シャープ、ソフトバンク向け夏モデル開発者インタビュー

先進の006SH、防水・折りたたみでユーザー開拓を狙う007SH


 シャープはこれまでキャリアごとに異なったスマートフォンのブランドを「AQUOS PHONE」に統一。ソフトバンク向けに006SHと007SHの2機種をリリースした。006SHはツインカメラを搭載し、誰でも簡単に3D写真や3D動画が撮れるようになっただけでなく、3D液晶の見やすさも増し、「3D」に磨きをかけた端末に仕上がっている。一方の007SHは、フルタッチのスマートフォンの中で、テンキーを搭載した、国内初の折りたたみ型防水スマートフォンである。


006SH007SH

 非常に個性的な2機種の開発コンセプトやこだわりの点などを、シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 副参事 林孝之氏、同部係長の奥田計氏、同じく係長の河本幸生氏に伺った。

――今回ツインカメラ搭載の006SHと、Android搭載のスマートフォンなのに折りたたみの007SHという、非常にユニークな端末をリリースされました。

林氏

林氏
 006SHはすでに発売しておりますが、おかげさまで、好調な滑り出しです。スマートフォンは、この夏で、各社ようやく出そろってきた感がありますね。市場も拡大し、フィーチャーフォンから乗り換えるユーザーさんが非常に多くなっています。もうフィーチャーフォンとスマートフォンは半々くらいなのかなという感じです。

 006SHと007SHは、どちらもAndroid 2.3を搭載したスマートフォンです。006SHは、ケータイの機能をほぼ使えて、さらにプラスアルファで新しい価値を伝えられるような物づくりが必要だなという発想のもとに、ハイエンドユーザーに満足していただけるような企画と作り込みをしています。

 一方の007SHですが、こちらは見ての通り折りたたみ型ですが、スマートフォンなんです。これまでのスマートフォンを見て、なんでこの形なの? なんでキーがないの? なぜカメラは高解像度のものがついていないの? とおっしゃるお客様は非常に多いんです。アプリは使いたいけど、自分にフルタッチのスマートフォンは使いこなせるの? というお客様もいらっしゃる。そこで、フィーチャーフォンを使っているお客様でも、積極的に、乗り換えられるよう考えたモデルになっています。

 つまり、006SHは新しさや機能性、007SHは使い勝手と移行しやすさをメインに考えられたモデルということです。

3D機能とAV連携が強化された006SH

――ではまず006SHについて製品の特徴を教えてください。

河本氏

河本氏
 今回の最大の特徴は、ツインカメラを搭載したことです。これまで003SH、005SHに3D液晶を搭載し、3Dコンテンツを楽しむ場を提供してきました。今回はそこからさらに一歩踏み込んで、3Dを作る楽しみをこの端末で提供したいと考えて企画しています。従来の単眼のカメラで、左目用と右目用を撮るには少々コツがいることもあり、うまく撮れない方もいらっしゃったようです。今回はツインカメラになったことで、1回のシャッターで撮れますから、動きの速い被写体や動画も3Dで簡単に撮影することができるようになりました。撮影時はファインダービューでも3Dで見られますので、仕上がりを確認しながら撮れます。

 せっかく3Dで撮るからには、やはり見応えも気になるところだと思いますが、シャッターチャンスをカメラが自動的にそれを判別し、教えてくれるようにもなりました。「3Dジャッジ!」という機能ですが、3Dではない通常撮影時に、奥行きの効果が得られそうな被写体だとカメラが判断すると、「TRY!!」というインジケータが点灯します。これで3D撮影に誘導してあげるわけです。常に3D撮影では2D撮影に比べて電力を消費しますから、必要なときだけすばやく3Dで撮影できるという点で、省電力効果もあるんです。

