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レノボが「Lenovo Tech World」を開催
キーボード投影スマホや、2画面スマートウォッチを披露
(2015/5/29 11:05)
中国に本拠地を構えるレノボは5月28日、「Lenovo Tech World」と銘打ったプライベートイベントを北京で開催した。一企業が主催するイベントながら、ゲストとしてマイクロソフトのCEO サティア・ナデラ氏や、インテルのCEO ブライアン・クルザニッチ氏らが登壇。中国ネット企業を代表して、ロビン・リー氏も駆けつけ、自社の戦略やレノボとの関係の深さをアピールしていた。
レノボは、モトローラの買収や、IBMからのx86サーバーの事業譲渡を受け、急速に経営を多角化している。日本では、PC事業でNECと合弁会社を作り、シェアを高めるなど、グローバル企業として脱皮を遂げようとしてる。こうした状況の中、自社の「イノベーションに対する姿勢を示す」(会長兼CEO ヤン・ヤンチン氏)ために開催されたのが、今回のLenovo Tech Worldだ。
スマートフォン事業で世界第3位と急成長を遂げていることもあり、キーノートスピーチの前半は、モバイル関連の話が中心となった。特にスマートフォンやウェアラブル端末は、それぞれコンセプトモデルを披露するなど、力を入れている。どちらのモデルもスクリーンサイズという欠点を克服する」(同)という考えが根底にあり、それぞれ異なる解決方法でより大きなディスプレイを使えるようにしたものだ。ここでは、この2製品に焦点を当て、詳細を見ていきたい。
バーチャルキーボードを投影できる、プロジェクター搭載スマホ
スマートフォンのコンセプトモデルが「Smart Cast」で、この機種の特徴は端末下部にプロジェクターを搭載していること。端末内の映像を、壁などに映して楽しめるのが特徴だ。ただし、プロジェクター内蔵のスマートフォンは、すでに他社で商用化もされている。Smart Castが一風変わっているのが、本体を上下さかさまにして立てかけたとき、机に映像を投影できること。プロジェクターは回転式になっており、背面のカメラ部分にはスタンドも内蔵されている。このモードでは、単にスマートフォンの画面を投影するだけでなく、バーチャルキーボードを呼び出し、文字入力まで行える。
ユーザーの指の位置の検知には、赤外線モーションディテクターを使っており、コンセプトモデルながら、Lenovo Tech Worldでは実機で文字を入力することもできた。バーチャルキーボードにはタッチパッドも備えており、カーソル操作も行える。キーボードやマウスは既存のAndroidスマートフォンにも接続できるが、Smart Castはそれを本体1台だけでできるというわけだ。
キーノートスピーチには、中国出身のピアニストとして有名なラン・ラン氏が登壇。Smart Castで実際にピアノの演奏を行っていた。実機を触ってみる限り、投影された映像の操作にはややタイムラグがあったが、近い将来、商用化されても不思議ではない印象を受けた。
“のぞくと大画面”な、2画面スマートウォッチなども披露
もう1つのコンセプトモデルが、「スマートウォッチをもっと使いやすくする」(同)という趣旨で開発された「Magic View」だ。形は時計型だが、バンドの“付け根”付近に、ウィンドウが搭載されているのが特徴。この中には、光の反射によって映像が作り出されており、のぞき込むと大迫力の映像が見られるギミックとなっている。見る位置によって厳密なサイズは異なってくるが、「だいたい17インチぐらいに相当する」(会場の説明員)そうだ。
タッチパネルが採用されるメインのディスプレイを、2本指で下方向にスワイプすると、このウィンドウに映像が送られる。メインのディスプレイでコンテンツを選び、2本指でスワイプ、その後、ウィンドウをのぞいて映像を楽しむというのが、主な使い方となる。会場の説明員によると、OSは「Android Wearではなく、Android 5.0を独自にカスタマイズしたもの」。コンセプトモデルのため、アプリケーションの追加方法などは明かされなかった。
キーノートではもう1つのウェアラブル製品として、「Smart Shoes」というコンセプトも紹介された。Smart Shoesは、文字通り、スマートデバイスの機能を組み込んだ靴となる。紹介された製品はスニーカータイプで、アッパー部分にLEDが組み込まれている。この部分をディスプレイにして、消費カロリーや歩数といったデータを表示することが可能となっている。また、ナビゲーション機能も備えており、「交差点を右に曲がる」などの指示が表示される。
間もなく発売される新製品も紹介
こうしたコンセプトモデルで、レノボの技術力をアピールする一方、キーノートスピーチでは間近に投入される新製品も発表された。中国・北京で開催されたイベントということもあって、モバイル関連の新製品は、いずれも中国市場をターゲットにしたものとなっている。
その1つが、5月に中国で発売されたばかりの、カメラスマホ「Vibe Shot(ヴァイブショット)」。裏面のデザインがコンパクトデジカメのようになっており、撮影時のオートモードとプロモードを切り替える物理スイッチを搭載している。16:9のセンサーを採用しているのも特徴だ。この機種は、3月にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressに合わせて発表されたもの。キーノートスピーチでは、会場に集まった“レノボファン”に、このVibe Shotがプレゼントされる一幕もあった。
もう1つの製品が、背面パネルやロゴなどのデザインをカスタマイズできる「Moto X」だ。北米や欧州ではすでに発売されているモデルだが、このMoto Xも中国で発売されることが決定した。同時に、オンラインでカスタマイズを行う「Moto Maker」も提供される。2つのブランドを使い分けているレノボだが、中国のようにニーズが多様化している国ではレノボブランドとモトローラブランドの両方を投入することもあるという。
Lenovo Tech Worldに先駆けて行われたグループインタビューでは、アジア・パシフィック地域担当プレジデントを務めるロードリック・ラピン氏がMoto Xの日本投入を示唆しているが、レノボは「デュアルブランド戦略」の一環として、モトローラの展開国を広げる方針も掲げている。