「CA005」開発者インタビュー
13Mカメラを搭載しつつ防水対応したEXILIMケータイ
防水ケータイ、デジタルカメラブランドケータイの先駆けといえばカシオだ。最近では北米向けにリリースされた耐衝撃性能を備えたG'zOneシリーズや、EXILIMの名を冠した「EXILIM Phone C721」が記憶に新しい。
そのカシオが、二軸ヒンジ形状の国内モデルとしてはW61CA以来約2年半ぶり、かつEXILIMケータイブランドとしては初となる防水端末「CA005」をリリースした。同社の防水端末を待ち望んでいたユーザーにとっては待望の製品となる。
「CA005」を開発に至った経緯やコンセプトなどを、カシオ日立モバイルコミュニケーションズのカシオマーケティングチームの高木健介氏、同第一事業部 企画チームの香田隆誠氏、同社開発設計本部 ソフト設計グループ 風見覚氏、同じく開発設計本部 機構設計グループ リーダーの永峯健司氏、カシオ計算機 デザインセンタープロダクトデザイン部 リーダーの花房紀人氏、同社開発本部 デザインセンター 第一デザイン室 村田史奈氏に伺った。
■開発経緯・コンセプト
高木氏 |
――今回のCA005は久しぶりの防水対応端末になりますね。
高木氏
そうですね。カシオモデルとしては久しぶりの防水端末です。ただ今回のau10年夏モデルは、全機種防水、しかもいわゆるブランドケータイが弊社のEXILIMケータイを含めて5モデルということで、防水×ブランドケータイ合戦のような状態です。その中で、我々は国内初のデジタルカメラブランドケータイとして、ユーザー待望の初の防水対応と業界最高クラスの13Mカメラ、さらに防水の2軸ヒンジ形状では最薄クラスの14.5mm、この3本柱を中心にアピールしていきたいと考えております。
――では改めて開発経緯や製品の特徴をご紹介ください。
高木氏
EXILIMケータイとしては、2007年の初代W53CAから今年で3年が経ち、これまで4機種(CA004を含めると5機種)をリリースしてきました。この間、2軸というスタイルは崩さずに、EXILIMケータイならではの“カメラオリエンテッドデザイン”を維持しながら進化を続けています。ちなみに弊社が行っている購入者アンケートの結果から見るEXILIMケータイの購入層は、歴代いずれも男女比率は、ほぼ半々で、また年齢も10~20代、30代、40代以上と3つに分けてみると歴代機種とも偏りがほとんどありません。つまり、性別年齢を問わず、多くの方に購入していただいているブランドというわけです。
また、EXILIMケータイの購入理由ですが、これも歴代機種とも高画素カメラがダントツ1位というのがポイントで、次に本体デザインが続いています。この2点はEXILIMケータイの不動の購入理由です。さらに最近は、「EXILIMケータイだから」「カシオだから」という項目も上昇しており、購入理由におけるブランドのポジションも高くなってきています。一方、要望点では、「防水」が1位でした。従って今回CA005の「13メガ」「防水」は、EXILIMケータイユーザーの期待にしっかりと応えることができると思います。
CA005のコアターゲットとしては、日常生活の中で思い立ったらいつでもどこでも、キレイな写真を撮りたい「フォトアクティブユーザー」の方々。特に20~30代女性を中心に考えています。
花房氏 |
――今回のデザインコンセプトを教えてください。
花房氏
初代W53CAと2代目W63CAのときには、誰が見てもデジタルカメラと感じていただける、“まるでカメラなケータイ”を目指しましたが、3代目のCA003では“カメラとケータイが自然によりそう新しい形”を目指しました。そして今回のCA005ではその方向性の2代目ということで、和らげる、ホッとさせるといった意味合いを持つ「relieve」をテーマに、CA003同様に、スクエアでシンプルな形状の中に、カメラとしての佇まいや使い勝手をきちんと盛り込んでいこうと考えました。
薄型ケータイにありがちなんですが、薄くなっていくほどに、持ち心地に不安感がでてきてしまいます。今回大きな特徴である防水と、14.5mmの薄型という部分をテーマの中にどう盛り込むかと考えたときに、画面側と本体側を1つの塊として、モノフォルムとして感じていただける形状を目指すことで使用感の向上を図りました。
