当していた広報部 メディア開発グループ グループリーダーの西原由哲氏も、おせっかい部に仮入部。au SHINJUKUで充電イベントを実施した時のユーザーの笑顔が忘れられず、夏季休暇中にも関わらず家族を実家に残して名古屋に駆け付けて作業を手伝った。

 他キャリアの端末も受け入れているため、同氏は「『本当にいいんですか? auじゃないんですよ?』と言われるんですが、我々はケータイで思い出を楽しんでもらう方はキャリアに関係ないと思っているので、まんべんなくやりたいと思っている。『タダなんですか?』と聞かれることもありますが」と笑う。

全国行脚用にコンパクトにまとめられた「ケータイ図鑑」
アンケートに答えるとステッカーがもらえる
店頭の人気調査によると2000年~2010年がアツい

社員の手作りにこだわる

 直営店に来店できないというユーザー向けには、おせっかい部が出張して端末の再起動を試みる「おもいでケータイ再起動<かけつけ篇>」への応募も受け付けていた(8月13日で終了)。また、名古屋の次に実施される直営店や日程はまだ具体的には決まっていないが、年度内に各地で実施する想定だという。

 思い出話で会話が盛り上がることもあり、現状、1名あたりの応対に30分~1時間を要しているが、もっとスムーズに応対できるようにしたり、再起動して閲覧できるようになったデータをバックアップできるような仕組みを提供したり、サービスとしての進化も期待される。

au NAGOYAの外観

 ちなみに、会場となったau NAGOYAは、KDDI直営店の第1号店舗として2010年にオープンした時に店長を務めていた木村氏にとっては思い出深い場所。これを指摘すると、「またうまいことを(笑)。ありがとうございます。本当に思い出深いですよ。その頃からのスタッフもまだいますし、同窓会みたいです」と、同店での自身の思い出を振り返っていた。

 同氏によれば、今回のイベントは1日6~7人ずつ20人弱のメンバーが部署の壁を越えて集まって実施している。サービスは手作り感があふれ、決してきれいにシステム化されているわけではなく、応対もマニュアル化されているわけではない。それでも、販売代理店にショップ運営を任せたり、子会社にコールセンター業務を委託したりと、いわゆる“丸投げ”でユーザーの生の声が聞こえにくくなっている本社勤務の社員にとっては、直接ユーザーと会話できるまたとない機会となっている様子。この刺激を通じて社内の意識改革を促せば、結果的にCXの向上につながるのかもしれない。