本日の一品

100ミクロン刻みのあるチタン製の15cm定規

チタンの15cm定規。目盛のある上半分には、切削方向の軌跡を変えることで出来る多彩なツールマーク(切削跡)のストライプが見事に付いている

 筆者は、風変わりな文具や一般にはあまり役に立ちそうにないようなガジェットが大好きだ。定規もその範疇に入るが、特に15cm定規は偏執狂的に大好きだ。

100ミクロン刻みのあるチタン製の15cm定規 定規(ものさし)は様々な素材、表現があって面白いステーショナリーだ
定規(ものさし)は様々な素材、表現があって面白いステーショナリーだ

 定規は使用する目的に応じておおよそのサイズや素材、形状が決まっている。15cm定規はモバイルに最適なサイズなので、おそらく学生から社会人、シニア層にまで最も行き渡っているサイズの定規だろう。

 そんな定規好きの筆者が先ごろ手に入れたのは、“REAL EDGE”ブランドの15cm定規「チタンものさしPremium Edition」だ。埼玉県入間市に本社を置く金属精密加工業者、入曽精密(いりそせいみつ)が製造している。

 チタンの定規と言えば、3年前にはほとんど使い道のない1cm定規を買っている。並べて比較してみたかったが、何処かで失くしまい、叶わなかった。

単なる道具の収納ダンボールというシンプルさが気に入ってしまった

 興味の持ち方が常に斜め下の筆者がまず気に入ってしまったのは、あまりにもシンプルな素のままのダンボール製のパッケージだった。“中身で勝負!”な道具としての定規なら昨今のデザイン文具のような華美なパッケージは不要だろう。

 そして、パッケージに無造作に貼られた「新品」「文房具」「事務用品」「定規」そして手書きで書き加えられた「0.1mmメモリ」の文字。いずれの要素も筆者が脊髄反射的に購入する必要十分過ぎる要素だった。

チタンのものさし以外にも、金属精密加工を行う株式会社”入曽精密”(いりそせいみつ)の”REAL EDGE”ブランドには楽しそうなモノがいろいろありそうだ
新品・事務用品という淡々とした気負いのない表現が高感度をアップする感じだ
最も手前の0~10mm範囲の下のほうがモヤッとしているのが見えるだろうか

 「チタンものさしPremium Edition」の大きさは約153×12×3、重さは約23.8g、素材は純チタンだ。目盛の無い部分には切削方向の軌跡を変えることで生まれる多彩なツールマーク(切削跡)が見事に付いている。指先で注意深くストライプ模様に見える切削跡を触ってみても、凹凸を全く感じないきわめてフラットなサーフェイス(表面)だ。

 そして「Premium Edition」の最も大きな特徴は、定規の端っこ、最初の0~10mm範囲内だけに100ミクロン(0.1mm)単位の目盛りが見事に彫りこまれていることだ。

 購入後すぐに何人かの友人知人に自慢げに見せたが、ちょっと老眼気味の人には“くすみ”にすら見えないようだった。一方、ド近眼の筆者がメガネを外してごく目の前で見てみると……見事に刻み込まれた100ミクロンの目盛がくっきりと見えて感動する。

 今回は、読者諸兄にもWeb上でも見ていただけるように、筆者が特殊用途だけのために刹那的に愛用しているオリンパス社の少し古いタフデジタルTG-3の顕微鏡モードで撮影した写真をお見せしたい。

顕微鏡デジカメで撮影するとモヤッとしていたのが0.1mmの目盛だと分かる
明確に誤差なく0.1mm(100ミクロン)幅で目盛が刻まれている

 街の文具屋さんを回ればどこにでもある15cm定規。たった15cmのワールドだが、そこには素材の特徴や唯一の表現である目盛にも多種多様な表現と主張を盛り込むことが出来る。

 「チタンものさしPremium Edition」は”ものさし”という測定道具としての軸足を置いた枠を飛び出すこと無く、その中で、最高の使い勝手と創造性、楽しさ、ユーモアを追求した見せびらかしたい「ものさし中のものさし」だ。

製品名販売元購入価格
チタンものさしPremium Edition入曽精密1万2960円(税込)