 魚眼カメラ、ミニチュアライブカメラ、トイカメラと、ぼかしの効果が入る一眼レフカメラといったものを搭載しています。

――液晶が以前に比べて格段に3Dで見やすくなった気がします。前は角度をつけたり距離を調整したり、3Dに見えるまでにちょっと苦労することがありました。

河本氏
 それは「低クロストーク」の効果ですね。今回カメラと同時により3Dを楽しんでいただくために、ディスプレイも強化しました。メガネなしで3Dを楽しんでいただけるように、「視差バリア方式」というのを採用しています。これは、右目でみる映像と、左目でみる映像を、液晶の上で構成されるシャッターで遮って、右目は右目、左目は左目の映像を見ることで立体視できる技術ですが、今回は右目の映像と左目の映像を混ざりにくくする設計をしています。それが「低クロストーク」です。これにより、見た瞬間から自然に3Dでご覧いただけると思います。

 さらに、液晶パネルと、上の保護板の間の空気層をなくし、直に貼り合わせることで光の乱反射を抑える「リフレクトバリアパネル」も採用しています。屋外の、日光の強い場所でも映像が見やすいですし、黒がとても引き締まってきれいにみえるんですよ。

――「リフレクトバリア構造」は、3Dではない従来の液晶パネルではすでに採用されていたと思うのですが、前回の003SH、005SHの3Dのパネルでは採用されていませんでしたね。今回採用したのはなぜでしょうか。

河本氏
 2D、3Dにかかわらず、いわゆる「直貼り」といわれる構造は、非常に難易度が高いんです。密着度合いによって液晶が抑えられ、そこの部分だけ色が変わったりとか、いろんな問題が起きやすいんですね。ですから技術的にノウハウを蓄積する都合上、006SHからになりました。

――搭載されている機能の中で、3D表示を生かした演出などがあったら教えてください。

奥田氏
 「3Dスライドショー」という機能を搭載しています。ただ写真をスライドショーで見るのではなくて、3Dの効果を交えることで、写真を思い出としてドラマチックに演出できます。もう1つが、「3Dアニメビュー」ですね。メール画面の背景に3Dアニメーションが見える機能ですが、ハートの絵文字とかがあると、ハートがぷかぷか浮いているように見えるので、楽しさがアップします。このほかに、3Dの取り組みということで、「3D美人時計」などの3Dコンテンツがあります。



――今回から「AQUOS PHONE」とブランド名が統一されていますが、AQUOSとの連携はいかがですか。

河本氏
 「AQUOS PHONE」というのは、映像の美しさにこだわるとともに、液晶テレビのAQUOSとの連携も強化しますよ、という意味合いも含まれています。003SH、005SHのときは、端末の中に保存された写真や動画などのコンテンツを、AQUOSで見たり操作できるDLNA(Digital Living Network Alliance)のDMS(Digital Media Server)に対応しました。今回は、DMSにプラスして、DMP(Digital Media Player)とDMC(Digital Media Controller)に対応しています。これで006SHに入っているコンテンツを、AQUOSに表示して見るだけではなく、AQUOSブルーレイに入っているものを006SHで楽しんだり、離れた部屋のレコーダーにあるコンテンツを、自分の部屋や手元にあるAQUOS PHONEで楽しみ、さらに、大きな画面で見たくなったときは、自分の部屋のAQUOSに簡単に送り出して再生する、なんてことができるようになりました。「スマートファミリンク」機能というのですが、つまり、液晶テレビのAQUOSや、AQUOSブルーレイなどのAV機器と、006SHをワイヤレスに連携できるようになったわけです。また、006SHのコンテンツをAQUOSで見ているときに、メールなどの受信が分かる「AQUOSインフォメーション」もサポートしています。テレビに集中していても、着信のお知らせなどが画面の右下に表示されるので便利ですよ。

 しかも、これから発売されるAQUOSには、DLNAの「レンダラー」という機能を搭載していますので、006SHの写真をワイヤレスで飛ばして表示させる「スマートジャンプ」という機能が使えるようになります。撮った写真を大勢で楽しむときなどに活躍すると思います。

――操作してみると、動作も軽くて反応がいいですね。ハードウェア的に強化された部分はありますか。

河本氏
 これまでお話ししたようなツインカメラやスマートファミリンクといった機能を、快適にご利用いただくために、OSは最新のAndroid 2.3を搭載し、さらにCPUにはクアルコムのSnapdragon MSM8255を採用して、クロック数も1.4GHzに上げています。

