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目標は年間90万契約、UQ野坂社長が描く2017年のビジョン

UQの野坂社長

 UQコミュニケーションズは25日、2017年春商戦に向けた新機種や学割、新たな料金プランを発表した。

 MVNOやワイモバイルを相手に競争するUQが、端末・料金・サービスいずれも、他社と比べて遜色ない出来であることをアピールする場となる一方、報道陣からは「ワイモバイルとどう差別化するのか」と、独自色が薄いことを指摘する質問も挙がった。

CMで一気に知名度アップ

 昨秋から積極的に広告を展開する「UQ mobile」については、昨夏「iPhone 5s」を投入したこと、1年間1980円の料金プランをワイモバイルに続いて提供したことから契約数を順調に積み増した。さらに秋から大々的にテレビCMを展開したことで認知度が24%(2016年6月)→61%(同11月)→71%(同12月)と一気にアップ。12月にかけて契約数が「2倍、3倍近くになってきた」(野坂氏)。

 同社では、3月、さらに多くの契約数を獲得すると見込んでおり、その3月のペースをその後も続けることができればMVNO新規市場の30%、およそ90万件の獲得も「見えてきた」と野坂氏は語る。実際に達成できるかどうかは不透明ながら、UQとしては2017年通期で獲得する目標数をその90万件にするという。

Androidスマホ、売れた機種は

 最近では、MVNOのなかでも「mineo(ケイ・オプティコム)」の契約数が50万件を達成。年間90万件は、格安スマホ/MVNO市場でも、それなりに高い目標と言える。

 契約数を増やす手段のひとつが機種ラインアップとした場合、UQは昨秋投入したモデルのうち「P9 Lite Premium」「AQUOS L」の2機種がよく売れたと野坂氏。

 単なるSIMロックフリーではなく、通信回線とセットというパッケージが響いたのではないか、と分析したという野坂氏は、UQオリジナルのスマートフォンを投入することが重要として「DIGNO W」「BLADE V770」という2機種のスマートフォンと、Androidベースのフィーチャーフォン「DIGNO Phone」を投入する。

 DIGNO Wは、auの2017年春モデルのUQ版と言えるもの。DIGNO Phoneも約1年前に登場したしたauの「GRATINA 4G」とほぼ同型の機種で、どちらもauグループならではのラインアップ。そしてBLADE V770も今のところ、国内ではUQのみが取り扱う機種となる。

ワイモバイルと横並びの学割

 日本の携帯電話業界では、毎年、春商戦が一番活気づくシーズンとされる。10年以上にわたり、大手キャリアは学生をターゲットにした割引サービス(学割)を実施しており、新規ユーザーの獲得に勤しんできた。

 特に2017年春商戦では、auが従量制の考えを取り込んだ大容量プランの割引を新たに導入。ソフトバンクはそれに追随する一方、格安スマホ市場で一番手と目されるワイモバイルは、1年前から実施している「イチキュッパ」を今春も引き続き実施していく方針だ。

 そうした動きを踏まえ、UQが展開する「UQ学割」は、18歳以下のユーザーであれば契約から2年間、1カ月あたり2000円引きで利用できるもの。一番安いプランであれば月額1980円と、ワイモバイルと同等の価格で利用できることをうたう。

 野坂氏は「大手キャリアは2980円で、1980円を意識されていると思う。しかし固定回線の契約や、もう1台の購入が必要だったり、段階制の定額だったりとちょっと複雑でわからないという印象」と、グループ会社のau(KDDI)を含めてばっさり。

 その上でUQの学割は「ワイモバイルと基本的に変わらないと思っている」と説明し、大手キャリアとも、MVNOとも違う“第3極”のポジションを追求するUQとしては、学割だけではなくWiMAXも含めて独自性を打ち出している、と説明する。

WiMAX、「3日間で3GB」は「月間100GB」?

 2016年秋のiPhone 7/7 Plusにあわせて、日本の携帯電話業界に登場したのは、月あたりのデータ通信量が20GB、30GBという、大容量プランだ。

 一方のUQは、WiMAX 2+方式で1カ月あたりの通信量に制限がないものの3日間の通信料が3GBを超えると、通信速度を制限する「ギガ放題」を提供してきた。3日間で3GBでは快適な速度で利用できるのは、月間30GB相当になる。そこでUQが2016年12月に発表したのが「3日間3GB」を「3日間10GB」に緩和するというもの。2月2日から導入される。

 野坂氏は、3日間10GBの制限緩和では、1カ月間で快適な速度で利用できるのは100GBとアピール。もし制限されるとしてもその時間帯は18時~翌2時であり、昼間は使い放題となることも大きな特徴。ただ、WiMAXユーザーからは屋内での繋がりやすさに不満があるとして、その弱点をフォローする施策として、今夏よりLTEオプションの利用料(1005円)を無料にする。

 WiMAXではさらなるスピードアップに向けて、FD(Full Dimension)-MIMOや8×8 MIMOなど先端技術について、技術陣が検証を開始していることも明らかにされた。この春からは、440Mbps対応エリアが東名阪から全国に拡がることも、ソフトバンク/ワイモバイルとの違いと説明していた。