本日の一品

真のワイヤレスVR、Oculus Quest!

 「VR元年」という言葉が聞かれるようになって久しい。本当の「元年」がいつなのかは後世にならなければわからないが、奇しくも令和元年の今年がその有力候補となりそうなVRゴーグルが発売された。これまでのVRゴーグル製品との大きな違いは「真のワイヤレス」であること。VRのエポックメイキングとなる「Oculus Quest」について紹介したい。

真のワイヤレスVR機「Oculus Quest」

 Oculus Questは、Facebookから発売されたVRゴーグルだ。Androidベースの独自OSを採用しており、ネットワークにはWi-Fiで接続する。セットアップ時のみスマートフォンのアプリと連携する必要があるが、基本的にはPC・スマートフォンなどの外部機器と接続することなく、スタンドアローンで動作する。バッテリーを内蔵しているため電源ケーブルを引きずることもない。似たコンセプトの製品として、同社よりOculus Goが昨年発売されているが、最大の差異は「自由度」だ。

本体四隅に内蔵されたカメラが周囲の状況やコントローラーの動きを検知する
専用コントローラー。人差し指や中指位置のボタンを押すことで、VR空間内で「手を握る」という行為を再現できるようになっている

 同社のOculus Goは3自由度(DoF)に対応している。これは頭(ゴーグル)の動きは左右・上下回転と傾きを検知できることを意味する。それで十分ではないかと思うかもしれないが、これでは「移動」を検知できない。VR空間内で歩いたりしゃがんだりしても画面に反映されない。Questでは左右・上下と傾き方向の移動を検知する6自由度となっており、これにより、(ソフトと部屋の広さが許す限り)空間内をどこまでも移動したり、立ったりしゃがんだりといった体の動きに対応できる、よりリッチなVR体験が出来るようになっている。

バンドが稼働するので着脱は容易。バンドに内蔵されたスピーカーの音質もよい
本体下部、左のレバーで左右スクリーンの位置を瞳の位置に合わせる。右側は音量ボタン

 以前Oculus Riftを所有する友人宅でゲームを遊ばせてもらったときは、ゴーグル本体の他にハイグレードなゲーミングPCが必要になり、PCとは長いケーブルで接続、動きを検知するためのトラッキングカメラ設置も必須、さらには動き回れるだけの広い部屋スペースが求められ、非常に楽しい体験をしつつも自宅に導入するハードルの高さを感じていた。Questはワイヤレス・PCレス・廉価と、そのハードルを大きく下げてきた。廉価とはいってもコンソールゲーム機並みか、それよりもやや高価な価格帯ではあるのだが、ゲーミングPC+ゴーグルの費用に比べれば雲泥の差だ(広めの部屋だけはどうにもならず、整理整頓が必要だったが……)。

着用の様子。重量は約570gと、Oculus Go(468g)に比べるとやや重い

 もともとVRゲーム自体が楽しいことは分かっていたが、一気に手軽になったため、現状筆者宅にあるゲームハード内での稼働率は断トツでトップになっている。キラータイトル「Beat Saber」を起動しては汗だくになってコントローラーを振り回す毎日だ。PCやPSVRのようなコンソールに比べると映像表現に制限こそあるものの、それを感じさせない工夫がしてあるので体験としては遜色ない。バッテリーは2時間弱しか持たないが、肩や首への負担を考えればそのくらいでちょうどいい。とはいえ、長いUSBケーブルが同梱されているので、ワイヤードにはなるが充電しながらの連続使用もできる。「VR元年」を体感したければ、ぜひお勧めしたい一品だ。

製品名購入価格
Oculus Quest(64GBモデル)4万9800円