――ソフトウェア的にこだわったり、チューニングされたところはありますか。

河本氏
 まずは、ブラウザの拡大縮小のレスポンスですね。003SHのときに、ブラウザの見やすさやレスポンスについては市場からのフィードバッグがいくつかありました。今回はそれを踏まえて、まず画面サイズを4.2インチにして一覧性をあげました。加えて、見たいところをすぐに拡大して見られるよう、ピンチ操作にこだわったチューニングをしています。触っていただくと分かるんですが、ブラウザ上でピンチしていただくと、非常になめらかに拡大縮小できるんです。

 他に強化した点といえば、メールの機能ですね。先ほど「3Dアニメビュー」をご紹介しましたが、他に送信日時を指定してメールが送れたり、圏外から圏内になったタイミングでメールが送信できる「送信予約メール」ですとか、あと迷惑メールがきたときに、電話帳に登録されていないメールはフォルダ振り分けして、かつ振り分けしたメールは通知しなようにするといった迷惑メール対策も搭載しています。

 電話まわりの機能もこだわって強化しています。たとえば、003SHのときは、電話が着信すると、ボタンをスライドして応答する操作が基本だったんですが、006SHでは、ロックスクリーンではどうしても誤動作防止のためスライドでの応答になりますが、ロック解除後の着信は、ワンタッチで出られます。さらに、物理的なキーで応答できたほうが簡単という声に応えて、ホームキーでも応答できるようにしました。

――物理キーを押して出られるというのは、フィーチャーフォンで慣れた作法という感じでいいですね。

河本氏
 そうなんです。また、フルタッチの画面ですから、電話している最中に間違って顔で通話終了ボタンをタッチしてしまうというミスも起こりがちなので、近接センサーで感知して、顔が近づいているときは他のボタンを触らないように配慮しました。

――従来の機能、特に日本のケータイでは当たり前に思われている機能についてはいかがでしょうか。

河本氏
 おサイフケータイ、赤外線とか、そういった従来の日本の要求仕様をきっちりサポートしています。緊急地震速報にも対応していますし、簡易留守録機能も用意しています。この簡易留守録機能は、意外と「フィーチャーフォンにはあったのにスマートフォンにはないの?」と言われる機能の1つなんですよね。ですから弊社としてはだいぶ苦労しつつも、こだわって搭載しました。自動応答で「ただいま電話に出ることができません」という応答を流して、端末内に留守録できますから、非常に手軽にご利用いただけると思います。

――先進の機能を搭載しつつ、使えて当たり前に思われている機能もカバーしているわけですね。

奥田氏
 その通りです。新しい3Dなどの新しい機能も重要なんですが、基本的なパフォーマンスや使い勝手については、市場からのコメントに耳を傾けさせていただいて、積極的に端末に反映しています。アプリのショートカットを連続して貼りやすいというのも、些細な部分ではありますが、こだわりのUIの1つですね。

スマートフォン市場で、新たなユーザー層の開拓にチャレンジする007SH

――続いて007SHの開発コンセプトを教えてください。

奥田氏

奥田氏
 007SHは、キー操作が主体の、片手で操作ができるスマートフォンということで開発しております。ご覧いただくと分かる通り、007SHというのは2軸ヒンジの折りたたみ型なんですね。折りたたんでコンパクトに持ち運べ、サブディスプレイがあって、テンキーが使えて、でもOSは最新のAndroid2.3を搭載したスマートフォンです。折りたたみ型でもおなじみの回転2軸ヒンジスタイルなので、パネルをくるりと回転させてテンキーを隠すと、今度はフルタッチのスマートフォンに早変わりします。しかも、スマートフォンにしては省エネ使用という特徴があります。

――実現するまでに、いろいろご苦労はあったと思うんですが、あえてテンキー付きの折りたたみ型にしようと思ったのはなぜでしょうか。

奥田氏
 今、スマートフォンが人気になってきましたけど、「フルタッチ=スマートフォン」みたいな形で一般的には認知されていて流行っていますよね。でも、スマートフォンと考えたときに、みんながみんなフルタッチが欲しいのか? と思ったのです。

