【東京ゲームショウ2011】
スクエニ、スマートフォン向けの新コンテンツやサービスを発表


 スクウェア・エニックスは、東京ゲームショウの同社ブース内でスマートフォン向けの新コンテンツやサービスについて発表会を行い、開発中のタイトルや新サービスを公開した。

スクウェア・エニックスホールディングスの原口氏
マーケットのロゴ

 まずスクウェア・エニックスホールディングスの専務執行役員の原口洋一氏が、同社のスマートフォン向けビジネスの現況について、iOS向けのApp Storeにて有料コンテンツが300万ダウンロードを超えたことなどを紹介した。一方、Android向けについては、現状では1タイトルしか提供していない中で、今冬、「SQUARE ENIX Market for Android」をオープンさせることを発表した。このサービスは、まず国内の3キャリア向けに提供され、その後、ほかのマーケットにも展開するという。「SQUARE ENIX Market for Android」で提供されるコンテンツについて、具体的には明らかにされなかったが、紹介ビデオにはドラゴンクエストモンスターズと見られるゲーム画面なども映し出されていた。

 続いてソーシャルゲームコンテンツとしては、東京ゲームショウ直後から毎月数タイトルのペースでリリースしていくと発表。「本年中はフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)向けコンテンツも多少混じるが、その後はスマートフォンに特化する」とも明らかにした。また、GREE向けに提供される、ロマンシング・サガシリーズ初のソーシャルゲームタイトル「エンペラーズサガ」については、本日より事前登録を開始したという。

 今後の戦略について、同氏は、コンテンツ開発の軸足をフィーチャーフォンからスマートフォンへ移行すること、そして従来はダウンロード販売型のコンテンツがメインだったところを、ソーシャルゲームのような「Free-to-Play」「マイクロトランザクション」のタイトルを増やすこと、さらに日本のみの展開から世界各国に広げていくことを明らかにした。

マーケットの紹介映像の一部今後の戦略
スクウェア・エニックスの時田氏

 続いてスクウェア・エニックス モバイル事業部 プロデューサーの時田貴司氏が登壇し、新作タイトルとして、フィーチャーフォン向けに配信されている「ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士」をiPhoneとAndroid向けに提供することを発表した。配信は来年を予定しているという。

 同タイトルは、時田氏がプロデューサーを務め、フィーチャーフォン向けにシナリオを分割して配信されたロールプレイングゲームで、有料コンテンツが100万ダウンロードを突破したという。スマートフォン版では、ドット絵のテイストを維持したまま、スマートフォンの解像度に合わせてリニューアルされる。

 時田氏は、「最近のゲームではミリオンヒットが珍しくなったが、ダウンロード販売によって長く楽しんでもらえたことが、ミリオンに達した秘訣だと思う」ともコメントした。

 さらに時田氏は、完全な新作として、「DEMONS' SCORE」というタイトルについても映像を公開した。こちらはEPIC GAMES社による画像処理エンジン「Unreal Engine」により、3DCGが多く用いられたゲームになる模様だ。開発中ということもあり、ゲームの内容などは明らかにされなかったが、iPhoneとAndroid向けに来年リリースすることを目指しているという。

スマートフォン版のファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士DEMONS' SCORE
スクウェア・エニックスの安藤氏

 最後にスクウェア・エニックスのモバイル事業部 プロデューサーの安藤武博氏が登壇し、昨年iPhone/iPad向けに配信されたスマートフォンオリジナルRPGの「Chaos Rings」について、現在続編を製作中しつつ、Android版も開発していることを明らかにした。Android版は、対応機種であれば、裸眼立体視にも対応するという。

 安藤氏は「Chaos Ringsでスマートフォンがゲーム機であることを確かめたかった。この半年でApp Storeの売り上げランキングは65%がFree-to-Play・マイクロトランザクションになっている。われわれも対応しないといけないが、Chaos Ringsシリーズはしっかりとした中身でちゃんとした価格で販売する。ほかに比べると若干高いが、売り上げランキングトップに食い込むのは、中身が評価された成果。今後も売り切りで挑戦していく」と語った。一方でソーシャルゲームの方向性についても、GREE向けにコンテンツを提供し、ノウハウを蓄積しつつあることもアピールした。

拡散性ミリオンアーサーの紹介映像の一部

 さらに完全新作として、「拡散性ミリオンアーサー」というタイトルが開発中であることを発表、その映像も紹介された。ゲームの細かい内容については触れられなかったが、カードを使ったRPGとなるという。発売日や価格などの詳細も未定だが、iPhone/iPad/Android向けに提供される。

 安藤氏は「これまでは何をやるかが重要だったが、これからは誰とやるかも重要になる」と語り、拡散性ミリオンアーサーでは多数の外部クリエーターとコラボレーションすることも紹介。シナリオには「とある魔術の禁書目録」などで知られるライトノベル作家の鎌池和馬氏、音楽には「ヒャダイン」の名前でも知られる前山田健一氏、カードイラストにはマンガやライトノベルで活躍する50名以上のイラストレーターを起用しているという。

拡散性ミリオンアーサーの概要拡散性ミリオンアーサーの紹介映像の一部

 安藤氏は「現在、少なくとも5本のタイトルを自分のチームでは開発中で、人気タイトルの続編もあれば、オリジナルタイトルもある。語弊があるかもしれないが、それらの内容にカジュアルなものはほとんどない。スクウェア・エニックスが20年以上積み上げてきた、コンシューマーゲームライクなものになっている。ソーシャルゲームは、厳密にいえばコンシューマーゲームとは異なるものだと思うが、お客様からすると、ゲームはゲームで同じ。われわれは、きちんと面白いケータイのゲームを作っていきたい。新しいサービスもやっていくが、コンシューマーゲームの面白いところも持ってくる。どちらかではなく、積集合のようなもの。スマートフォンで新しい遊びを作っていく」と語っていた。

(白根 雅彦)

2011/9/15 16:58