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ワイヤレスゲートとFONがタッグ、ヨドバシでのルーター販売やビッグデータ活用

 ワイヤレスゲートは、世界各国でWi-Fiスポットを展開するFONとその日本法人であるフォン・ジャパンとともに日本国内におけるWi-Fiインフラの拡充を開始すると発表した。エリア拡大とWi-Fi利用のマーケティング事業を強化する。

 これにより、ワイヤレスゲートでは、3月19日より無線LANルーター「Fonera mini(フォネラ ミニ)」をヨドバシカメラで販売する。自宅にFonera miniを設置すると国内外ノFONのスポットが利用できるようになる。また、「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の会員であれば、国内のワイヤレスゲートのWi-Fiスポット約4万カ所、モバイル通信、も利用できる。

 これまでソフトバンクとの協力により、国内に約100万カ所、存在するというFONのWi-Fiスポット。今回の取り組みもあって、今後、20万カ所さらに増やす考え。

 一方、移動販売事業者向けのプラットフォーム「M-Store Platform」を提供する、2014年設立のスタートアップであるアンデコ社でもFonera miniを活用する。これまではショッピングモール内などにある飲食、小売の移動店舗に電気、水を供給するソリューションを提供してきたが、さらにWi-Fiスポットも提供することになり、スタッフや来店客がWi-Fiを利用できるようにする。

 ワイヤレスゲートでは、フォン・ジャパンとともにアンデコが展開する店舗のWi-Fiスポットから得られる人の流れに関するデータを収集、解析し、ビッグデータの活用に取り組み、マーケティング事業に活かしていく。

コストがかかるWi-Fiスポットで収益を

 MVNO事業で成長してきたワイヤレスゲートにとって、これまで、Wi-Fiスポットは設置などで費用がかかるもので、収益増をもたらす存在ではなかったという。しかし、その構造を今回のアライアンスを通じて逆転させ、収益をもたらす存在に切り替えようと意気込む。その中核の1つとして紹介されたのが、アンデコの「M-Store Platform」だ。小規模な移動店舗向けに電気、水を供給するための据置型スタンド、あるいは手押しカートをラインアップする企業だが、その事業はまだ立ち上げたばかりで、実際の導入はこれから。ただ売り込む先は移動店舗だけではなく、ショッピングモールも含まれる。

 「ショッピングモールにとっては、常に人を呼ぶコンテンツが求められる。いつも同じ店舗の顔ぶれでは飽きられてしまう」(アンデコ社長の早川慶朗氏)

据置型のスタンド

 つまり入れ替え可能な小型店舗へのニーズがあり、そうした店舗をまねきやすくするため、据置型のスタンドで電気や水を利用しやすい環境を……というのがアンデコの狙うマーケット。ちなみにアンデコが提供するスタンドは10万円程度で製作し、ショッピングモールには無料で納入、移動店舗から利用料を得る形となり、FONルーターの搭載が予定されている。30万~50万円の価格になる見込みという手押しカートは、GPSやバッテリーなどを搭載する本体に車輪、手で押すためのハンドルが付き、平らな本体の上に食品など、販売アイテムを置く、というスタイル。リースかレンタルでの提供が想定されており、モバイル通信可能なルーターが搭載される。こちらはFONのルーターを搭載するかどうかは未定。店舗の周辺ではWi-Fiスポットサービスを提供するとのこと。まずアンデコ自身が数十のカートで、「ご当地アイス」のカートを展開する方針で、第1弾は湘南のアイスを用意する。このため、アイス工場も用意したのだという。

手押しカート

 一方、ワイヤレスゲート代表取締役CEOの池田武弘氏は「ショッピングモールなどでWi-Fiスポットの導入を検討するところはあるが、これまでは導入コストがネックだった」と語る。ここでアンデコの提供する装置にWi-Fiルーターを組み合わせる。店舗側は来店客に営業を行う場所を告知しやすくなり、ショッピングモールのような存在からすると小型店舗を取り込みやすく、なおかつWi-Fiスポットを導入して収益を得られることになる。

 既にワイヤレスゲートでは、銀座や秋葉原の商店街にWi-Fiスポットのソリューションを提供。ここでユーザーの利用動向から、人がどれくらい通行しているのか、特定の場所にどれくらい滞留しているのかがわかるとのことで、商店街・ショッピングモールにとって来店客の動きを把握してマーケティングに繋げやすくなるのだという。

「Wi-Fiは無料だけで使われるとコストがかかるだけ。これをいかにビジネスに繋げて収益をあげていくかが重要」(池田氏)

 2020年の東京オリンピックで訪日外国人が増えることも踏まえ、ワイヤレスゲートでは今後20万カ所のWi-Fiスポットの構築を目指す。欧州を中心に、海外でブランド力があるというFONとタッグを組み、訪日外国人の利用を取り込む考えだ。

関口 聖