 そこで調査をしてみると、まだこの折りたたみのタイプのケータイが欲しいという方が4割以上いらっしゃった。やはりお客さんのニーズを考えるときに、折りたたみ型というのは、国内では常に1番人気の形状なんですね。そんな折りたたみ型を好むお客さんも、スマートフォンを使いたいんじゃないか、考えました。現在スマートフォンをご購入いただいていないお客様の理由はどこにあるのだろう? と考えたときに、テンキー付きのこういう端末に行き着いたというわけです。

 フルタッチで文字入力ができないとか、タッチの端末だとちょっと先進感がありすぎて、自分では使えないと思うようなお客さんは、この形を見るとすごく安心されるんですね。これだったら自分にも使えるんじゃないかと、思っていただけるのではないでしょうか。



 開発当初は難しいんじゃないかという話もあったんですが、弊社はすでに3つのバージョンのAndroid端末を経験しており、今回で4世代目なんです。手を入れていいところと、いけないところというのをいろいろ経験させていただいているので、その辺の経験が非常に生きたんじゃないかなと思っております。

――Android端末におけるこのスタイルは、珍しい取り組みですよね。

奥田氏
 国内では初めてですね。キー操作をメインに使っていただこうという考え方自体、我々からすると初めての試みの端末になっております。折りたたみ型のスマートフォン、とさらっと言ってしまってますが、カメラも16メガのCCDを搭載していますし、3D表示に対応していますし、ワンセグもおサイフケータイもサポートした端末なんです。しかも防水(IPX5/IPX7相当)、防塵(IPX5相当)対応ですから、お風呂でメールもできます。お風呂でフルタッチのスマートフォンは水滴の問題もあって、なかなか使いにくいところがありますが、キーに対応しているので安心してご利用いただけます。

――折りたたみ型のほうが断然電話してる感はありますよね。

奥田氏
 そうなんです。今、スマートフォンの中で一番電話しやすいんじゃないかなと思います(笑)。やはり電話キーがついてるので、着信があったとき一発で出られるとか、何かあったとき、たとえば時報を聞くにしても、すぐ117と押して発信とすると、すぐ時報が聞ける。フィーチャーフォンの使い勝手そのままです。

 片手で全部できてしまうという点もポイントですね。たとえば通話中にちょっとスピーカーホンにしたいなというときも、センターキーを押すとスピーカーホンに変えられたりなど、簡単に操作できます。

林氏
 全画面のスマートフォンでは、なかなか電話をかけづらいという方でも、これなら数字キーを押せばすぐダイヤルパッドが出てきますし、発信キーを押せば、そのまま電話をかけられます。フルタッチに抵抗のある方でも、これなら安心して便利にご利用いただけると思います。



――Android 2.3ということですが、先にご紹介いただいた006SHとの違いがあったら教えてください。

奥田氏
 007SHの中は、006SHのUIそのままですね。とはいっても画面サイズが違うので、すべてが全く同じとはいえません。ランチャーメニュー画面に並べられるアイコンの数が違うといった違いはありますが、ハードスペックですとか、画面サイズ以外の差分というのは基本的にはほとんどないという状態です。

――これは横に回転させるとフルキーは出るのでしょうか?

奥田氏
 はい、使えます。通常は横に倒れないんですけど、自動回転をオンにするとQWERTYのキーボードが表示され、入力が可能になります。

――キーパッドがでると、さすがに画面がいっぱいになりますね。

奥田氏
 フルタッチの端末だと、文字入力するとき入力箇所をタッチするとキーパッドが現れて、何か入力するとキーの上に候補がでますね。007SHでテンキーを使うと、基本的には画面は全部見えていて、キーパッドがない分、変換候補も多めに出せるというメリットがあります。すっきりした画面を見ながら、文字入力は快適に。しかも画面はタッチでもできますので、文字入力しながら顔文字はこれ、などをタッチで選ぶこともできます。

 この文字入力に関しても、フィーチャーフォンの感覚で使えるように、Androidの機能をキーに割り当てる努力をしています。入力も変換も、基本的には、今までと全く同じ配置というのは心がけています。

