本日の一品

「トラック野郎」待望の人差し指トラックボールの実力やいかに

 ついに、という言葉がふさわしいだろう。「トラック野郎」ことトラックボールマウス愛好家が期待していた、人差し指操作型トラックボールの新製品が、ついに、エレコムより発売された。

「トラック野郎」期待の新型、M-DTシリーズ“DEFT”

 マイクロソフトの往年の傑作機「Trackball Explorer」以降、ちょくちょく人差し指型は発売されていたのだが、いずれも満足度の低いものばかりで、さらにここ数年は製品自体がリリースされていなかった。製品ジャンル自体が衰退して消えていくのか……と諦めていたところに、救世主の登場だ。親指型の本格機、M-XTシリーズの系譜につらなるM-DTシリーズの「DEFT」である。

 「DEFT」は、人差し指で操作するタイプのポインティングデバイス。有線タイプと、2.4GHz帯を使用する無線タイプがある。普通のマウスは本体底面にあるセンサーがポインターの動きを反映するが、トラックボールはボールの動きが画面に反映される。従って、手首や肘を浮かせて移動することがなく、机の上で固定されたままとなるのが特徴だ。

人差し指で操作する大きなボールが特徴
手のひらを置くと自然と指が配置される、「乗せ心地」を重視した設計

 人差し指操作型、というだけでも十分希有なのだが、さらに特徴的なのがボタンの多さだ。人差し指で押す位置にあるだけでも3個、さらに親指で押す位置には3個とホイールも(ホイールは縦方向だけでなく、横方向、さらに押し込みも機能する)。さらに中指か薬指で押すところにも1個と、ゲーミングマウス並みの搭載数だ。いずれもユーティリティソフトをインストールすることで好みの機能を割り当てられる。

機能割り当て可能なボタンが多く、様々な用途に対応する

 肝心の操作感は、なかなか良好だ。親指トラックでは、昨今の大型化した画面サイズでの移動距離の長さに対応するために感度を良くすると、今度は細かい操作がしづらくなるというジレンマがあった。人差し指型では、トラックボールの回転に複数の指が使えるため、長距離移動が苦にならない。よって、感度を下げても問題なく、細かい操作にも対応できる、という好循環が生まれる。さらに親指のところには分解能を1500カウントと750カウントに切り替えられるスイッチも付いているという至れり尽くせりぶりだ。

運搬時、専用の小型レシーバーは本体底面に収納できる
ボールの支持部分に人工ルビーを使用することで、ボールの動きを滑らかにしている

 ボタン数の多さはもちろん魅力なのだが、すこし多すぎるかなという気もしている。特に親指に割り当てられている数が多く、親指の移動が忙しい。個人的には小指でも使えるボタンが欲しかったところだが、製品コンセプトとして「のせ心地」がウリとなっているため、考え抜かれた設計なのだろう。また、名機「Trackball Explorer」と比べると、ポインターの追従性がやや悪いような気もしているが、これは「昔は良かった」補正が大いに働いているのだろうと思う。これから細かいチューニングを施すことで解消していくと思われる。

 今日日、細かいチューニングが必要な道具などというものが受け入れがたいことは重々承知している。ただ、使い込んだ分使い勝手がよくなるというのも事実。デジタルの世界では珍しい、「使い込める」道具である。実売価格もそこそこなので、見た目の異様さに怖じ気付かずに、一度試してみて欲しい。もちろん、生粋の「トラック野郎」にもお勧めである。

製品名販売元購入価格
M-DT1DRBK “DEFT”エレコム6782円

ナカムラ