スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ハイエンドの系譜、モバイルマウス「MX Anywhere 2」

ハイエンドの系譜、モバイルマウス「MX Anywhere 2」

 2015年7月16日に発売されたロジクールのモバイル向けマウス「MX Anywhere 2(型番:MX1500)」。ロジクールのハイエンドマウス「MX Master」からデザインや機構、性能が引き継がれているマウスですな。「MX Master」を超気に入って使用中のワタクシは、「MX Anywhere 2」も予約注文なのでありました。

ロジクールのモバイル向けマウス「MX Anywhere 2 (型番:MX1500)」。UnifyingおよびBluetoothに対応する無線マウスで、3台までの端末とペアリング可能です。ガラス面などでもポインタ操作可能なDarkfieldレーザートラッキング、高速スクロール機能、カスタマイズ性やデザインなど、ハイエンドマウス「MX Master」が持つ多くの要素を引き継いでいます。実勢価格は1万1000円前後。

 ちょいと使い始めるタイミングが遅くなりまして、現在半月程度継続的に使っています。デスクトップPC(Windows)や2台のMacBookと接続して使っていますが、使用感的な結論から言っちゃいますと、そ~と~イイですコレ。モバイル向けと書きましたが、メインのマウスとしてもモバイル用としても快適に使えます。ワタクシの場合、備蓄分としてもう1個買いたい病にかかり中、みたいな。

 ともあれ以降、「MX Anywhere 2」の機能や使用感についてレポートしてみたいと思います。なお、ご参考までに過去にレビューしたロジクール製マウス記事のリンクを羅列しておきます。

「MX Anywhere 2」ってどんなマウス?

 まずは「MX Anywhere 2」の概要から。少々前述しましたが、ロジクールのハイエンドマウス「MX Master」の要素をアレコレ引き継ぎ、「どこででも使えるモバイルマウス」として作られた製品ですな。

 サイズは長さ100.3×幅61.6×高さ34.4mmで、質量は106g。手の小さな女性にも向く、コンパクトなマウスです。

こんなサイズ感です。薄めなのでバッグなどへの収まりも良好。「MX Master」(右写真の左側)と比べるとかなり小さく見えますが、「このサイズなら常用マウスにできる」と感じる方も多いように思います。

 レーザー式の光学マウスで、無線式です。「Darkfieldレーザートラッキング」により、ガラステーブルの上などでもポインタ操作が可能で、まあヤル意味はあまりないと思いますがペットボトル表面なんかでも使えちゃいます。今時的ロジクール製マウスっていうか「Darkfieldレーザートラッキング」搭載マウスは、ポインタ操作ができない面を探すほうがムツカシイかもしれません。なお、解像度は400~1600dpiで、200dpi刻みで設定可能(初期値1000dpi)です。

 無線は、Unifying(アドバンス2.4GHzテクノロジー)およびBluetoothに対応しています。Unifyingは専用USBドングルを使っての接続で、BluetoothはBluetooth Smart対応です。付属USBドングル接続対応OSは、Windows 7、Windows 8、Windows 10、Mac OS X 10.8以降。Bluetooth Smart接続対応OSは、Windows 8以降、Mac OS X 10.10以降となっています。

 これらの接続方式を使い、3台までの端末とペアリング可能です。たとえば、Windows デスクトップPC、Windowsタブレット、MacBookとそれぞれペアリングし、接続先を切り換えつつ1台のマウスを使えます。接続する端末は、マウス裏面のボタンで選択します。

マウス裏面には、電源ボタン、ペアリング用ボタン、接続先端末切り換えボタン(赤矢印)があります。

 ボタン数はホイールのチルト(左右傾け)まで含めて7個。ホイールは高速スクロールに対応し、ホイールを押下することで「高速スクロールモード」と「クリック・トゥ・クリックモード」を切り換えられます。縦に長いページを一気にスクロールしきったり、設定した分だけ少しずつスクロールしたりできるわけですな。

 なお、これら7個のボタン類は、「Logicool Options」ソフトウェアにより細かくカスタマイズできます。このソフトウェアはWindows 7以降およびMac OS X 10.8以降に対応しています。ちなみに、このソフトウェアを使わないと、「MX Anywhere 2」の機能性を十分に発揮させられないので、対応OSなどについて注意が必要ですな。

「Logicool Options」ソフトウェアの表示例。Windows 7で表示したものです。
こちらはMac OS X 10.10 (Yosemite)での表示例。

 電源は内蔵充電式リチウムポリマー電池で、USB充電して使います。電池持続時間は最大2カ月。PCのUSBポートにUSB接続して充電できるわけですが、USB接続の有線マウスとしては機能しません。

使い勝手はどう?

