本日の一品
「ヒトテマキット」の鉛筆を作ってみる
2018年6月25日 06:00
必ずしも市場がグローバル化しなくても、グローバル化を意識して、流通機構がシンプルになり、Webマーケットが活性化すると、今までそこそこ高価だったモノが安く提供されるようになってくる。そして大量生産型のグッズがデザインや発想にこだわりつつも、安価な製品を提供するようになってくると、必ず登場してくるのが、自然系を基盤にした手作り系の“自分だけの専用アイテム”だ。
そんな中に、“手間をかけて自分で作る”というジャンルの商品もかなり古くからあるマーケティングの一つだ。今回衝動買いしたのは、そんな自然系手作りアイテムの「ヒトテマキット」の中の「えんぴつ」だ。
筆者は偶然、そのヒトテマキットえんぴつを近所の文房具店の店頭で見つけて購入したが、各種スプーンやフォーク、バターナイフ、しゃもじ、とりばし、木べら、マドラー、まめ皿など、主として十数種類のテーブルトップ用のキッチン小物を中心にWeb上では提供されている。
他のヒトテマキットアイテムと比べてみると“芯”という“木”以外の異素材の混じるヒトテマキットえんぴつはこのシリーズの中では例外的だ。ヒトテマキットえんぴつも他のヒトテマキットアイテムと同様、木から作り出すDIY形式の鉛筆組み立てキットだ。
市販されているえんぴつの組み立てキットはドイツ・ニュルンベルクに本拠を置き1662年に史上初の鉛筆を発明したステッドラー社のレプリカキットである「Pencilmaker Kit」が日本国内でも有名だ。ヒトテマキットえんぴつはこれとイメージ的にも類似点が多い。
ヒトテマキットの内容物は、芯の入る部分がえぐられた長さ185㎜のひのきの間伐材を加工した半木部が6個(鉛筆3本分)、2Bの芯が3本、厚紙製の組み立て筆箱、筆箱を組み上げるための説明書の4点だ。実際の組み立てには、カッターナイフや、接着ボンド、紙やすり、ゴムバンドなどが別途必要となる。
変に凝らなければ、ヒトテマキットえんぴつの組み立ては極めて簡単だ。えんぴつ木部の半分に付属の2Bの芯を置き、木工用ボンドで芯を含めしっかりと接着固定する。接着が完璧に乾燥したら、芯先を綺麗にカッターで削ってまずはできあがりだ。子供の頃から鉛筆削り以外で鉛筆を削ったことのなかった筆者には一苦労だった
実は、この先からが凝り性の人とそうではない筆者のようなものぐさなタイプでは大きく作業量が変わってくる。筆者は、ステッドラー社の歴史的鉛筆が板を2枚重ねた間に芯をサンドイッチしただけの極めてシンプルな構造であることを大義にして、油性インクで勝手なタグラインを描きこみ、いい加減な商品名を打ち出したダイモテープを張り付けただけで全て完成としてしまった。
しかし、木工技術の心得があるユーザーなら、鉛筆を市販品のように断面が六角形や丸になるまで、かんなやカッター、紙やすりで加工するのも楽しいかもしれない。筆者は現在世の中に普通に流通している共通理解の鉛筆のイメージから離れる方が楽しいと考え四角いままで押し通すことにした。
しかしトコトンやるユーザーなら、ヒトテマキットえんぴつを徹底的に削って正確に丸くして、最後は漆などを手間をかけて塗って、付属の厚紙製の筆箱をデコレーションして誰かにプレゼントするのも良いだろう。
ヒトテマキットえんぴつは筆者のように超手抜きのちょっとしたオリジナリティを楽しみたい人から、市販の鉛筆のレベルを遥かに超えた“ヒトテマじゃない”超個性的手作り鉛筆を目指す人までが思い思い楽しめる手間のかかるえんぴつDIYキットだ。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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ヒトテマキットえんぴつ | JR上野駅構内 ANGERS bureau(文具店) | 1080円 |