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SORACOMが3つの拡充、月45円~の新プランやLoRaWANデバイスのオープン化

 IoT向け通信サービスを手がけるソラコム(SORACOM)は、データ通信サービスでの新料金の導入や、クラウド連携サービスの機能拡充、IoT向け通信方式「LoRaWAN」向けデバイスのオープン化などを発表した。

 玉川憲社長は、「IoTの世界では、ものすごい数のデバイスが接続する。これから本格的なIoTのコネクティビティの時期になる中で、SORACOMはプラットフォーム的な良さを打ち出せるようになってきた」と語る。

月額45円~の低トラフィック向けプラン

 5月16日より、ソラコムでは、データ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で、通信量が少ない用途に適したプラン「Low Data Volume」(ローデータ ボリューム)を提供する。

 「SORACOM Air for セルラー」は、日本、米国、欧州で提供されているIoT向け通信サービス。グローバル向けのSIMカードをソラコムが調達し、1枚のSIMカードで120を超える国・地域で通信できる環境を提供する。これまでは1日0.06ドル(グローバル料金、約6.8円)、つまり月で200円はかかる形だったが、「Low Data Volume」は月0.4ドル(約45円)、1MBあたり0.5ドル(約56円)で提供される。データ通信量が少ないデバイスであれば、従来よりも大幅に安価な通信料で利用できることになる。料金体系はグローバルで共通。

 玉川社長は「0MB~3MB程度の用途が一番良いのではないか」と説明。たとえば月に1度程度の通信で、1KBしか通信しないようなデバイスでは、新プランでは月額料金および1KB分の課金だけとなり、料金が45.05円程度で、通信環境を用意できることになるのだという。具体的には、踏切が何回上げ下げされたか、自販機の在庫報告など、遠隔で機器がきちんと動作しているか監視するといった用途に合うと見られている。

クラウド連携の機能拡張

 ソラコムが提供する「SORACOM Funnel(ファネル)」は、企業のIoTデバイスで取得したデータを、大手クラウドサービスへ送信できるようにするサービス。企業にとっては、サービスのAPIごとに、ソラコム側がアダプタと呼ぶ機能を介して、大きな手間なく大手クラウドサービスを利用できるようになる。

 これまでは、「Amazon Kinesis Streams」「Amazon Kinesis Firehose」「AWS IoT」「Microsoft Azure Event Hubs」と特定のクラウドサービスとの連携に限定されていたが、5月10日からは、ソラコムのサービスを活用するパートナー企業(SPSパートナー)のソリューションと連携できるようになる。第1弾として、アプレッソの「DataSpider Servista」、ウイングアーク1stの「MotionBoard」、Kiiの「Kii」となる。

LoRaWAN用デバイス、複数メーカーに対応へ

 同社では2月、IoT向けの通信技術として今後の普及が期待される「LoRaWAN」への対応を発表。具体的なデバイスとして、エイビット社のリファレンスモデルを提供してきたが、今回の発表以降、導入企業が選ぶデバイス、モジュールを利用できるようになる。

 申請があれば、認定手続きのあと、利用できるようになる。エイビットのデバイスのほか、第1弾としてSTマイクロエレクトロニクスの「STM32L0」(Discovery Kit LoRa)、GISupplyの「LT-100」など。

さらなる飛躍の時期に向けて

 SORACOMは通信の民主化をする企業――そう語る玉川氏は、6000以上のユーザーアカウントが同社のサービスを利用すると胸を張る。

 楽天Edyの決済端末、日本交通子会社のタクシー内タブレットのコンテンツ更新、工事現場をドローンで撮影して掘削の角度などベテランでなくとも重機を運用しやすくするコマツの「スマートコンストラクション」、福岡で女性の1人向け住宅でのセキュリティ製品、はたまた工場での電力使用量の見える化や、旋盤の電圧から故障を予知するシステムなど、SORACOMの導入事例は幅広い。通信経路としてSORACOMのサービスを使い、数多くのパートナーがソリューションを作り上げるという構造で拡大している。今回のタイミングでも、新たなパートナーとしてKii、KYOSO、NEC、日置電機が参画することになった。

 海外での進出も本格的に進めており、北米と欧州での展開に注力。今回の発表は、これまでの課題を穴埋めするような取り組みで、たとえば低料金の新プランは車両運行の管理や、遠隔監視システムなど、運用するデバイスの数が多いような事例での導入が期待できる。

LoRaWAN用ゲートウェイを手にする玉川氏

 玉川氏は、「今後、本格的なIoTのコネクティビティの時期に入ってきている。その中で我々の立ち位置が明確になってきた。コネクティビティとクラウドを繋ぐ部分で、セキュアであり、導入や運用が楽であり、すぐ辞められたりするなど、プラットフォーム的な良さを追求していくことを明確に打ち出せている」と語っていた。