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ビッグデータをエリア整備に活用するソフトバンク

北海道美瑛町「青い池」周辺を900MHzでエリア拡充

 ソフトバンクは8日、北海道美瑛町の「青い池」周辺の電波改善対策に関する説明会を実施。7月初旬に開局する予定の基地局整備の様子などを報道関係者向けに公開した。

ビッグデータを基地局整備に活用

青い池

 「青い池」は、北海道の中央部の美瑛町東南部にある人造池。付近の湧水に含まれる水酸化アルミニウムが美瑛川の水と混ざることでコロイド状となり、太陽光の反射によって青く見える。その神秘的な風景は、Mac OSやiPhoneの壁紙としても知られることとなり、フォトグラファーらを魅了してきた。

 近年は観光スポットとして国内外からの観光客が増えており、ソフトバンクでも3Gでのカバーエリアとしてきたが、需要に応えるため、新たに4G LTEのエリアとして整備することにしたという。

現状では3Gで通信。7月には4G LTEでの通信が可能になる

 こうした決断の背景には、ユーザーのスマートフォンにインストールされたアプリにより計測されたNGログの存在がある。「片田舎としては(NGログが)極端に多い」と語るのは、ソフトバンク 北海道技術統括部 北海道技術部 技術管理課 課長の中西雅大氏。美しい風景をスマートフォンのカメラで撮影し、その場でSNSに投稿したいというユーザーのニーズを反映した結果だろう。

 同氏によれば、どの地点で通信できなかったか、というビッグデータを解析することで、優先的にエリア整備を実施すべき場所の検討を進めているという。

平日にも関わらず国内外から観光客がこの場所を訪れる

森の中に28メートルの茶色い基地局

青い池から1kmほど離れた森の中に設置された28メートルの茶色い基地局

 しかし、豊かな自然を魅力に観光の促進を図る美瑛町は景観を重視しており、青い池の駐車場近くに基地局を設置する予定だった計画が一旦白紙に戻るなど、町との協議が難航。こうした基地局は、スムーズに行けば半年ほどで設置できるが、今回のケースでは約2年がかりで調整を進め、ようやく着工にこぎつけたという。

 青い池から1kmほど離れた場所に設置されたのは、28メートルのファストポール(FP)型の基地局。同社がプラチナバンドと呼ぶ900MHzの4G LTEおよび3Gでの通信を担う。この基地局でカバーするのは半径2~3kmほどのエリアで、青い池をカバーするアンテナと、周辺の道路をカバーするアンテナが1つずつ取り付けられる。

 中西氏によれば、「対策したいのがエリアなのか、キャパシティなのかによって、使う周波数を変えている。エリアを取りたいという場合には900MHzを使っていく」という。

ソフトバンク 北海道技術統括部 北海道技術部 技術管理課 課長の中西雅大氏

 7月初旬に予定されている開局に向け、取材した8日にはちょうどアンテナの設置工事が行われていた。この後、通信設備一式が整ったところでチューニングを行い、開局となる。

 ちなみに、このタイプの基地局の色は、支柱にコンクリートが用いられるため、通常はグレーになっているが、ここでは周囲の景観に馴染むように茶色く塗られている。他の事業者を含め、美瑛町周辺ではこうした工夫が施されているという。

3人の作業員がアンテナの設置に取り組んでいた
地上では通信機材の設置作業も並行して行われていた

さらなるエリア拡充を目指す

 北海道地域全体の状況としては、2014年10月末から1年でプラチナバンドLTEのエリアが4.6倍に拡大。3月26日に開業した北海道新幹線のトンネル外区間では4G LTEが利用可能となっているが、課題となるのはトンネル区間。今後、他の事業者とともにトンネル内のエリア化も進めて行くという。

 「北海道ではやはり雪による制約が出てくる。とくに山間部だと車が入れなくなるし、雪に埋まってしまうと、どこが借りている土地なのか判別できないということも起きる」と笑う中西氏。工事が行える期間の制約を抱えながらも、ユーザーのニーズを満たせるようにエリア対策が続けられている。