 ただ、少しだけAndroidに影響されている部分があります。フィーチャーフォンの場合は、文字の削除と、戻るというキーが1つになった「クリアボタン」が真ん中にあったと思うんですが、Androidの場合は戻るというキーと、文字を削除するキーが別々に定義されているため、分かれています。どちらをどこに配置するかという点ですが、文字入力のしやすさを優先して、削除キーを、従来のクリアキーの場所に配置しています。

 また、Androidの操作には「長タッチ」がありますが、これもキーの場合は「センターキーの長押し」で対応しています。たとえばメールを選んで、メールを削除したい場合は、センターキー長押しすると削除というメニューが出てきます。これはAndroidの基本的な動きになるので、ダウンロードしたアプリケーションも含めて、同じ操作になります。この辺がちょっとだけ、今までのフィーチャーフォンと違うところです。

――Androidのホーム画面と、フィーチャーフォンのホーム画面は違いますが、そのあたりはどうしていますか。

奥田氏
 片手使いのケータイ操作を実現する端末と考えたときに、パッと端末を開いて、電話帳を開いたり、メール開いたり、左キーを押すと着信履歴を表示するとか、ワンタッチで操作したいですよね。そこで、ホーム画面とは別に「待受画面」を用意しました。この「待受画面」にすると、左キーで着信履歴、右キーで電話帳、ソフトキーでメールやブラウザを起動する、字キーの下キーは、Androidでいうところの通知パネルを表示するなど、ワンタッチで操作できます。

 007SHには通話キーと終話キーを用意していますが、フィーチャーフォンにおける終話キーというのは、起動しているアプリケーションを終了して待受画面に戻るという感覚がありますよね。そこで、カスタマイズして、終話キーを押すと、アプリを終了して、待受画面を表示するようにしています。ちなみに、ホーム画面と待受画面は別々の壁紙を貼れますので、区別しにくい方にはおすすめです。



――フィーチャーフォンの感覚で使えるように、Androidの機能をキーに割り当てたいということですよね。

奥田氏
 そうです。普通に使えるようにするためのカスタマイズを行っています。とはいえ、やはりAndroidですし、いろんなアプリをダウンロードされるでしょうから、柔軟性も必要だろうということで、十字キーとソフトキーには好きなアプリケーションを割り当てられるようにしてあります。左のソフトキーはTwitterで、右はワンセグがいいですとか、下キーは通知パネルではなくて、電話帳に変えるなど、ご自身のニーズにあわせてカスタマイズできます。

――サブディスプレイというのは、まさにケータイっぽい部分だと思うのですが、どの程度の情報が表示されるのですか?

奥田氏
 折りたたみ式ならやはり必要な機能ということで、サブディスプレイの表示や、7色のイルミネーションを設けているわけですが、サブディスプレイに表示される情報は、通知パネルに表示される情報をベースにカスタマイズしています。閉じているときに新着メールや、不在着信があると名前やアイコンで通知され、ディスプレイを開くと、不在着信とメールと簡易留守録の3つのアイコンが、ロックスクリーン上に件数とともに表示されます。

――フルタッチの端末で電話をするのが苦手という人もいらっしゃるでしょうし、新しい操作を覚えることに抵抗を感じている人もかなりいると思うので、従来の操作で画面操作もできるんであれば、悩める層に関してはすごくわかりやすい端末ですね。しかもほぼ全部入りに等しいわけですし。

林氏
 そういうユーザーさんてずっと置き去りだったような気がするんですよね。そういった方にきちんとAndroidを使っていただけるような、そういった企画って絶対ありじゃないかと思いました。

――企画の段階で、反対意見などはなかったのでしょうか。

林氏
 折りたたみのキー付き端末ということに対して、実は反対する人はほとんどいませんでした。特にソフトバンクさんに関しては、とても前向きに対応していただきました。通常のフルタッチに加え、テンキー付きの端末もあれば、ラインナップとしては強力になりますし、幅広いお客様に訴求できるわけですから。

 ただ、作り込みの段階では、Androidに詳しければ詳しいほど、作れないのではないか、カスタマイズ入れまくりになって、挙げ句アプリが動かないなんてことが起きるのではないか、相当の開発負荷がかかるんじゃないかという意見が相当あったことは事実です。

