アユダンテ、モバイルアクセス解析の概要と技術的ポイント解説


アユダンテ株式会社 事業開発部長 伊藤大典氏

 15日に開催された、アクセス解析イニシアチブが主催したモバイルアクセス解析セミナーにおいて、「モバイルアクセス解析のデータと技術 基礎講座」と題して、アユダンテ株式会社 事業開発部長 伊藤大典氏が講演を行った。伊藤氏は、Webサイトを運営する担当者向けにアクセス解析の実際や注意点などについて、具体例を交えて解説した。

 アユダンテ株式会社はアクセス解析コンサルティングのほか、SEO対策コンサルティング、Webプロデュース事業などを手掛ける。2009年10月には、日本で初めてGoogle Analytics認定コンサルタントを取得している。

アクセス解析に利用するデータはhttpプロトコルに含まれる

 伊藤氏はまず、PCとモバイル(携帯電話)のネットワークの違いを解説。モバイルの場合、携帯電話からのアクセスは、基本的にすべて通信事業者のゲートウェイサーバーを経由する点を最大の相違点として挙げた。通信事業者のゲートウェイサーバーは、料金計算やトラフィックの監視などのほか、利用者ごとのアクセスがわかるような情報を付与することが可能だ。こうして付与された情報がユニークユーザーの識別に利用可能であると述べた。

 次に、アクセス解析のために取得する情報とはどこから何を取得するかを解説。こうした情報はhttpプロトコルに含まれる情報から取得するが、取得できる情報としては、サーバー側が処理するリクエストヘッダでは、ホストやユーザーエージェント、リファラー、Cookieなどがあり、Webブラウザー側が処理するレスポンスヘッダでは、日付や、サーバーの名前(Apacheなど)、最終更新時間などの情報があると説明した。

 具体例として、Yahoo! JAPANサイトにアクセスして、HTTPプロトコルの解析ツール「Fiddler」を使って、具体的にHTTPでどういった情報がやりとりされているかを見せた。

 続いてHTTPヘッダで主に試用するものとして、User-Agent、識別情報を挙げた。携帯電話でのUser-Agent情報から、キャリアと携帯端末を識別可能で、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルではユーザーエージェントを自社サイトで公開していると説明するとともに、データの読み方を具体例を挙げて解説した。

 また、ユニークユーザーの把握のために重要な識別情報には、製造番号、SIMカードごとにユニークなユーザーIDがあるが、これらの取得方法はキャリアごとに違い、NTTドコモは3つの方法、auは1つの方法、ソフトバンクは2つの方法があるとして、それぞれの方法について具体的な説明を行った。

携帯電話からのアクセスはすべて、ゲートウェイサーバーを経由するアクセス解析で利用できる、httpプロトコルに含まれる情報
User-Agentは各キャリアが自社サイトで公開しているユーザー識別情報には、製造番号やユーザーIDがあるが、各キャリアごとに取得方法が異なる

携帯ログのアクセス解析における注意点

 次に、アクセス解析の3つの手法――アクセスログ型、Webビーコン型、パケットキャプチャ型について解説。アクセスログ型は最も確実だが、解析時間がサイト規模に比例して肥大。またパケットキャプチャ型は、導入時の初期コストがかかることから、最近ではWebページに計測のためのスクリプトを埋め込むWebビーコン型が主流になっていると説明した。

 携帯電話のアクセス解析における注意点についても解説。IPアドレスがアクセスごとに異なる可能性があり、セッションやユニークユーザーが実際より多くなるため生ログ型では前処理が必要となると述べた。そのほか、Cookieを受け付けない・JavaScriptを処理しない端末が多数あることから、セッションやユーザー数の計測が困難であるとした。CookieやJavaScriptの処理に対応しない端末についてのデータは、株式会社バリューエンジンのデータ提供サービスのページで公開されていると紹介した。

 そのほか、NTTドコモの端末では、2009年の夏以後の端末からはリファラー送出に対応したが、それ以前の端末では対応していなかったため、どこ経由でアクセスしてきたかがわからなかった点も説明。新しい端末への買い換えが進んだことで、現在では20~30%くらいがリファラーを送ってくるようになったという。

 また、SEO的にとくに注意点してほしい点として、モバイルサイトの場合、URLにパラメータを付与する必要のあるアクセス解析ソフトは、SEOとは相性が悪いことを紹介した。SEOでは、URLをクエリーがない状態にすることが大事で、買い物かごやユーザー情報変更画面などではクエリーが避けられないとしても、トップページや商品情報ページなどはクエリーが付かない形のスタティックなURLが望ましいと述べた。

携帯ログ解析時の注意点モバイルSEO、クローラビリティで気をつけること

 なお、アユダンテ株式会社では、4月21日に東京で「サイトリニューアルで失敗しないための実践SEOセミナー」と題して、Webサイトを実際に運営する担当者を対象としたセミナーを開催する。受講費は2万1000円で、セミナー案内ページで申し込みを受け付けている。

(工藤 ひろえ)

2010/3/17 06:00