本日の一品

トラックボールに角度をつけよう! 傾斜調整器具3種をためす

 全国のトラック野郎(トラックボール愛好家)各位におかれては、日々新製品が上市されている現況に嬉しい悲鳴を上げていることと思う。本当に、ひと昔前と比較すると、色々なメーカーからトラックボール製品が販売されるようになったものである。

 そのような中でも、エルゴノミクスデザインに対応していることが一つのトレンドとなっている。具体的には、右利き用であれば、手を置いたときに手首が右側に傾くようなデザインで、より手首への負担を減らすよう設計されている。ではすぐに買い替えるべきなのか? もちろんそれに越したことはないと思うが、使い慣れたものを使い続けたいという気持ちもあるだろう。それに対する回答がエレコムより提示された。トラックボールに角度をつける製品、それも3種類が一気に発売されたのである。

エレコムから発売された「トラックボールに角度をつける」傾斜調整製品3種

 製品紹介の前に、トラックボールとはなんぞや、のおさらいをしておこう。コンピューターで使用するポインティングデバイスの一種で、要はマウスの亜種である。マウス本体を動かす代わりに、ボールを指で動かす動きでカーソルを動かす。本体が動かないので狭いデスクでも使用でき、移動量が少ないので手首やひじが疲労しにくいと言われている。

 今回は、往年の名機・ロジクールm570をモデルに、角度をつける製品3種をご紹介しよう。

使用感の目立つ、ロジクール・m570をモデルとして紹介したい

トラックボールマウス用傾斜調整フリップパッド

 最初に紹介するのは「フリップパッド」だ。一見はただの黒い板だが、ボードを立ち上げてミゾに差し込むことで、トラックボールを置いて斜めに角度をつけるスペースが現れる。ミゾは9段階・20~60度の間隔で刻まれているので、そこで細かな角度調整を行う寸法だ。

「フリップパッド」は一見板状のマウスパッドだが…
溝に差し込むことで角度がつけられるようになっている
トラックボールを乗せ、20~60度の角度調整が可能

 見た目は普通のマウスパッドに見えるし、折りたためば薄いので、持ち運びも容易だろう。3製品の中では比較的まともな見た目で、フットプリントこそ必要なものの、一番扱いやすいと感じた。

トラックボールマウス用傾斜調整ディスクパッド

 続いては「ディスクパッド」だ。見ての通り、傾斜のついた台である。台の傾斜角は20度で固定されており、表面は滑り止め加工がされている。じゃあ角度が変更できないのか…と思われるだろうがさにあらず。台を回転させ、微妙な傾斜調整ができるようになっている。少しずつ回転させることで、手首が右に傾く方向・角度を微調整する仕組みだ。

「ディスクパッド」は、角度のついた台といった感じの見た目
乗せることで角度が付くとわかる形状。左側に傾斜の高いところ持っていくと20度となるが…
台を回転して調節することで、傾斜角を調整できる

 なかなか考えられた仕組みであり、極端には手首を前や後ろに傾けるような置き方もできるなど、ほんのちょっとの調整で使い方の幅を広げることができる。フットプリントはトラックボール本体よりやや大きい程度で場所を取らないが、一度好みの設置角度を決めると動かすのが億劫になるだろう。据え置きでの仕様が前提である。

トラックボールマウス用傾斜調整カスタムスタンド

 最後に紹介するのは「カスタムスタンド」。最も直感的な構造であり、3種の中では一番尖った(設計思想的にも形状的にも)製品だ。ロードコーンのような形状の底面には粘着シートがついており、トラックボールの底面に直接貼り付けることで角度を付ける。S/M/Lの長さが同梱されており、予備の粘着シートが付属するので再試行も可能になっている。

「カスタムスタンド」は、トラックボール本体に取り付けて調整する。S/M/Lの3つの長さが同梱される
背面に粘着シートで張り付ければ…
角度調整のできあがり。シリコンのすべり止めが効いており、ガタつきもない

 3製品の中では最も過激な思想で作られており、角度調整の自由度は最も低い。ただし、角度がはまりさえすれば使いやすく、フットプリントも取らない。ポリカーボネートにシリコンで滑り止め加工をしているのですべったりガタつくこともなく、使用感は快適だ。

 以上、3製品を一気に紹介したが、いずれの製品も滑り止め加工が効いており、使用感は良好。最近腱鞘炎気味で、手首や手のひらが机にあたると痛みを感じるため、手のひらがどっしりとトラックボール本体に乗り、かつ滑らないのが快適だ。あとは角度の調整加減とフットプリントを天秤にかけ、一番フィットする製品を選ぶのがよいだろう。メーカーは、3製品とも親指操作型トラックボール専用として販売しているが、人差し指操作型で試してもさほど違和感は感じなかった。とはいえ専用品ではないので、個人の責任の範疇で使っていただきたい。

 既存製品でも快適なトラックボールライフを送るために必須と言っても過言ではない製品群である。需要としてはかなりレアだとは思うが、それだけに、ハマれば快適性がぐっと上がる。少し前のトラックボールを愛用してる各位には、ぜひ導入を検討いただきたい。