形状としてはCA003同様に、水平垂直のラインで作られたスクエアなボディなんですが、カメラフェイスのカバーが画面ユニットの側面に回り込む形になっており、画面側と本体側が一体となったモノフォルムを形作っているのが特徴です。
ヒンジ部分は、従来の防水二軸モデルでは、どうしても本体から盛り上がる形になってしまっていたんですね。そこがデザインネックでもあったんですが、今回は設計チームの努力もありまして、本体にギリギリまで埋め込むことができ、不要な盛り上がりを感じさせないシンプルな形状にすることができました。
EXILIMケータイの顔であるカメラ面では、レンズユニットに輝きのあるミラー仕上げのリングを配しまして、この部分で優しさや高級感を感じていただきたいなと。また、その内側には防水感を感じさせるマットなリングや、EXILIMケータイを象徴するスピンヘアラインのアルミパネルがあり、カメラとしての精密感もしっかり演出しています。
周囲のリングライトなんですが、今回CA003からの進化ポイントとして、7色のマルチカラー発光に対応しました。着信連動で、着信者によって色がかわるんですね。基本、着信LEDと同じ仕様になっておりますので、カメラを上にして伏せておいても、着信情報がしっかり伝わる仕組みで、表現力が大幅に向上しています。
――着信時はどちらを上にしていても両方光るんですか?
高木氏
はい。どちらにおいても同じ色で光ります。
――拝見したところ、microSDのスロットが外にありますね。今までの防水ケータイでは背面パネルの中に配置するというのがほとんどだと思うんですが、今回普通に外の側面に配置されています。これは何か狙いがあったのですか?
花房氏
EXILIMケータイとして、使いやすさを感じていただくためにはカードへのアクセスが容易であることが大事だと考えました。バッテリーカバーを開けて、さらに電池パックをも外してアクセスするパターンは防水ケータイでは非常に多いんですけれど、今回は使いやすさへのこだわりから、すぐにmicroSDカードにアクセスしていただける作りを実現しています。
――薄さ14.5mmというのは一番薄い部分を指しますか?
花房氏
そうです。レンズ部分以外はすべてフラットに仕上げていますので、この薄さは手に持ったときに一番感じていただけるかなと思っております。
――カラー展開としては少し懐かしい感じがあるんですが、ボディカラーへのこだわりがあれば教えてください。
花房氏
ボディが画面側面を巻き込んでいくというフォルム構成に対応し、質感と色調の異なる二つの色面をバランス良く組み合わせる事を考えました。光沢のカメラ面と、テクスチャを持った半艶の画面ケース。スクエアなボディに個性と躍動感を与える事を意識しています。
一番特徴的な「ピンク×パープル」は、色味をアクティブに組み合わせ,センスある遊び心を表現した「アソートテーマ」。「ライトグリーン」は同系色のカラーを重ね、上質な高級感を意識した「レイヤードテーマ」。残りの「ブラック」と「ホワイト」に関しては、「オフニュートラルテーマ」で、落ち着いたモノトーン、ワントーンの中での、微妙なパール感の違いなどを楽しんでいただける仕上がりになっています。
ご指摘の様に、グリーンとホワイトはCA初の防水2軸端末,W52CAを彷彿とさせる色です。ユーザー像が52と共通する部分が多いので,自然と近しい色合いになりました。
――テンキーが2色に見えて綺麗ですね。
花房氏
キートップはCA001でご好評いただいた「イントレチャートキー」の流れを組む特徴的な形状としています。W41CA以来、キーの押し心地には定評いただいていますが、キーの縦だけでなく横方向にも盛り上がりを変えてさらに使いやすさにこだわるとともに、裏印刷の明度を表面の立体に合わせて、あえて半々で少しずらすことで、より立体感を演出しました。透明感や輝きで、防水端末らしいアクセサリー感覚をプラスしております。
■パネル1枚で防水構造を実現
永峯氏 |
香田氏 |
――御社は防水機能を他社に先駆けて導入されていますが、国内モデルでは久しぶりですね。防水でEXILIMというと北米モデルのほうが先ですが、そのあたりのノウハウというのは生かされているんですか?
