【IFA2015】

デュアルブランドでNo.3固めを目指すレノボ、日本へのスマホ投入には迷いも

レノボ、モトローラのスマートフォンを紹介するジェリー・シャオ氏

 中国レノボは、9月5日(現地時間)に報道陣とのグループインタビューを開催。グローバルや日本でのスマートフォン戦略を解説した。

 レノボは、昨年、グーグルからモトローラを買収しており、現時点ではレノボとモトローラ、2つのブランドを持つ。2つの会社が併存する形となっていたが、今後は「販売部門などを統合していく」(プロダクトマネージメント&オペレーション バイスプレジデント ジェリー・シャオ氏)方針。すでに「販売部門や開発部門、研究部門なども、1つのチーム」(同)として活動しているという。

レノボとモトローラ、双方の強みを生かすことを語るクリストフ・ジャニバ氏

 一方で、ブランドという形では、レノボとモトローラを今後も併存させる構えだ。モトローラのプロダクトオペレーションディレクター、クリストフ・ジャニバ氏によると、「レノボは中国やその他アジアで成功しているが、モトローラは北米、南米で成功を収めている」といい、地域ごとに、強いブランドがあり、同社はそれを生かしていくという。

当面のシェアは3位を目指しているという

 ドイツ・ベルリンで開催されているIFAでも、レノボはレノボとモトローラ、2つのブランドのスマートフォンを発表。スマートウォッチでは、Android Wearを採用した第2世代の「Moto 360」を披露している。こうした「デュアルブランド」(シャオ氏)でグローバルシェアの拡大を目指すのが、モトローラ買収後のレノボの戦略だ。当面の目標として、レノボは、2~3四半期でブレークイーブン(赤字解消)を目指し、シェア3位を固める方針を明かしている。

IFAでは、デュアルフロントカメラの「Vibe S1」や、5000mAhバッテリー搭載の「Vibe P1」に加え、「Moto X Style」など、モトローラ端末も発表した
日本での展開を語る、ロードリック・ラピン氏。元々、日本法人で社長を務めていただけに、市場の動向は熟知している

 こうしたグローバルの戦略を、日本にどう落とし込んでいくのか。すでにレノボは、日本市場へのスマートフォン投入を発表している。ところが、アジアパシフィック地域のプレジデントを務めるロードリック・ラピン氏によると、日本市場への本格参入にはまだ迷いもあるようだ。ラピン氏は「日本はドコモ、au、ソフトバンクの市場が大きく、SIMフリーマーケットはまだ小さい」としながら、「大手キャリアと取引できなければ、非常に細分化された市場になってしまう」と語る。

 SIMフリーで独自の端末を投入するのは、「簡単だが、ニッチな市場になってしまう」(同)という認識だ。ラピン氏は日本市場に最適な端末として、IFAで発表された「Moto X」シリーズを挙げていたが、「今はまだノープラン」であることを強調した。

ソフトバンクを初めとする大手キャリアと交渉を続けているとする、タブレット担当のジェフ・マーディス氏

 同様に、同社はセルラー対応のタブレットも多数ラインナップしているが、大手キャリアとの取引を重視する方針。「MVNO戦略については、ローカルのチームに任せたい」(ジェネラルマネージャー&バイスプレジデント ジェフ・マーディス氏)というスタンスを採る。

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの大手キャリアは2台目戦略を進めており、タブレットの販売数も徐々に伸びている。マーディス氏は「北米市場も昨年転換し爆発的になったが、日本も12カ月から18カ月ぐらいでそのようにしていきたい」と語り、セルラー対応タブレットに本腰を入れていく構えを示した。

 すでにキャリアとの交渉も進めており、「ソフトバンクとは、たくさん議論してきた」(同)という。この成果が実れば、同社のタブレットがキャリアのラインナップの1つとして披露されることになりそうだ。

石野 純也