【CEATEC JAPAN 2009】
少し先の未来が感じられる拡張現実の展示


 これから数年先に実現しそうな技術やサービスが集まる「ライフコンテンツフロンティア」のブースでは、頓智ドットの「セカイカメラ」や、エイチアイが開発中のActiveUI Package」エンジンなど、ユーザーの行動と情報コンテンツを結びつける“少し先の未来”を感じさせる展示が行われている。

セカイカメラ

 iPhoneアプリの「セカイカメラ」は、iPhoneのカメラで表示した現在地周辺の映像上に、その場所で得られる情報タグが表示されるアプリ。GPSの位置情報をトリガーとしており、オンライン地図サービスにテキスト情報やURL、画像などを貼り付けるように現実空間上にタグが置ける。カメラで表示させたものを画像認識するような機能はない。

 「セカイカメラ」は、拡張現実や「AR」と言った言葉で話題になっているということもあり、ブースの注目度は高いようだ。デモ展示されているアプリの撮影中も、多くの来場者が「あ! これ知ってる!」などと関心を寄せていた。

 イベントブースでは、ヤマハと頓智ドットとの共同で、ピアノを演奏すると、演奏情報と位置情報がセカイカメラのタグになるというデモンストレーションが実施されていた。このタグをクリックすると、ピアノ曲の演奏が聴けるということもあり、自身のiPhoneを使ってデモを楽しんでいるユーザーが多数集まっていた。会場では、VOCALOID「初音ミク」の演奏なども予定されていた。


セカイカメラデモになると人だかり

次世代UIエンジンと「音」の拡張現実

ActiveUI Packageのデモ

 エイチアイでは、ユーザーに趣味嗜好や行動パターンに沿った情報を提案するユーザーインターフェイス開発エンジン「ActiveUI Package」(仮称)などが参考出品された。

 「ActiveUI Package」は、低リソースの組込機器上で動作するデータ分析/推論エンジン。モバイル機器のWebアクセスログや端末の利用履歴、GPSや時間帯、スケジュールなど、ユーザー個人のデータを端末側で解析し、パーソナライズ化された情報が提案できる仕組みとなる。ARM9以上で動作し、必要メモリはライブラリコード150KB、ワークメモリ50KB以上(データ量と処理速度で変化)。

 ブースではある男性ユーザーの行動を例にデモを展開。スケジュールや普段の行動パターンから午前中には電車の遅延情報が配信され、Webサイトでネットブックを調べたため、ネットブック関連の情報も提案された。夜になると、ビアホールや焼き肉屋、ラーメン屋などの情報が提供される。

 エイチアイでは、「ActiveUI Package」を2010~2011年頃にも製品化する見込み。

 このほか、「音の拡張現実」として音声ガイダンスシステムなども参考出品している。カメラを利用して特定の物体を撮影すると、音声情報を案内するというもの。観光地などでカメラをかざして音声情報を入手するような利用方法が想定されているという。

 参考出品されたデモは、画像認識技術を利用していたが、GPSの位置情報などを利用した音声配信技術としても想定しているという。

 また、前述の「ActiveUI Package」と組み合わせることで、カメラを向けると観光地の情報とともに、ユーザー情報とリンクした情報を配信するようなことも考えられるという。


 



(津田 啓夢)

2009/10/9/ 19:03