【IFA2017】

LG、映画のように撮れるフラッグシップ「LG V30」発表

デュアルカメラ搭載でVR「Daydream」もサポート、国内投入はほぼ確実か

IFA 2017会期に合わせてLG Vシリーズの最新モデル「LG V30」が発表された

 LGエレクトロニクスは、ドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2017」にあわせて実施したプライベートイベントにて、Androidスマートフォンのフラッグシップモデル「LG V30」を発表した。

映画のワンシーンのような動画を撮る「CINEMATIC VIDEOGRAPHY」

イベントの冒頭に登壇したLGエレクトロニクスのMobile Communication Campany PresidentのJuno Cho氏

 LGエレクトロニクスは「Gシリーズ」と「Vシリーズ」という2つのシリーズをフラッグシップと位置付けている。日本市場向けには2016年冬~2017年春モデルとして、VシリーズのモデルをベースにしたNTTドコモ向けの「V20 PRO L-01J」と、au向けの「isai Beat LGV34」が投入された。

 今回の「LG V30」のトピックとしてまず最初に紹介されたのは「新しい時代のスマートフォン動画」だ。現在、世界中のスマートフォンユーザーが週に1回以上、ビデオを撮影し、YouTubeには毎分のべ300時間分の動画がアップロードされ、1日に10億時間分以上の動画が再生されているなど、スマートフォンでの動画の利用が高まっている状況が紹介された。

 一方で、これまでのスマートフォンでは動画撮影の機能に制限が多く、十分に楽しめる動画が撮影できないとした。そこで、LG V30の動画撮影では、「CINEMATIC VIDEOGRAPHY」というコンセプトを提案。これは、単純な動画撮影ではなく、映画のワンシーンのような動画撮影を楽しんで欲しいという考えだ。この考えを実現するための機能として、LG V30には「CINE VIDEO MODE」が搭載される。

映画のようなシーンの動画撮影を可能にする「CINEMATIC VIDEOGRAPHY」
ひと味違う効果を付けられる「Cine Effect」

 CINE VIDEO MODEは、撮影時の色合いなどをテーマに合わせて設定する「Cine Effect」と、ユニークなズームイン/ズームアウトが利用できる「Zoom」から構成されている。Cine Effectは「Melodrama」「Scenery」などのシーンに合わせたエフェクトが用意されている。

 もうひとつのZoomで使えるのは、特徴的な「Point Zoom」だ。動画撮影のズームでは、画面中央に向かってズームインしていくのが一般的だ。これに対し、Cine EffectのZoomはファインダー内の特定の被写体を選ぶと、その被写体がファインダー画面の左上や右下といった場所にあっても、その被写体に対して、スライダーを使ってスムーズにズームインできる。「Cine Effect」や「Zoom」を組み合わせることで、これまでとひと味違った動画を撮影できるというわけだ。

画面右上の「POINT ZOOM」をタップして、モードを切り替えた後、ファインダー内でズーム先に選びたい被写体をタップする。ここでは左側の水色の説明員をタップして選んだ。
右側のスライダーを動かすと、ズームができる。スマートフォンの向きなどは変更していないが、設定通りに左側にズームしている

 従来モデルに続き、「LG V30」の背面には2つのカメラが搭載される。標準カメラは16Mピクセルのイメージセンサーに業界最高クラスとなるF1.6のレンズを組み合わせたもので、71度の画角で撮影が可能。もうひとつは120度のワイドアングル撮影ができるカメラで、13MピクセルのイメージセンサーにF1.9のレンズという組み合わせ。インカメラは、F2.2のレンズに5Mピクセルのイメージセンサーを組み合わせており、90度の画角の広角撮影に対応する。

 特筆すべきは、背面の標準カメラに採用されたF1.6のレンズで、コンパクトデジタルカメラなどで使われることが多いガラス製を採用している。一般的なスマートフォンで多く採用されているプラスチック製のレンズと比べて、幅広いダイナミックレンジの光をセンサーに取り込め、歪みを抑えられるため、より自然な美しい写真を撮影できる。

