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KDDI、工場の設備のトラブルの予兆を検知するIoTソリューション

 KDDIは、工場の生産設備のトラブルの予兆を検知する「KDDI IoTクラウド ~工場パッケージ~」を8月上旬より提供する。

 同ソリューションは、工場内の装置にセンサーを取り付け、その状態を監視。センサーから得られるデータを分析することで故障予兆を検知し、アラート通知を出す。センサーの種類は、レベルセンサー、流量センサー、電流センサー、温度センサー、振動センサーの5種類。

 基本セットは、データを収集・蓄積し、作業者が設定した閾値を超えた場合にアラートを出す。簡易分析オプションでは、データの分析にARISE analyticsが提供するアプリケーション「ARISE Intelligent Factory - ARISE Predictive Maintenance」を使用。作業者が指定した分析モデルに従って異常を検知する。さらに高度分析(AI)オプションでは、簡易オプションに加えてAIが異常を検知する。

 基本セットの月額料金は、振動センサーが6400円/個、温度センサーが20円/m、電流センサーが600円/個、流量センサーが4400円/個、レベルセンサーが6700円/個、ロガーが5000円/個、クラウド使用料が1IDにつき5万円、ロガー1個につき3万円、保守料金が2万3120円。簡易分析オプションでは1IDにつき+5万円、ロガー1個につき+2万円、高度分析(AI)オプションでは1IDにつき+15万円、ロガー1個につき+2万円の追加料金が発生する。

 KDDI ビジネスIoT企画部 部長の原田圭悟氏によれば、ロガーが対応する通信方式としては、スマートフォンなどで一般的に使用されるLTEネットワークのほか、LTE-Mをサポート。要望によっては、Wi-Fiや有線ネットワークにも対応するという。

 原田氏は「工場内にWi-Fiネットワークが構築されている場合もあるが、実はそこからデータを上げるときの通信が安定しないということでお困りのお客様が多かった」とした上で、ロガーから先をあえて工場のネットワークに繋げないことで、安定した通信を行えるようにしたと語る。

 導入実績としては、ダンボールを製造する日本トーカンパッケージの茨城工場の事例が紹介された。同工場では、ダンボールシートを作るコルゲータマシンを振動センサー、電流センサー、温度センサーの3つのセンサーで監視している。

 配線を傷つけずに挟むだけで使える電流センサーを用いたり、上から磁石で止める形の振動センサーを用いたりすることで、容易に後付けで機器をモニタリングできるように工夫したという。原田氏は、用途に応じて最適なセンサーをKDDI側で取りそろえ、ワンストップでサービスを提供できることも強みだとしている。

KDDI ビジネスIoT企画部 部長の原田圭悟氏

 ARISE analytics サイエンスディビジョン データサイエンティストの堀越真映氏は、今回のソリューションで用いられる「ARISE Intelligent Factory - ARISE Predictive Maintenance」の特徴を解説。アクセンチュアの特徴量検出エンジンなどを活用しながら設備を監視するとともに、アラートを出した際の工員のフィードバックにより自動的にモデルを更新し、精度を高めていくようになっているという。

 堀越氏は、現在は製造業にフォーカスしているが、交通・運輸、小売、接客業務、間接・人事業務、教育、スポーツといった他の業種にも取り組んでいきたいとしている。

ARISE analytics サイエンスディビジョン データサイエンティストの堀越真映氏

 また、同ソリューションを導入した日本トーカンパッケージ 生産技術部 設備保全グループリーダーの佐藤康博氏は、ダンボールメーカーとしては、ダンボールシートを生産するコルゲートマシンを止めると大きな損失になるとした上で、同マシンに搭載された3つのモーターを常に監視することが重要だと語る。

 同社では、2016年9月頃からKDDIと検討をはじめ、2017年4月からシステムを構築。同年6月からデータの収集を開始し、その効果を確認できたとしている。

 当初はモーターの監視をテーマにしていたが、稼働状況を見える化することで、アイドリング時の無駄な電力消費が判明したり、本社側で異常に気づき、工場側に確認を促せるようになったりと、想定していなかった利点もあったという。

日本トーカンパッケージ 生産技術部 設備保全グループリーダーの佐藤康博氏