永峯氏
北米向けのモデルとは機能などが結構変わって来ますし、事業者の違いやコンセプトの違いがありますので、中身としては全く別ものの開発になってますね。
香田氏
北米モデルの場合は耐衝撃性能もついています。逆に薄いと心配されたりするかもしれないですね(笑)。今回のCA005では、防水構造でも電池カバーが1枚パネルになったところは大きな違いだと思います。
――防水構造でのこだわりや苦労された点はどんなところでしょうか。
永峯氏
薄型というところにも絡んできますが、従来防水の電池蓋の構造ですと、外装の部分と、黒い防水パッキンパーツがついたカバーと別の二重構造になっていたんですね。それは製造上の理由であったり、作りやすさにメリットがあったからなんですが、今回、このモデルの開発が始まる前から、薄型化を目指して新しい技術を取り入れて行こうということで、外装の全面を覆うカバーに対して、直接防水パッキンを成形するという構造にしました。
――蓋にある「はがさないでください」というシールは何の役目をしているのですか?
永峯氏
実はEXILIMロゴを固定しているんです。
――このシールを剥がしたらどうなるんですか?
永峯氏
水が漏れます。
――若干不安な感じもしますが、防水性能としては問題ないんでしょうか。
永峯氏
裏側を見ていただくと分かりますけれども、防水性能を確保するためにパッキンのところに6カ所のフックを設けていたり、構造的にいろいろな工夫を施しています。これは従来の構造ではなかった部分です。こういったところで防水性能の確保と薄型化の両立を図っています。
――なるほど、microSDのカードスロットを外に出したことで、電池蓋の開け閉め自体はほぼなくなりますしね。
香田氏
今までの防水ケータイでは、電池蓋の開け閉めは基本的にmicroSDカードの出し入れが頻度としては一番高いと思います。今回それを外に出したことで、基本的には、電池蓋を開けることはほとんどないのではないかと思います。
――その他に、防水機構面で苦労されたところはありますか?
永峯氏
苦労したところというと、やはり薄型と防水、EXILIMデザインの両立ですね。操作側のレイアウトなど、かなり内部構造の見直しをして、このサイズを実現しています。EXILIMデザインということで、やはりカメラ以外はフラットでなければということで、小型化、薄型化という点では、通常の機種よりかなり気を遣いました。
――電池をはずれにくくするようにロック機構を設けてますね。電池は普通外れてもいいんじゃないかと思うのですが、性能上こうしたほうがいいということですか?
永峯氏
やはり構造的な理由が一番ですね。周囲に防水のパッキンがあるので、落下したときなどに、この電池がはずれて防水機能に影響を及ぼすことを防いでいます。
花房氏
内側にロックを設けてもらったことで、外側にロックがないというスッキリしたデザインに結びついています。
――W52CAのときに角があるなぁという感じがしたんですが、今回もやはり角のあるスクエアなデザインです。
花房氏
構造と薄さのバランスを取った結果がW52CAだったわけですが、防水構造でどうしてもフォルムに制限がでてきてしまうという部分がありました。今回も薄さを優先するという命題がありましたし、想定するユーザー像が52と近しいので,自然と共通する部分の多いデザインに落ち着いていますね。フォルムのテーマであったり、パーツの回し方であったり、先程お話しした様に色であったり。W52CAユーザーに「カシオの新しい防水端末が同じような雰囲気で出てきたな」と気づいていただき、乗り換えて頂けると嬉しいです。
――そういえば、今回は防水ですが卓上ホルダが別売ですよね。
香田氏
そうですね。卓上ホルダは今回もオプション販売となります。
■新キャラクターはケータイストラップの「アヒル」
村田氏 |
――次に画面デザインについてのこだわりやコンセプトについてお願いします。
村田氏
CA003と同様に品格や上品さを意識しつつも、今回は防水、夏モデルを意識したものになっています。見やすく普遍性のある「Standard」、防水と相性のいいオーガニックな雰囲気の「Photo」、オリジナルキャラクターである「ahiru」を使った3つのケータイアレンジを用意しました。
特にこのキャラクターの「ahiru」ですが、今までとは違う世界観を出そうと考えました。今までのキャラクターは開けるたびに画面いっぱいに動きまわっていたのに対して、今回はあまり動きすぎないというか、がんばりすぎない、緩いキャラクターです。
――何かぶら下げていますが、どういう存在なんでしょう?
