人魚姫の国のSMS切符

 KDDI総研 日野高志
 KDDI総研調査1部。8月末に初めて訪れた後、いったん日本に戻り、一週間後に再度訪問することになったミャンマー。街中にある金ピカの寺院“シュエダゴンパゴダ”の美しさに圧倒される。


人魚姫の像(筆者撮影)

 デンマーク王国(通称デンマーク)は、北欧諸国の1つであり、北ヨーロッパのバルト海と北海に挟まれたユトランド半島及びその周辺の多くの島々から構成されている。大陸とつながっている領土を有しているが首都はシェラン島にあるコペンハーゲン。自治権を持つフェロー諸島及びグリーンランドを除いた国土は約4.3万平方km(九州とほぼ同じ広さ)、人口は約554万人の国で、携帯電話の普及率は120%を超えている。アンデルセンの童話に出てくる人魚姫(リトルマーメード)の像やチボリ公園といった観光地、玩具メーカーのレゴや陶磁器のロイヤルコペンハーゲン等が有名である。

 この国の鉄道は、自転車も積める電車があったり、無料でインターネットサービスが利用できたりとなかなか便利に発展しているようだ。電車の乗り方も日本と少々異なり、改札が見当たらない。だからといってタダで乗れるわけではない。

 乗り方は、ホームの入り口やホーム上に切符に入場日時等を打ち込む打刻機が設置されていて、電車に乗る前には自分でこれに切符を通して打刻するというスタイル。打刻を忘れても電車には乗れるが検札が回ってくると罰金を取られることになる。もちろん車掌さんが時々検札に来る。同じような仕組みはドイツやベルギー等、欧州の他の地域の鉄道やトラムでも見られた。

券売機(筆者撮影)の右上にSMSの説明がある

 切符は駅に設置されている券売機の他、ケータイでも買える。日本でもケータイで電車に乗れるため、特別なことではなさそうだが、デンマークでは近年、SMS切符と呼ばれるものが広まりつつある。これは文字通りケータイのショートメッセージを使った切符である。所定の番号に所定の文字を入れてSMSを送信するとSMSで切符を送ってもらえ、代金は後日、電話料金と一緒に払う。電車に乗って検札があった際には携帯のSMSの画面を見せることになる。

 電車に乗るために文字を打ち込んでメールを送信するのも少々面倒な気もするが、このあたりは慣れなのだろうか。そういえば、ここでは紙幣の使えない券売機も多いので、小銭がなくても使えて、ICチップ等の特別な仕組みが要らないこういった方法は、誰もが利用できるということからは受け入れやすいのかもしれない。また、特別な改札を設置しなくてもケータイで電車に乗れるメリットも大きいのだろう。

2011/1/27 06:00