メインの標準カメラには業界最高クラスとなるF1.6という明るさのレンズを採用。ガラス製のため、プラスチック製よりも幅広いダイナミックレンジをカバーできる
実際に、一般的なプラスチックレンズのカメラで撮影したときとの比較写真も示された
ガラスレンズの効果もあり、従来のLG V20に比べ、レンズの樽歪みが大幅に補正されている

 ディスプレイには「LG G6」などでも採用され、各方面で高い評価を得ている18:9比率で6.0インチのOLEDフルビジョンディスプレイを搭載する。最大2880ドット×1440ドットの表示が可能で、「HDR10」にも対応する。

 18:9比率のディスプレイを搭載するため、縦方向に持ったときは既存の16:9のディスプレイよりもやや縦長になる印象を持たれそうだが、ボディそのものの形状は約151.7×75.4×7.3mmにまとめられており、スタンダードなモデルと比べて、手に持ったときの印象はあまり変わらない。重さは3300mAhの大容量バッテリーを搭載しながら、約158gに抑えられている。外部接続端子はUSB Type-Cを採用し、急速充電の「QuickCharge 3.0」やワイヤレス充電をサポートする。本体は「MIL-STD 810G」(いわゆるMIL規格)の耐衝撃テストなどをクリアしており、IP68の防水防塵にも対応する。

IP68の防水防塵に対応
3300mAhのバッテリーを搭載し、QuckCharge 3.0やワイヤレス充電にも対応する

 ハイスペックなディスプレイを活かすものとして、VRプラットフォーム「Daydream」への対応が発表された。DaydreamはGoogleが提供するVRプラットフォームで、専用のゴーグルの前面にスマートフォン本体を装着して利用する。Google製のDaydreamヘッドセットはすでに米国などで販売が開始されているが、「LG V30」の発売にともない、日本と韓国でも発売される。

GoogleからGlobal VR/AR Partnerships DirectorのAdrienne McCallister(右)が登壇し、Daydreamへの対応が説明された
GoogleのVRヘッドセット「Daydream View」はLG V30のリリースに合わせ、日本と韓国でも販売が開始される

 チップセットはQualcomm製のSnapdragon 835を採用する。メモリー及びストレージについては、LG V30が4GB RAMと64GB ROM、LG V30+が4GB RAMと64GB ROMを搭載し、いずれのモデルも最大2TBのmicroSDメモリーカードに対応する。プラットフォームは出荷時にAndroid 7.1.2がプリセットされる。

 関係者によると、国内向けの販売については、詳細を検討中とのことだが、今回の発表会のプレゼンテーションではGoogleの担当者が登壇し、日本と韓国でのDaydreamの発売を発表しているため、国内向けの投入はほぼ確実と言えそうだ。

6.0インチのフルビジョンディスプレイを搭載。前面のほとんどをディスプレイが覆い尽くすデザイン
左側面には音量キーのみを備える
右側面にはSIMカードスロットを備える。ピンでトレイを取り出す構造を採用
上面には3.5mmイヤホンマイク端子を備える。途中の継ぎ目の部分はアンテナを内蔵しているため
底面はスピーカーとUSB Type-C外部接続端子を備える
背面にはデュアルカメラ、LEDフラッシュ、指紋認証センサーを備える。指紋認証センサーは電源ボタンの役割も兼ね、電源オフ時はここを長押しして起動する
カメラのメニュー画面。多彩な撮影モードを用意している。右列の「Cine Video」を選ぶと、映画のような効果を選んで撮影ができる
Cine Videoを選んで起動すると、右側に設定が可能な映画撮影のようなエフェクトを選ぶことができる
リアカメラの広角側で撮影。120度のワイドアングルで撮影できる
ほぼ同じ位置で標準側に切り替えると、画角は71度になる
LG V20 Proに搭載されていたサブディスプレイの機能を継承する「Floating Bar」。Barは自由に位置を変更でき、タップすると、アプリのアイコンなどが表示される
Floating Barは常に表示されているので、よく使うアプリなどを登録しておくと便利だ