日本語が読みやすい電子ブックリーダー「Kobo eReader Touch」
E-ink電子ペーパーとタッチパネルを採用した「Kobo eReader Touch」 |
国内でも電子書籍出版環境が整いつつある昨今、Amazonが参入を予定するという一部報道があるなど、まだまだ動きがありそう。とはいえ、決定的と言えるサービスが出そろっていないのもまた事実。しばらくはスキャナーで“自炊”して読むのが手軽と言えそうだ。“自炊”した本を読むのに、以前紹介した米アマゾンの「Kindle」を使っていて満足していたのだが、比較対象のために競合製品も使ってみたくなった。カナダのKobo社は、北米を中心に電子書籍とリーダー(端末)の販売をしており、ニューヨークに旅行に行くという友人の友人にお願いして購入してきてもらった。
Kobo eReader Touch Editionは、アマゾンのKindleと同様、E-ink社の6インチ電子ペーパーを採用した電子ブックリーダーだ。モノクロ600×800ドットの表示領域にタッチディスプレイ、Wi-Fi接続機能、2GBのメモリーを搭載している。EPUBやMOBIといった電子書籍フォーマットだけでなく、PDFやJPEG、GIFなどの表示が可能で、このあたりはKindleと同等だ。Kindleと異なるのは、microSDスロットがあるので記憶領域を任意に増やせる点だ。また、フォントをインストールして日本語の電子書籍を表示できるのも特徴だ。しかもルートに「fonts」というフォルダを作ってフォントをコピーするだけと非常にお手軽だ。
目的である自炊書籍の閲覧についてだが、PDFの表示についてはやや難がある。上端(ヘッダー)で10ピクセル、下端(フッター)で40ピクセルほどが表示されない、ヘッダー・フッター領域があるのだ。フッターの40ピクセルはシステムが管理するページ数の表示される領域で、設定メニューから消すこともできない。ヘッダーは特に何も表示がない、よくわからない領域だ。実はKindleでもPDFを表示すると上下・左右で表示されない領域があるのだが、収まらない部分は自動的に縮小して表示される。eReader Touchでは縮小されず、上端・下端のエリアともにPDFの上に重ねて表示され、文章が見えなくなってしまう。
これに困り果てていたのだが、画像ファイルの表示に関してはPDFと違い、ヘッダー・フッターがともに画像の下に表示(画像が最前面に表示)されることに気がついた。また、拡張子cbzというファイル形式の表示にも対応しており、これはZIPで圧縮したファイルの拡張子をzipからcbzに書き換えることで簡単に生成できる。これにより、600×800ドットに変換した自炊画像ファイルをほぼドットバイドットで表示が可能なのだ。これは自炊書籍リーダーとしてKindleを上回るメリットといえる。また、ページめくりは通常、画面の右側をタッチすると次のページに進む設定だが、画面左のタッチで次ページに進むよう変更できる。右綴じの和書を読むときに自然で読みやすくなるのもKindleにない優位点だ。 一方で、表示の濃度が調整できない点は残念だった。
日本では未発売の製品なので、技適マークを取得しておらず、国内で無線機能を使用できない。このため、インターネット接続を要するブラウザ機能やSNS連携機能などは試せていない(コンテンツの転送はUSBケーブルでPCと接続するとストレージとして認識されるので、実用上の問題はない)。Kobo社については、2011年年11月に楽天が買収すると発表しており、eReaderの国内発売の可能性は、あるかもしれない。楽天による正式サービスインに期待したい。
背面はキルティング風加工の施されたゴムで、滑りにくく肌触りがよい | 上面についた電源ボタンはスライド式 |
フッター部分にページ数が表示される前提で作成したPDFを表示 | JPEG画像をZIP圧縮、拡張子をcbzにしたものを表示。フッターが無いため表示できる文字数が多い画像を作成し、表示できる |
Kindleと比較。幅・高さ・厚み・重量とも、ほぼ同等 |
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
Kobo eReader Touch | Kobo | 約142ドル |
2012/6/6 06:00