村田氏
このアヒルは「ケータイのストラップ」なので、動けないキャラクターという設定にしています。そのキャラクターが防水という端末に合わせたシーンである、キッチンやお風呂、テラスなど、日常でケータイがありそうな風景におかれている様子が描かれております。このアヒル、実はキャラクターとしての意識はもっていて、もしかしたらストラップになる前は生きているアヒルだったかもしれない?! というような不思議な背景に包まれておりまして。ですから、例えば、物が落ちてきたりとか、食べ物の誘惑に負けてとか、ついつい動いてしまうなんていうシーンもたまにあります。
――先ほど上からフォークが落ちてきて、アヒルが逃げ出してました。
村田氏
上からフォークが落ちてきて、ストラップの紐をちぎり、アヒルが自由になって逃げ出せるというシーンですね。そういったストーリーの他にも、ただ水に浮いて揺れているだけというものもあります。お風呂にもっていったり、キッチンに置いてあったりという、防水ケータイとしての自然なたたずまいを表現したイベントを織り込むことによって、見る度にちょっとずつ愛着が沸いてくるような、長く楽しんでもらえるようなものになっていると思います。
――これまでさまざまなキャラクターを送り出してますが、今回アヒルになったのはなぜですか? お風呂に浮いているビニールのアヒルがありますが、ああいうものをイメージしたのでしょうか。
村田氏
そうですね。お風呂のアヒルは既に定番となっていますし、防水と相性が良いことと、。男女問わず誰が見てもかわいいというところから、今回「アヒル」になりました。
■プリントしても綺麗な13Mカメラ
――カメラとしては13Mで、現在のところ業界最高クラスですね。
香田氏
薄くするからといってカメラ機能を割り切ったわけではなく、14.5mmの薄型防水を実現した中で、さらに現在業界最高クラスの13Mカメラを搭載しました。
まず1番こだわっているのが「高速連写」です。他社でもすでに実現されていますが、弊社の場合はEXILIMの冠がついているからこそ、プリント画質で高速連写ができる点にこだわり、3Mサイズでの高速連写を実現しました。壁紙サイズだと60fpsのスピードを実現しています。高速連写した写真の見せ方についても、前機種ではアニメーションのように連続で再生する機能を搭載しましたが、今回は撮影したものを再生するときに、スイングの軌跡や犬がジャンプする軌跡を表示できるようにしました。
CA003でもお客さんの評価が高かった「超解像デジタルズーム」も引き続き搭載しておりまして、13Mサイズでも3倍ズームを実現し、切り出しのズームと合わせると21倍のデジタルズームが可能です。このほかに、弊社としては初めてスマイル検出オートシャッターも搭載しました。
また、写真を使う楽しみとしてCA003から搭載していた「ダイナミックフォト」も機能強化しました。従来の被写体を連写撮影してから背景だけを撮影するという2ステップで行う切り抜き以外にも、目印がまったくない平らな単一色の背景なら1回の撮影だけで切り抜けるようになっています。さらにデコレーションメールにもっと簡単に利用できるように、ダイナミックフォトをデコレーション絵文字として保存した場合、他のデコレーション絵文字と同じ場所に保存できるようにするなどの改善を行いました。
写真やムービーを季節、(ベストショットで記録した)撮影シーン、カレンダーなどのテーマ別に連続してランダム表示できる「イメージアルバム」も用意しました。表示された写真にはコメントもつけられるので、簡単な日記としても使えます。また、「イメージスクリーン」は、待受画面でも「イメージアルバム」のように撮影したものをテーマ毎に表示できますので、ケータイを立てかけておくだけでフォトビューアのような使い方ができます。
――「イメージスクリーン」はタテ画面のみですか?
