【IFA2017】

「AI対応チップ」「Gigabit LTE」「両面ディスプレイ」――IFA出展の主要メーカーブースをチェック

 IFAに合わせた発表会を見送ったファーウェイやZTEも、ブース自体は構えており、多数の来場者が詰めかけていた。中国メーカーでは、ハイセンスが背面に電子ペーパーを搭載した2画面スマホを出展。また、LGエレクロニクスはプレスカンファレンスで発表した「LG V30」以外にも、ミッドレンジモデルながら18:9のディスプレイを搭載した「LG Q6」を展示していた。これらのメーカーの端末や展示内容を駆け足でチェックしていこう。

ファーウェイ「Kirin 970」で物体認識

ファーウェイは、ブースの中央に発表されたばかりの「Kirin 970」を出展。ディスプレイをつなぎ、その性能をアピールした

 ファーウェイは、9月2日(現地時間)に、リチャード・ユーCEOが基調講演で披露した、「Kirin 970」を出展。スマートフォンとしての完成品ではなく、チップセットを基盤に組み込み、ディスプレイをつなげた状態でデモを行っていた。デモは端末内に保存した画像の内容を、CPUとNPU(Neuural-network Processing Unite)、それぞれで認識するというもの。デモでは、CPUが1.6~1.8FPSであるのに対し、NPUだと30FPS以上と、大きな開きが生まれていた。処理速度にすると、おおよそ15倍以上の違いがあることが分かる。

CPUとNPU、それぞれの処理速度を比較
タブレットに映し出された物体を認識するデモ

 もう1つのデモは、タブレットに表示させた物体をカメラで撮り、そこに何が写っているのかをスマートフォン側で解析するというもの。次々と表示される画像を漏れなく認識していたほか、1枚の画像に複数の被写体が写っているようなときでも、すぐにそれが何であるかを示していた。「Kirin 970」は、既報のとおり、10月16日に発表予定の「Mate 10」に搭載される予定だが、他社はすでに冬商戦向けの端末を発表している。ファーウェイとしては、チップセットだけでも、いち早くIFAでアピールしたかったようだ。

 完成品としてのスマートフォンは、日本で発売済みの「P10」や「P10 Plus」が出展されていた。目を引いたのが、中国出身のデザイナー、ラン・ユーとのコラボレーションモデル。通常のP10 Plusが背面に金属素材を採用しているのに対し、コラボレーションモデルはセラミック素材に変更されているという。通常のP10 Plusにはない柔らかなグリーンの色も特徴的で、中国の伝統的なデザインをモチーフにしたカバーも付属する。

中国人デザイナーのラン・ユーとコラボしたモデル

ZTEはBlade V8のストレージ増強版を出展

 ZTEは、IFAに合わせ、64GB版の「Blade V8」を発表した。Blade V8は、日本でも、SIMフリースマートフォンとして販売中だが、ストレージ(ROM)は32GBだった。64GB版はストレージだけでなく、メモリ(RAM)も3GBから4GBへと増量されている。より多くのデータを保存できるとともに、マルチタスク利用時などの快適性も上がることになりそうだ。

Blade V8の強化版。ストレージだけでなく、メモリも増えている

 このほか、ZTEは2月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressにも出展した、プロトタイプの「Gigabit Phone」を出展した。会場にいたZTE関係者によると、展示の内容はMWCと同じものだという。チップセットにクアルコムのSnapdragon 835を採用し、4×4 MIMOや256QAMを組み合わせることで、下り最大1Gbpsを実現した。

1Gbpsの速度を実現したプロトタイプの「Gigabit Phone」

2画面スマホを出展したハイセンス

 独自性の高さという点では、ハイセンスが出展していた「A2 Pro」も注目しておきたい1台だ。この機種は、表面に有機ELを、背面にE-Inkの電子ペーパーディスプレイを搭載。どちらの側もタッチパネルに対応しており、切り替えて操作できる。コンセプトとしては、ロシアメーカーが開発した「YotaPhone」シリーズに近い。

背面に電子ペーパーディスプレイを搭載した、ハイセンスの「A2 Pro」

 ナビゲーションキーとして、電子ペーパーに表示を切り替えるボタンを搭載しており、これを押すことで、背面に表面と同じ映像を映し出すことができる。裏面に撮った写真を表示させ、デザインとして使ってもいいし、セルフィーを背面のカメラで撮ってもいいなど、使い方の幅が広がる仕様と言えるかもしれない。電子ペーパー専用メニューも装備している。

ナビゲーションキーのエリアにあるボタンを押すことで、背面の電子ペーパーにスクリーンショットを送ったり、画面を切り替えたりが可能
18:9のディスプレイを搭載したミッドレンジモデル「Infinity H11」

 ハイセンスは、ほかにも18:9のディスプレイを搭載した「Infinity H11」を展示していた。このモデルは、チップセットにSnapdragon 430を搭載した、5.99インチのミッドレンジモデル。18:9のディスプレイを採用した結果、筐体全体が縦長になっているが、丸みを帯びたGalaxy S8、S8+などと比べると、ややスクウェアな印象を与える。

 IFAでは、ほかにもWikoが18:9のディスプレイを搭載したVIEWシリーズを3機種発表していたが、この比率がミッドレンジモデルまで降りてきたことで、幅広い層に普及する可能性も出てきた。

LGはフラッグシップモデル以外も18:9のディスプレイに

LGエレクロニクスも、ミッドレンジモデルに18:9のディスプレイを広げた。写真は7月に発表された「LG Q6」
ミッドレンジながら、フレームに7000番台のアルミを使用するなど、質感は高い

 18:9のディスプレイを搭載したミッドレンジモデルという点では、元祖とも言えるLGエレクトロニクス。同社はIFAに合わせ、フラッグシップモデルのLG V30を発表したが、ブースには、7月に発表したミッドレンジモデルの「Q6」や、2月にMWCで発表した「G6」も展示されていた。

 Q6は、チップセットにSnapdragon 435を搭載するミッドレンジモデルながら、ディスプレイは5.5インチで、アスペクト比は18:9となる。解像度も1080×2160(フルHD+)となり、通常のフルHDよりも、縦に180ドットぶん、表示領域が多くなっている。

 ミッドレンジモデルながら、デザインや耐久性にはこだわって製造されているといい、フレームには7000番台のアルミを採用。ブースでは、さまざまな安全性、耐久性を試すテストが行われたこともアピールされていた。