【ワイヤレスジャパン2012】
通常の2倍以上速くなる「リンクアグリゲーション」とは


通常の端末(左)とリンクアグリゲーション対応アプリを導入した端末(右)。通信環境に応じて3GとWiMAXを切り替え

 KDDIブースの先端技術を紹介するコーナーでは「リンクアグリゲーション」が紹介されている。これは、携帯電話のネットワーク(3Gネットワーク)に加えて、街中にあるWi-Fiスポット、各地で展開するWiMAXなど、異なる無線通信技術のうち、最適な無線通信を利用できるようにするもの。

 異なる無線通信技術が混在するネットワークは「ヘテロジニアスネットワーク」とも呼ばれることがある。また環境に応じて最適な通信方式を選択するという考え方は「コグニティブ無線」として研究が進められてきた。今回の「リンクアグリゲーション」は、KDDI研究所による総務省受託研究の一部とのことで、商用化の時期は未定だが、担当者によればヘテロジニアスネットワークにおけるコグニティブ無線の一種と言える、という。

 特徴となるのは、先述した複数の異なる無線通信を利用すること、またネットワーク側に専用装置は不要で、端末だけで実現できるということになる。利用中のアプリケーションにあわせ、電界強度、遅延などの要素から、たとえばWi-Fiスポットに近づくと3Gから切り替えるなど、最も適切な通信方式へ自動的に切り替えることで、たとえばダウンロード速度は、屋内(静止時)で平均2.4倍、電車など屋外(移動時)は平均2.2倍、高速になった。ただ、通信技術や通信環境に応じて結果は変化するため、「必ず○倍速くなる」といった表現はできないという。

 現在は、ダウンロードおよびアップロードに関して、ある程度、確立された状態とのことだが、携帯電話で利用できる通話やWebブラウジングといったアプリケーション向けの判定基準(通信方式を自動切り換えする基準)はまだ確立されておらず、今後の課題とのこと。

概要特徴




(関口 聖)

2012/5/30 16:06