インタビュー
mineoの5Gは「必要なものを、必要な分だけ」だから200円――オプテージ福留氏に聞く
2020年11月30日 10:00
オプテージは、12月1日から5G通信が利用できる「5G通信オプション」の提供を開始する。初の3キャリア対応や基本料金+200円という点で目を引くところだ。
今回のサービス提供や、今後の展望についてオプテージ コンシューマ事業推進本部 モバイル事業戦略部長の福留康和氏に訊いた。
必要なものを、必要な分だけ
MVNOからの5Gサービスはすでに、IIJ(法人用)やLinksMateから登場しているものの、au、ドコモ、ソフトバンクの3社すべての回線に対応しているという点ではmineoが初となる。加えて、同社の5G通信はあくまでオプションとして提供される。デュアル(音声+データ)やシングル(データ通信のみ)とニーズに合わせたプランと組み合わせて利用できる。
200円という料金設定は福留氏によれば「かなり悩んだ」部分だという。プランではなくオプションとしたのは、多くの人に使ってもらえればという思いの形の結果だ。
「必要なものを必要な分だけ選べる」ということがmineoとしての価値だという福留氏。5Gでもこの理念は追求していくと語る。提供の背景は「技術の進歩に対して、ユーザーの利便性向上に資するため」と説明。通信規格が徐々に5Gへと移り変わっていく中で、端末も合わせて世代交代が進んでいく。それに合わせてユーザーの利便性が少しでも向上するように対応していくことが狙いだという。
mineoでは、5Gサービスの開始に合わせて5Gスマートフォン「ZenFone 7」も取り扱う。当面はこの1機種のみとはなるものの、来春以降は更にラインアップを拡充していく予定だという。
技術を追いかけてmineoブランドの維持を
KDDIとソフトバンクがそれぞれ、サブブランドのUQ mobileとワイモバイル(Y!mobile)から20GBの中容量帯を狙った20GBの廉価なプランを発表した。mineoはここにどう立ち向かっていくのだろうか。
福留氏は「直ちに影響があるかと言うと、大きくないと見ている」と語る。小容量の契約が多いmineoユーザーと20GBを求めるユーザーとではニーズがかぶりにくいというのが同氏の見立てだ。
ただし、mineoユーザーの中でもそうした安価な中容量帯を求めるユーザーが出るだろうとした上で、そのようなユーザー向けの新サービスも検討を進めている。
福留氏は5G端末を持つユーザーが増えていくことが予測される中、「技術にしっかり追いつき、そこに合わせたサービスを展開する。eSIMなども含めてできるだけ早めに対応していくことが大事」と語り「そこがmineoのブランドイメージの維持にもつながる」と説明する。
mineoのユーザーのボリュームゾーンは、6GB以下の小容量帯だという。とはいえ、5Gの普及により現在よりもさらに大容量なデータ通信が一般化することは間違いなさそうだ。
福留氏はこれについて、ユーザーの視点からすると「MVNOとMNOという区別はなくなってきているのでは」と指摘。MNOに対するMVNOの優位性が崩れているわけではないものの、意識の変化というのはあり、ユーザーは両者を同一の存在として見るようになることも考えられる。そうなったときに、大手のキャリアと遜色のないサービスを提供することが、mineoのブランドの意味になると語る。
乗り換えやすさのアピールが成長のカギか
本誌でもお伝えしているように、総務省は、モバイル市場の公正な競争環境の整備の一環として「アクション・プラン」を提言した。
転出の無料化、メールアドレスの持ち運びに加えて、料金の低廉化やMVNOに対するデータ接続量の引き下げに加えてeSIMの推進などは市場の流動性が見込めるため、MVNO事業者にとっては追い風になりそうだ。これらが進めばさらに提供するサービスの多様化につなげられる。
モバイル業界では話題になっている総務相のキャリアの値下げ施策に対する発言。当初、サブブランドでの新プラン発表に肯定的評価を下していたものの、後に「メインブランドで値下げすべき」とそれを自ら覆すなどブレが目立つ。
しかし一方で、メインブランドの値下げを求める声は世間からも多く聞かれる。低廉なMVNOがあるにも関わらず、そうした意見があるのは「乗り換えの手間」がひとつの要因でもありそうだ。
mineoの解約率は低水準で推移し、契約数の伸びとしては堅調に獲得はしている。しかし鈍化傾向は否めないという。「(乗り換えの)ひと手間を楽にするのがポイントかなと思う。ここを上手く変えられれば」と福留氏。今回の5G通信オプションに加えて来年の登場が期待される新サービスも含めて、今後もmineoの動向に期待したい。