インタビュー

ヨドバシで買える3Mbps・1680円~で月間容量制限無しのSIMカード

ワイヤレスゲートとフォン・ジャパンの狙い

ワイヤレスゲートのSIMパッケージ

 ヨドバシカメラの店頭や通販サイトで、通信速度に250kbpsまたは3Mbpsという上限を設ける一方で月間通信容量を無制限としたSIMカードを販売するワイヤレスゲート。250kbpsのプランでは月額480円~、3Mbpsのプランでは月額1680円~で利用できる。

 ワイヤレスゲートは全国約4万カ所の公衆無線LANスポットを保有しており、同社のMVNOサービスのユーザーはこれらのスポットを追加料金無しで利用できる。さらに、同社は昨年、Wi-Fiコミュニティ「FON」を展開するフォン・ジャパンに資本参加。3Mbpsのプランでは、FONのネットワークも利用可能となり、世界2000万カ所のアクセスポイントを利用できるようになっている。

ワイヤレスゲート 取締役CAOの原田実氏

 ワイヤレスゲート 取締役CAOの原田実氏は、「当社は元々Wi-Fiサービスの会社だが、MVNOサービスも提供し始めた。これから一番力を入れていくSIMサービスは、差別化が難しく、料金競争に陥りがちだが、独自の強みを打ち出していきたい」と語る。通信速度と料金をうまくバランスさせながら、MVNOでありながら公衆無線LANスポットを追加料金無しで利用可能とすることで、競合他社に無い魅力をユーザーに訴求していくという。

 原田氏によれば、250kbpsのプランを契約するのは、それで十分に使えるということを理解しているリテラシーが高いユーザーが多く、通販(ヨドバシ・ドット・コム)での購入が中心だという。これに対し、3Mbpsのプランは店頭で説明を聞いて、プラン内容に納得して契約するユーザーが中心。同氏は「お昼休みや通勤・通学の時間帯などは混雑することもあるが、3Mbps出ていれば音楽や動画も快適に利用できる」としている。

フォン・ジャパン 代表取締役CEOの金田宏氏

 一方、業務資本提携したフォン・ジャパンだが、代表取締役CEOの金田宏氏は、「従来のWi-Fiコミュニティの運営に加え、今後は公衆無線LANスポットの構築に力を入れていく」と語る。FONブランドを認知している海外からの旅行者が多く集まるような人気の観光スポットにアクセスポイントを設置していくことで、さらなるユーザー獲得を狙う。

 両社では、FONのルーターを使い、浅草や鎌倉、ニセコなどで観光客向けの無料Wi-Fiサービスを提供し、そこで蓄積されたユーザーの導線を分析することでマーケティングデータとして活用することも目指す。広告配信の効果測定や、路上パフォーマンスや移動販売のカートなどで使える決済手段の提供なども視野に入れている。

 原田氏によれば、これから日本を訪れようとする海外のユーザーに対し、FONの販路でワイヤレスゲートのSIMカードを販売したり、FONブランドのSIMカードを用意したりすることも検討しているという。

湯野 康隆