――カスタマイズというお話がありましたが、アップデートに関してはいかがですか。

奥田氏
 この端末に限らず、フルタッチの端末に関しても、先々のアップデートについては色々と検討しております。ただ、今後のことはお答えするのが難しいところです。

――フルタッチのスマートフォンといえば電池の持ちが話題になりますが、このスタイルの場合どうなのか気になるところです。

奥田氏
 006SHに比べ、007SHの電池パックの容量は小さいです。ただ、通常のフルタッチのスマートフォンと比べて007SHは省エネ設計になっています。まず液晶ですが、3.4型のワイドVGA液晶ということで、当然LEDの数が異なるので、画面がついているときの消費電力も違います。これだけでも消費電力が20%強は下がっています。さらに、文字入力がハードキーということで、液晶パネルをタッチして認識して……という入力操作に比べると、約35%の低消費電力化につながっています。しかも、折りたたみ型ということで、使ったらすぐ閉じますよね。これですぐ画面が消え省電力状態に入りますから、無駄な電力消費を防げます。必要な情報はサブディスプレイを見れば済むことも多い。時間を確認したいときや、着信時の表示などはその例だと思いますが、逆にフルタッチの場合は、画面いっぱいに表示するわけですから。そんなわけで、持ち時間は使い方次第で大きく変わりますが、同じ使い方なら007SHのほうがかなり持つのではないかと思っています。

――今回卓上ホルダを用意されていますね。やはり防水なので、キャップ開けてほしくないからでしょうか。

奥田氏
 防水端末なので、充電をするときにキャップの開け閉めをしないようにというのもありますし、充電中のスライドショーを楽しんでいただきたいという目的もあります。待受画面でセットすると、3Dでスライドショーが楽しめるんです。フォトスタンドとしての使い方もあります。

――そういえば007SHの液晶も3D対応でしたね。

奥田氏
 はい、しっかり3D液晶です(笑)。



――Androidのスマートフォンということは、当然アプリのダウンロードも他と変わらず可能なわけですね。アプリ側のキー対応や画面サイズなどが気になるところですが、対応状況はいかがでしょうか。

奥田氏
 スマートフォンなので、アプリのダウンロードはできます。気になるアプリですが、さっそくスケジューラーの「ジョルテ」が対応してくださいました。もともと「ジョルテ」はキーでは日付を選択して決定というのができなかったんです。それを今回キー操作したときに、日付をキーで選ぶと、選んだ日付のイベントが表示されるという対応をしていただきました。ソフトキーにも対応しています。

 Android標準のキーコードを使用していますので、対応はそれほど困難ではなかったと伺っています。今後マーケットのアプリもキー対応したものが続々登場してくれるのではないかと、我々も期待しています。

――007SHには派手なバージョンがあるようですが、どういう層がターゲットなのでしょうか。

林氏
 「007SH J」ですね。これは大人女子、つまり30代の女性にターゲットを絞ったモデルです。ベースモデルは007SHですが、着信ランプがハート型になっていたり、大人可愛い壁紙や、女子力がアップしそうな内蔵アプリケーションを盛り込むなどして、大人女子の世界を演出しています。

――今後の市場のトレンドとして、相変わらずフルタッチの一般的なスマートフォンの形状が主流であり続けるか、こういうテンキー付きのインターフェイスのほうが多くなるのか、どう見ていらっしゃいますか。

林氏
 どっちが売れてどっちが売れないという話ではなくて、カテゴリが作れればいいのかなと思っています。お客様のニーズもきっちり分かれていくのではないでしょうか。スマートフォンだから、Androidだからこういう形じゃないといけないとか、こうでなければならないというのはないと考えています。使い道によって、なんとかケータイとかいろんな言い方をされていると思うんですが、テンキー付きのスマートフォンだよというカテゴリーができればうれしいですね。今回、作るのかなり難しかったんですが、このモデルが売れれば次のモデル、さらに次のモデルというところもどんどん持って行きたいなと思っています。

――本日はどうもありがとうございました。

 




(すずまり)

2011/6/28 06:00