【CES 2019】
メガネ型ウェアラブル製品の最新動向、「Digital Experience」レポート
2019年1月9日 13:00
米ラスベガスで開催中の「CES 2019」の併設イベント「Degital Experience」には大小さまざまな企業が幅広いジャンルのユニークな製品を展示している。ここではウェアラブル製品をピックアップしてご紹介する。
「Vuzix Blade」
ヘッドマウントデバイスの大手Vuzixは、サングラス型HMD「Vuzix Blade」を展示していた。このBlade、昨年のCESでも開発段階のモデルを展示しており、CESのInnovation Awardも受賞しているが、今年のCESではほぼ製品版となるモデルが展示されている。
Vuzix Bladeはサングラス型の筐体単体で動作するスタンドアロン型のスマートデバイスになっている。Vuzixは業務向けのヘッドマウントデバイスを数多く手がけているが、このBladeは最終的に個人向けの製品を目指している。ただし現段階では個人が使うようなアプリが充実していないため、まずはアプリ開発者や法人を中心に展開している。
ヘッドマウントデバイス大手のVuzixだけに、ディスプレイの完成度は高く、適当に装着しただけでもしっかりと映像が見られた。表示はカラーだが解像度や大きさ(視野角)はそれほど高くなく、スマートフォンのARのような「現実空間のオブジェクトにCGを重ねる」というような使い方よりも、通知やスケジュール、ナビゲーション情報、天気予報などの「ちょっとした情報をハンズフリーで見る」という、スマートウォッチのような使い方に向いている。Android/iOSのスマートフォンに接続し、その通知を表示させることも可能。
米国での販売価格は999.99ドルで、度入りレンズインサートのオプションは199.99ドル、オーダーすれば数週間以内に出荷される。日本でも開発者や法人向けの販売が開始されており、出荷は1月以降、価格は12万円となっている。
NORTH「Focals」
ヘッドマウントデバイスとしては、NORTHによる「Focals」も展示されていた。こちらもスタンドアロンで動作する個人向けのデバイスだが、前述のBladeに比べるとよりメガネに近いデザインになっている。スマートフォンと接続し、通知やナビゲーション、スケジュール、天気などの簡単な情報表示とAlexaを使った音声コマンド操作ができる。操作は付属する指輪型のコントローラーを使う。
こちらは米国で2018年末から一般向け販売を開始しているが、「オンライン予約し、ブルックリンかトロントにある実店舗で計測を行い、その人向けに調整して製作する」という販売スタイルを採っている。価格は999ドル。度入りレンズにはまだ対応していない。
ディスプレイの表示はVuzix Blade同様にフルカラーながら低解像度・狭視野角。表示が見える瞳の位置が非常に限定されているため、実店舗で瞳の位置を計測し、その人専用のレンズを3Dプリンタで製作するという。実機を試したところ、いくつか用意されたデモ機から筆者の瞳の位置に合わせたものを選んでもらったが、目を左右や上下に向け、瞳の位置が中央からずれると、表示が見えなくなるくらいだった。
DIGILENS「CRYSTAL」
ヘッドマウントディスプレイとしてはDIGILENSの「CRYSTAL」も展示されていた。こちらはスマートフォンと有線接続するタイプ。DIGILENSはヘッドマウントディスプレイ技術を他社にOEM供給しており、CRYSTALについてもパートナーと協力して製品化するという。CRYSTALはスマートフォンと有線接続するということもあり、よりメガネに近い外観となっている。
Aftershokz「Optishokz」
サングラス型デバイスとしては、Aftershokzが「Optishokz」を展示していた。こちらはディスプレイではなく骨伝導ヘッドセットとなっている。2月よりIndiegogoでクラウドファンディングキャンペーンを実施予定で、通常価格179ドルのところ、早期申込についてはEarly Birdとして99ドルで購入できる。
Aftershokzの骨伝導ヘッドセットは、耳を塞がなくても音が聞こえるのが特徴で、ジョギングなどのスポーツ中の着用にも向いている。
Aftershokzは、Optishokzのほかに水泳中にも装着できる防水性能を持った新製品「Xtrainerz」も展示していた。こちらは単体でMP3を再生する機能もある。骨伝導ヘッドセットは耳を塞がないが、逆に耳栓をしていても音が聞こえるという特徴もあるため、耳栓をするようなスポーツにも向いている(むしろ耳栓をした方がヘッドセットからの音がよく聞こえる)。
MATRIX「PowerWatch 2」
MATRIXは、体温の熱で発電するスマートウォッチの新モデル「PowerWatch 2」を展示していた。先代の「PowerWatch」は昨年のDigital Experienceでも展示されていたが、新モデルでは体温だけでなく太陽光発電機能も搭載し、より機能が強化された。新たにカラーディスプレイとなり、GPSや心拍センサーも搭載している。カラーディスプレイは彩度が低めだが、反射型となっているようで、バックライトを点灯しなくても表示をみることができる。
PowerWatch 2はIndiegogoでクラウドファンディング中だが、すでに目標額を達成してプロジェクトは成立している。通常価格499ドルで、Indiegogoで数量限定の「First Bird」は199ドルとなっている。
日本で販売するか、日本の無線通信認証を取得するかどうかについては、会場に詳しい担当者が不在で聞けなかったが、前モデルのPowerWatchは日本でも家電量販店などで販売している。