【WIRELESS JAPAN 2009】
ドコモ原田氏、iモードのコンテンツ戦略を語る
ドコモの原田氏 |
無線通信関連の総合イベント「WIRELESS JAPAN 2009」のセッション「コンテンツビジネス戦略最前線」で、NTTドコモのコンシューマサービス部 コンテンツ担当部長の原田由佳氏が「~パーソナルツールを目指して~iモードの取組み」と題した講演を行った。
まず原田氏はiモードのこれまでの10年を振り返りつつ、「これまでは新しい端末に新しい機能を載せ、量的に一気に駆け上がった成長期だった。まさにいまは転換期で、これからは質的な充実を図っていきたい」と述べた。さらにiモード公式メニューのトップページにおけるページビュー数の推移グラフやマイメニュー登録者数の推移グラフを示し、「ケータイ市場は飽和状態などと言われているが、ページビューは伸びている」とし、コンテンツビジネスは引き続き成長しているとの見方を示した。
公式メニュートップページのページビュー数 | マイメニュー(各公式コンテンツの会員登録)の登録者総数 |
一方で、「これまでは新端末が出たときがコンテンツにとってのチャンスだったが、今は端末の売り上げが落ちている。新しい端末を買ったときにコンテンツにアクセスしてくるような、ミドル~ライトユーザーによるコンテンツへのアクセスは勢いが落ちたかな、と思う。FOMAユーザーのうち、3~4割はパケホーダイを使っている。そういったユーザーにはいままで通り使ってもらうとしても、そうでないミドルやライトなユーザーに、コンテンツの魅力を伝えていくことが重要」とし、ヘビーユーザー以外の層へのアプローチが重要であるとも語る。
検索クエリー数 |
ドコモでは昨年4月よりiモードの公式メニューに検索機能を設置しているが、原田氏はその検索クエリ数の推移をグラフで示しつつ、「全体の6割が検索機能を使い、残りがメニューリスト経由で各コンテンツへアクセスしていると思われる。おそらくユーザーはシチュエーションによってキーワード検索とメニューリストの使い分けをしているのだろう。着メロやコミックなどの専門検索を追加しているが、秋にはショッピングジャンルも専門検索できるようにするなど、検索をさらに使いやすくする。一方でミドルからライトな層はメニューリストを使っているケースが多いと思われるので、そちらも充実させていく。どちらか、ではなく、それぞれに力を入れていく」とし、ポータルの改善も行っていくという考えを示した。
BeeTVについて |
また、ドコモとエイベックスが今年5月より開始した動画配信サービス「BeeTV」については、ケータイが一次配信となる、ケータイ専用で編集されたオリジナル素材を配信していることを特徴として挙げつつ、「一次配信となると、プロモーションしないと訴求できないこともわかった。テレビ、新聞、交通、ケータイ、ネットなどありとあらゆるメディアでプロモーションを行った。また、月額315円で見放題という料金も集客につながったと考えている。5月の開始から3カ月弱で50万人の会員まで成長したが、ここまでやらないとユーザーは集まらない。動画サービスは難しいところもある」とこれまでの取り組みを紹介した。
iコンシェルについて |
iコンシェルの状況については、「(会員数は)170万ユーザー、新しい端末を買った半数が利用してくれた。どんどんユーザーは増えている。コンテンツも、2カ月、3カ月で倍の300近いサイトに対応していただき、揃ってきた」と好調ぶりをアピール。「リアルなユーザーがその瞬間、その場所で欲しいと思う情報をiコンシェルで届ける。テレビやラジオ、PCでも実現できない、ケータイならではの世界観を実現するということをコンセプトにやっている」と語った。
さらに原田氏は、2009年中に位置情報との連動や預かるデータの拡大、ユーザー間のデータ共有などiコンシェルの機能拡張を行うことを明らかにした。位置情報との連動については、「9月頃に新しい情報を提供させていただくが、仕組みとしては、ユーザーが位置情報提供に承諾すると、ドコモがその情報を得て、IP(インフォメーションプロバイダー、コンテンツ提供事業者のこと)が使えるようになる。たとえば「話題のランチスポット情報が欲しい」としておけば、歩きながら情報が届く。ピンポイントな雨降りアラームや終電情報、観光情報なども得られる」と紹介する。
iコンシェルの今後の進化 |
原田氏はiコンシェルにの今後について、「最終的にどこまで進化するのが理想像かは、まだ明確に言えないが、ユーザーから預かったいろいろなデータを、欲しい人の元に求められているコンテンツを届けるために活用するよう促進していく。いままでは多くのユーザーを獲得できる、マス向けのコンテンツが中心だった。公式メニューには1万7000のサイトがあり、相当のジャンルが網羅されてきたと思うが、まだまだ足りないものもあると考えている。これからケータイをさらにパーソナルなニーズに近づけて行くとなると、もっと地域に密着した情報やニッチな趣味などに対応したものを充実させ、iコンシェルを通じてお届けできるようにしたいと考えている」と語った。
iコンシェルの今後の予定 | コンテンツの裾野を広げる |
ユーザーへのアプローチ |
iモード全体のコンテンツについても、「これからはユーザー層を広げていくタイミングになる。これからやりたいこととしては、リアルの人が集まるイベントをケータイでコンテンツを使うきっかけとしたい。また、ケータイのプリインストールコンテンツも、戦略的にやっていきたい」との方向性を示した。
最後に原田氏は、「iモードは生活に根付いたパーソナルツールを目指し、一回り大きく成長させたい。ドコモによるプラットフォームの充実とプロモーションに加え、パートナーの皆さんによるコンテンツやプロモーションにより、このパーソナルツールが実現するので、今後の協力をお願いしたい」として講演を締めくくった。
パートナーの広がり | ドコモとパートナーの取り組み |
(白根 雅彦)
2009/7/23/ 15:12