コードレスでも“パワー不足”を感じない、ダイソンのクリーナー


軽量でバランスがよく、吸引力も十分以上。高価格ながら人気があるのが納得できるコードレスクリーナーだ

 一時は品不足が続いていたダイソンの「DC35 マルチフロア」。アレルギーに悩む家族からの強い要望があり、注文から2カ月ほど待って入手できたコードレスクリーナーである。当初は玄関先に置いておき、外出から戻ったら、その場で服などについた花粉やホコリなどを掃除するのに使用していたのだが、今では旧来の紙パック式クリーナーにとって代わり、我が家の主力として活躍している。

 筆者はコードレスクリーナーに偏見を持っていた。今まで使ってきた製品が比較的安価なものばかりだったせいもあるが、どれも今ひとつパワーが不足していて、綿ホコリが吸い込める程度だったからである。ところがDC35の吸引力は評判どおりだった。車のフロアやトランクルームを掃除してみたところ、砂粒くらいなら簡単に吸い込んでしまう。コードレスなので、プラグを差し込んだり、コードを引きずる手間をかけず、しっかりと掃除できるという点では、評価として非常に高い点数を付けられると感じた。

 連続動作時間が限られているコードレスでは、かの有名な「吸引力の変わらない」というキャッチコピーを実感しづらくはある。しかし、溜まったゴミの処分は簡単で、フィルターもほとんど汚れず、一カ月に一回程度水洗いするだけで繰り返し使える。メインテナンスの容易さという点でも高く評価できるだろう。

 DC35には、床用のモーター内蔵ヘッドが大小2種類、また隙間ノズルと、ブラシ付きのコンビネーションノズル、全長663mmの延長用アルミニウムパイプが付属する。これらを組み合わせればカーペット、畳、フローリング、家具まわりや車など、ほとんどの場所で普通のクリーナーと同じように利用可能だ。

 デザインは個性的といっていいだろう。透明な集塵カップの上にあるメタリックブルーのサイクロン機構がとにかく目立っている。本体のみの重量は0.91kg。床用ヘッドや延長パイプ等を取り付けると総計で2kgを超えるのだが、実際に使ってみるとあまり重いとは感じない。モーターとバッテリーという重量のある部品がグリップを上下から挟み込むように配置されているため、手首にかかる負担が少ないのである。

 パンフレットによると、DC35のモーター回転数は毎分10万回転を超えるという。このため、かなりの騒音を想像していたのだが、意外なことに不快感はなかった。耳障りな甲高い音ではなく、筆者がよく使用する電動ドライバーや電動ドリルといった工具の音に似ていたからだ。とはいえ、音量自体は噂に聞くとおり大きく、コンパクトなコードレスクリーナーとは思えないほど。静かな場所で使うには多少の覚悟が必要になりそうである。

 電源は22.2Vのリチウムイオン電池。フル充電しておけば強モードで約6分、通常モードで約15分動作する。日常の掃除機がけには十分だ。ちなみに、家族はスイッチにロック機構がないという点が気になっているらしい。動作中は人差し指で引き金のようなボタンを押し続ける必要があるのだ。筆者は問題とは思わなかったが、手が小さかったり、握力が十分でなかったり場合は不満を感じることがあるのかもしれない。


マルチフロアというだけあって、大小2種類のモーターヘッド、隙間ノズル、ブラシ、延長パイプなどが付属する本来は壁などに取り付け、DC35を立てかけて固定する収納用ブラケット。筆者宅ではスペースが確保できず未使用
モーター横のスリットからは相当な勢いで空気が排出される。「MAX」ボタンで強モードと通常モードを切り替える本体から取り外した22.2VリチウムイオンバッテリーとACアダプター。充電時間は約3.5時間だ
3週間ほど使用したフィルター。ほとんど汚れが付着していない。水洗いで繰り返し使用できる

 

製品名製造元購入価格
Dyson Digital Slim DC35 マルチフロアダイソン4万9800円

 

(サイトウシゲキ)

2012/5/31 06:00