【Mobile World Congress 2014】

らくらくスマホ「STYLISTIC」などを紹介する富士通ブース

 2013年、フランスの携帯電話事業者、Orange向けに「らくらくスマートフォン」の海外版とも言える「STYLISTIC S01」を投入した富士通。今年の「Mobile World Congress 2014」では、そのSTYLISTICの展示などを行っている。

STYLISTICの展示。ハードウェア的にはSTYLISTIC S01そのものではない
展示機の裏面。Orangeのロゴがない、ワンセグアンテナがあるなど、S01とは微妙に異なる

 展示されていたのは、フランスで販売されている「STYLISTIC S01」そのものではなく、国内向けのらくらくスマートフォンをベースとし、海外向けソフトウェアを組み込んだ特殊なモデル。「STYLISTIC」独自の操作性などを体験できるようになっていた。なお「STYLISTIC S01」については、その後継モデルが今秋、投入されると発表されているが、その後継モデル自体は今回、展示されていない。

機械翻訳の展示

 ブースでは、STYLISTICに搭載されている富士通独自の音声補正技術など、個々の要素技術に関しても紹介されている。ちょっと変わったところでは、らくらくスマートフォン向けも提供されているユーザーフォーラム「らくらくコミュニティ」の多言語対応の展示。機械翻訳により、各国のユーザーが同コミュニティ上で交流できるようになっている。

触感技術

触感技術を組み込んだタブレット

 Mobile World Congressに合わせて発表された、触覚技術を搭載したタブレットも展示されていた。これはディスプレイパネルに超音波モーターを組み込み。それを振動させることで触感を再現するというもの。振動により指とパネルの間に空気膜を形成し、低摩擦のつるつるした触感を再現したり、低摩擦と高摩擦を交互に配置することでザラザラした触感を再現したりできる。

 デモでは画面に表示される金庫のダイヤルやワニの画像にタッチすると、独特な触感が得られるようになっていた。こちらのデモは、ニュースリリースも発表され、周知が図られたためか、体験コーナーは常に行列ができるほど人気の展示だ。

耐アルコール性能

耐アルコール性能のデモではアルコールを吹き付けられるようになっている

 このほかにも法人向けのノートパソコンやタブレットの展示も行われている。富士通は以前から防水タブレットを提供しているが、ここでは防水・防塵性能だけでなく、耐アルコール性能もあることがアピールされていた。医療現場や貸出用のタブレットでは消毒・洗浄のためにアルコールを利用するため、耐アルコール性能へのニーズが強いという。ちなみに一般販売モデルでも最新モデルでは耐アルコール性能があるという。

静脈認証

静脈認証。光学センサー部の上方に手のひらをかざす

 業務向けのソリューションとしては、静脈認証搭載のタブレットやノートパソコンも展示されている。これはモジュールの上10センチ程度に手のひらをかざすと、血液に反応しやすい波長の赤外線で手のひらの静脈を読み取り、そのパターンで認証を行うというもの。ロック解除だけでなく、Webパスワードの入力補助、業務書類などの承認にも利用できるという。すでに発売中で、企業への導入実績もあるとのこと。ちなみに静脈認証以外にも、ほかのモデルには指紋認証機能も搭載されている。

盗難・紛失ソリューション

CLEARSUREの展示

 3G/LTEモジュールを利用したノートパソコン・タブレット向けソリューション「CLEARSURE」も展示されている。これは盗難・紛失対策のソリューション。3G/LTEモジュールが特殊な実装をされていて、OSが起動していなくても、遠隔ロックやリモートワイプといった操作が実行できる。仕組みとしては、管理センターからの暗号化SMSが送信されると、BIOSがそれを受信し、ロックやリモートワイプを行うようになっている。3G/LTEモジュールは通常のデータ通信にも利用できる。

 このほか、ヘッドマウントディスプレイを使った業務支援ARシステムなども展示されていた。

白根 雅彦