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「au×HAKUTO」月面探査機の名称は「SORATO」に

サカナクションの応援曲も進化

 KDDIとispaceは、月面探査プロジェクト「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」の探査機(ローバー)の名称を「SORATO」に決定した。

 21日、東京・江東区の日本科学未来館にて発表された。漢字にすると「宙の兎」を連想でき、「宙と(宇宙とともに)」といった願いが込められているという「SORATO」。3万7000通を超える応募の中から選ばれた。

月を目指すローバー「SORATO」。日本科学未来館「ジオ・コスモス」前にて撮影

 あわせて、プロジェクトのアンバサダーに就任したロックバンド「サカナクション」が手がける応援楽曲「MOON」に歌詞が追加され、新曲「SORATO」となった。同日、au STAR会員などの招待客を前に、初披露された。

「9合目まで来た」12月28日打ち上げへ

 「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」は、無人の月面探査ローバーを月に送り込み、月表面の撮影を目指すプロジェクト。

HAKUTO代表の袴田武史氏

 民間の月面探査チームが月面探査一番乗りを競う「Google Lunar XPRIZE」。日本から唯一参加するチームが「HAKUTO」だ。

 活動開始から7年、「9合目まで来た」と、HAKUTO代表の袴田武史氏は語る。3月にはローバー「SORATO」のフライトモデルが完成し、最終試験に臨む。

 レースでは、打ち上げ予定の2017年を迎え、ファイナリストとして5チームが残った。HAKUTOはインドのチームとロケットを“相乗り”して、月面へのアプローチに挑む。

 ロケットの打ち上げ予定日は2017年末となる12月28日。他のチームの開発状況は明らかにされていないが、袴田氏は「5チームの中でも優勝の可能性が十分残されている」と自信を見せる。

 レースの目的は、月面から走るローバーで撮影したHD映像を、地球に送信すること。そのためには、地球から月への通信品質の確保も重要だ。KDDIは、HAKUTOのスポンサーとして、通信面での技術サポートを提供している。

 KDDI総合研究所との協力体制によって、地球と月面の着陸機との限られた通信回線で、大容量の動画データをどのように送信するかという課題に挑む。月面上での通信では、地上のモバイルデータ通信と同じ周波数帯の利用を想定しているという。

サカナクションの応援ソングも「SORATO」に

 命名式には公式アンバサダーとして「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」を応援するサカナクションも登場。応援ソングの「moon」に歌詞が加わった新曲「SORATO」を発表した。

新曲への思いを語る山口。左端はKDDI コミュニケーション本部長の山田隆章氏

 作詞を担当したボーカルの山口一郎は、「(対談を通して影響を受けた)袴田さん個人への応援メッセージにもなっている」と語った。山口はローバーの命名の審査委員の一人でもあり、新曲の歌詞には「僕だったらこうつけるなという名前も入っている」(山口)という。

初披露ライブにはau STAR会員も招待された

打ち上げ費用をクラウドファンディング、リターンは「SORATO」に名前刻印

 また、HAKUTOは21日より、クラウドファンディングによる資金調達を開始した。

 今後、ロケットの打ち上げや相乗り計画を変更したことによるローバーの調整で、1億数千万円の費用が必要とされるという。追加の費用の獲得にあわせて、プロジェクトの周知を図るため、一般から資金を募集数するためのクラウドファンディングの利用することとなった。

 月面探査ローバー「SORATO」に支援者の名前を刻印するというリターンも用意される。1万円の支援で5文字、2万円で10文字、10万円で15文字となっている。ローバーの前面・背面の裏側にレーザー刻印され、表面からは見えない。

 このほか、20万円の支援でHAKUTOのユニフォーム、1000万円の支援でローバーの実物大モックアップといったリターンを用意している。