香田氏
充電中に卓上ホルダに乗せておくとフォトフレームのように見せることができる「イメージスタンド」も搭載しています。待受画面で見ることもできるし、普通に「イメージアルバム」を起動して見ることもできるので、3つの楽しみ方ができるビューアーになっています。
風見氏 |
――そのほかにカメラの撮影機能で変わった点はありますか。
風見氏
今回防水ということで、ベストショットに「ビーチ」と「スノー」というモードを追加して、水辺でも使っていただけるように機能を強化しております。また、保存速度などはCA003から比べると格段に早くなっておりまして、サクサク撮れてだいぶ使い勝手が良くなっていると思います。
その他に、デジタルズームが素早くできるようにしました。最大21倍になりますので、すごい段数になってしまうんですね。端から端まで1段ずつ変更するのがすごく大変というお話がありましたので、今回はズームキーを長押ししたときは早く動くようにといった細かい改善をしました。
――やはり画素数が多くなるとファイルサイズが大きくなるので、保存速度も高速化しないとちょっともたつく感じになってしまいますよね。
風見氏
そうですね。そこはソフトウェアに見直しをかけまして、保存のシーケンス部分を改善しましたので、画素数は12Mから13Mに上がっているんですが、保存してから次の撮影ができるようになるまでの時間はかなり早くなっています。
――御社はかつてタッチパネルにも対応していたと思いますが、今回は非対応ですよね。
香田氏
今回は防水でスリムを大きな訴求ポイントとして考えていましたが、タッチパネルが入ると、その分厚みが出てしまいます。さらに今回は防水ですので、濡れた状態でのタッチの動作にも懸念があり、ターゲットもミドルゾーンにしていました。そういう使い勝手、コスト、サイズ面を複合的に見て、今回は見送りという形になっています。
――撮影した写真を外に持ち出したいときは、基本的にはmicroSDカードかUSBケーブルをつないで、という形になるのだと思いますが、無線LANに対応してデータをもっと手軽かつ高速に扱えてもいいのかな、という気がしますがいかがでしょうか。
香田氏
無線LANを搭載すると当然デバイスやアンテナ部分が追加されるので、薄型化という方向からいくとマイナスになる懸念がありました。今回は防水で薄くするという部分を優先しました。ただ、無線LANについては、今後に向けて検討していきます。
――画素数ですが、今後のトレンドでどんどんスペックが上がっていったら随時フォローしていくという形になるのでしょうか。
香田氏
そうですね。EXILIMケータイとしては、常に業界最高クラスのカメラは搭載したいと思っていますので、携帯電話のサイズに搭載できる範囲であれば対応を検討していきたいと思っています。
高木氏
さきほど申しましたように、EXILIMケータイユーザーにとって、高画素カメラは、購入理由の1位項目でもあり、さらに「高画素=写真がキレイ」という図式は未だにユーザーの基準として捉えられている傾向があるので、その点はフォローの必要があると思います、一方、画素だけではなく、基本動作の俊敏性や綺麗な写真が簡単に撮れるという部分も非常に大切ですから、そういう機能面でのフォローも重要視していきたいと考えてます。
――HD動画などはいかがでしょうか。
香田氏
今機種には入っていませんが、検討していかなければいけない機能であると考えています。デジタルカメラではHDサイズで動画を撮る機能が当たり前になってきていますので、弊社としてもそういう部分は対応検討していく必要があると思っています。
――ちなみに今回のカメラは向きとしてはタテ・ヨコどちらのウエイトが大きいのでしょうか。
香田氏
やはりカメラスタイル(ヨコの二軸スタイル)ですね。実際にEXILIMケータイを使っていらっしゃるユーザーさんに「カメラはどう撮りますか」と聞いてみると、二軸スタイルにして撮るという人が多いですね。結婚式などフォーマルな場でタテで撮ると失礼な感じがして恥ずかしいけれど、カメラスタイルなら恥ずかしくないという意見もあったりするので、カメラとして使っていただけるような画質になり、スタイルも受け入れられているという手応えや、EXILIMケータイの認知度は上がってきているかなと感じてます。
■その他の改良点や今後について
――そのほかに大きく変わった部分や、工夫したという部分はありますか?
