【Mobile World Congress 2012】
トークイベント「K-tai Watch NIGHT in Barcelona」開催
近畿日本ツーリストは、スペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2012」の視察ツアーを実施した。2月28日の夜には、トークイベントや懇親会も催された。
トークイベント「K-tai Watch NIGHT in Barcelona」 |
2月28日の夜は、ツアーに同行した本誌編集長の湯野康隆を司会役に、モバイル業界でジャーナリストとして活躍する法林岳之氏、石川温氏を迎えて「K-tai Watch NIGHT in Barcelona」と題したトークイベントが開催された。
法林岳之氏 |
登壇した石川氏は、「Mobile World Congress 2012」を取材した感想として、「例年になく、中国勢に勢いがある。アジア系メーカーが躍進している」と印象を語る。また、スマートフォンのトレンドを見ると、「2周目に入っている。今まではAndroidで出しましょうというだけのものだったが、その次の段階として、何にしようか迷っている」と市場の様子を分析する。
法林氏も、KDDIの田中社長の「ゲームチェンジ」という言葉を引用しながら、「とりあえず出すだけではダメな時期にきている」と、進化の方向性を探る段階にきていると指摘した。法林氏は会場の印象として、「去年と比べても、日本人や日本企業が増えた印象。海外市場から遠ざかっていた企業も再参入の兆しがあり、がんばってもらいたい」と、日本企業にエールを送った。
法林氏はまた、「防水などを含めて、日本企業の引き出しの多さが認知され、注目される時期にきている」と技術力の高さが今後注目を集めるとする。一方、石川氏は、「世界市場では、正攻法で攻めても価格を下げてよと言われ、(できない場合は)見向きもされない。“らくらくスマホ”で世界に打って出ていく、ではないけれど、薄型・防水だけではないものも必要になるだろう」と、さらなる独自色も重要になるとした。
話題は、2012年の携帯電話業界全体にも及んだ。法林氏は、「900MHz帯の行方は気になるところ(編集部注:イベント開催時は割当先が未決定だった)」とすると、石川氏は、クアッドコアCPUを搭載したモデルや、“全部入り”のモデルが充実し、スマートフォン市場がiPhone一辺倒ではなくなると予測した。
石川温氏。写真はHTCのCEO、ピーター・チョウ氏 |
ここで、石川氏が取材で撮影した写真が映し出され、興味深いトレンドなどが語られた。まず映し出されたのはグリーのブース。簡素ながらも、大きなブースが集中するホール8にブースを構えており、石川氏は「アライアンスも積極的で、興味深い」とコメントした。
MWCの開催前日に、例年のように新製品発表会を行わなかったサムスンについては、法林氏が「目立たないと予想していたが、GALAXY Note 10.1を出した。ラインナップは統合ではなく継続とのことで、タブレットは模索の時期にきている」と指摘。石川氏が「今後、5インチクラスがどうなるのかも気になるところ」とすると、法林氏はLGの「Optimus Vu」を挙げて、「4:3の液晶というのは、実は印刷物がほとんど4:3で、なるほどと思った。面白いアプローチ」と、各社の取り組みが幅広くなっている様子を語った。
トークイベントの最後には、「来年以降、ここを変えたらいいのでは」という、ややムチャぶりなテーマも。石川氏は「どの端末を触っても、あまり差がない。もっと魅力的に、もっと遊んでもらってもいい。“2周目”という話があったが、1周目で失敗して保守的になっているメーカーもある。もっとチャレンジングになって欲しい」と、さらなる差別化への取り組みを訴えた。
法林氏は、「日本のメーカーは、気配りがあり、かゆいところに手が届く。海外市場では役に立たないという声もあるが、海外でも、まだまだモバイル機器へのリテラリーは高いとはいえない。日本の良さを、もっと出していっていい」と語り、使い勝手などの面でも、海外市場には大きな余地が残されているとした。
「K-tai Watch NIGHT in Barcelona」ではこのほか、MWCでバルセロナを訪れている日本のキャリア・メーカーの担当者など、業界関係者が招かれており、ツアーの参加者との懇親会も実施。海外展開や最新動向などについて交流や意見交換が行われていた。
なお、トークイベントの最後には、6月に中国・上海で開催される「Mobile Asia Expo 2012」においても、今回と同様の視察ツアーの実施が検討中であることも明らかにされた。詳細は追って発表される見込み。
(太田 亮三)
2012/3/2 08:34