香田氏
今回はカメラ機能だけではなくて、入力のような使い勝手なども多方面に渡って改善しています。発信履歴が頻度順に並べ替えられるようになりました。よくかける人は常に一番上に表示されるので、より使い勝手が上がってくると思っています。同様に、メールでもアドレス帳を改善して「クイックアドレス帳」を用意しました。従来のアドレス帳はア行、カ行と分かれていると思いますが、よく使うアドレスのリストがお気に入りタブとして表示させることができますので、こちらも選択しやすくなっています。その他に、Eメールが件名で振り分けられるようになったり、デコレーション絵文字の入力が簡単になりました。例えば「はな」と入力すると、「はな」の予測変換が出てきますが、このときにメールキーを押すと、プリセットされた「はな」に関連するデコレーション絵文字の一覧で出てくるので、入力しやすくなっています。あとは、スピーカーがステレオになりましたね。
――スマートフォンでは最近位置情報をつけたりできますが、それについてはどう捉えていますか?
香田氏
重要だと思っています。先ほどご紹介した「イメージアルバム」がありますので、画像に撮影したシーンだけでなく位置情報を埋め込むことによって、画像を様々なテーマで見せることができる可能性がでてきます。ただ、今の仕様では位置情報入れるのに時間がかかってしまうため、位置情報を埋め込むことによってサクサク撮れなくなってしまうのはマイナスになってしまうので、そこがうまく改善できるタイミングを見極める必要があると思っています。
――防水端末が増えてきましたが、防水機能で今後他社と差別化できる点というのはあるのでしょうか。
永峯氏
弊社はIPX5/7対応ですが、そこは他社もほぼ一緒ですので、性能的にあまり大きな違いはないと思います。G'zOneですと耐衝撃性能がプラスされていますが。
香田氏
防水だからこうするしかない、という制約はなくしていかなければいけないと思っているので、そこをどうクリアするかでしょうか。今回は、やはり防水による制約は受けてしまっているのですが、今後は防水だからこうなりました、というネガティブな方向にいってはいけないと思っています。それがいつできるかというのが技術的な課題ですね。
――防水ということで、カメラではベストショットにシーンが追加されていましたが、そのほかに、防水に絡んでソフト的に特別工夫されたところや、苦労されたところはありますか?
風見氏
防水に絡んでというのは、ソフト的にはあまりないですね。私が担当した部分はカメラなんですが、今回は13M対応が一番大変な部分でした。モジュールも相当微細化してきているので、実はAFを合わせるだけでも難易度が上がってきてるんです。そういったところにも苦労がありました。一見当たり前の機能なので、あまり声を大にして言えるようなところではないんですが、当たり前の機能が結構難しくなってきているというのはありますね。
――この夏防水端末が大量に登場するわけですが、一過性で終わってしまうと残念な感じがします。今後継続される予定はありますか。
香田氏
今回のことで当たり前の機能になったと思いますので、そう簡単には終わらないと考えています。
花房氏
一般的なケータイはすべて防水になるべきであるというのは、当初から言ってきたことで、やっとそういうった時代になってきて、我々もそういう端末が出せるようになってきたと感じています。
今後は、防水パッキンの構造があるからこういう蓋になってしまう、充電端子はこうだから、充電中は防水機能がなくなってしまう、そういったところの使い勝手をひとつひとつ改善して行ければと思います。メーカー単体でできることではないので、キャリアさんを巻き込んで相談していかないといけないところなので、なかなかすぐに進化するというわけにはいかないんですけれど、思いとしては常に持っているということです。
――初のEXILIMケータイであるW53CAから3年が経過しています。最近は端末の次の買い換えサイクルって長期化してる傾向にあると思うんですが、大体何年くらい使う想定になっていますか。
香田氏
最低2年と思っていますが、実質は2年半か3年になってしまうのではないかと思います。最近ですと、買い換えが3年を超え始めているというデータもあります。そうはいってもハイスペック端末を買われるユーザーさんはもう少し買い換えが早いところもあるので、EXILIMケータイのユーザーさんの買い換えタイミングは、平均よりは少し早いのではないかと思っています。
高木氏
カシオ端末的には、約3年前に発売した防水ワンセグのW52CAと初代EXILIMケータイW53CA、そして、かなり人気を博した防水モデルW61CAも発売から約2.年半が経過しています。現在それらをお使いの方々にもCA005は十分満足していただけるのではないかと思いますので、機種変更も期待しています。
――本日はありがとうございました。
2010/5/28 14:44