 さて、実際の使用感ですが、ワタクシ的観点からすると「非常に良い」という感じです。ただし、持ち方次第では「全然ダメ」になっちゃうかもしれません。ちなみに、マウスの持ち方は以下の2パターンを想定しています。

【かぶせ持ち】
マウスに手のひらを被せる感じの持ち方。手のひらはマウスの背中(パーム/バックアーチ)に触れるケースが多いでしょう。主に手首~肘を使ってポインタを操作する持ち方です。(写真はMX Master)
【つまみ持ち】
マウスの左右両側を指(親指と薬指/小指あたり)でつまむ感じの持ち方。マウスに触れるのは指先のみ。手首と5本の指でマウスを操作しますので、より繊細なポインタを操作が可能になります。ワタクシの場合はこちらです。(写真はMX Master)

 それで、「MX Anywhere 2」の場合、高さがあまりないので、「かぶせ持ち」だと机面に触れる手や手首の面積が広すぎて、マウスを軽快に扱えないような印象があります。ワタクシの場合は「つまみ持ち」なので無問題ですが、「かぶせ持ち」の方には使いにくいマウス、になる、かも、しれない……ので、必ず実機に触れてから購入を吟味してください。もちろん「つまみ持ち」の方も、実機に触れてからのご検討を。

 さて、「つまみ持ち」派のワタクシの場合ですが、「MX Anywhere 2」によるポイント操作のしやすさは抜群な感じ。より繊細な操作ができるかどうかにおいては、「MX Master」よりイイ感じです。まあ「MX Master」の方がボタンの押し心地とか重さからくる安定感などが良いというのもあるので、一概に比べられませんが、指先だけで繊細にポインタ操作できるという点では非常に好感触です。

 前述のようにコンパクトなので、携帯感もイイです。外出先では「12インチMacBook」と組み合わせて使うことが多いんですが、実質ポケットサイズの「MX Anywhere 2」なので、邪魔な感じほぼナシで持ち歩けます。少々の移動なら、ホントにポケットに入れて歩くことも多いです。

 それからボタン類もイイ感じです。クリック感やホイールの滑らかさ、ボタンの硬さなど、バランスよく設計されていると思います。そのあたりはさすが「高価なマウス」だけあって、ほとんど文句ナシ。

 ボタン類のシンプルさというか、「独自の変わったボタン」がほとんどナイというのも好感触。ホイール動作モードの切り換え以外は、まあフツーのマウスって感じのボタン配置なので、使えばすぐに慣れることができます。

 たとえば「MX Master」の場合、本体左側に横スクロール用ホイールがありました。慣れれば超便利に使えるんですが、慣れるまでその位置を意識する必要がありました。「MX Anywhere 2」にも横スクロール機能がありますが、これはホイールのチルト(左右傾け)で行えます。やや変わった機能と言えばそうですが、ホイールの上下左右動作が画面スクロール方向と合致しているので、直感的にわかり、慣れやすいと感じます。

「MX Master」(左)の場合、画面の横スクロールはマウス横側のホイールを回します。風変わりな位置と機構なので、若干の慣れが必要です。「MX Anywhere 2」(右)の場合、ホイールを左右に傾ければ横スクロールになります。直感的でわかりやすく慣れやすいです。

 あと、これはワタクシがWindows 7ユーザーだからというのもあるんですが、「MX Anywhere 2」や「MX Master」のジェスチャー機能はWindows環境で全然使っていませんでした。オフってました。ですが、Mac OSだとこのジェスチャー機能を使いまくりです。そしてじつに便利♪

「MX Anywhere 2」はホイール手前の四角いボタン「ジェスチャー機能」を使えます。四角いボタンを押しながら上下左右どれかの方向にマウスを動かすことで、いろいろな操作を行えます。画像はWindowsでの設定例。
こちらはMac OSでの設定例です。左右の動きでデスクトップの切り替えが行えたり、上下で「Mission Control」や「アプリケーション Expose」が機能したり、Macユーザーにとってヒッジョーに実用的です。

 アップルの「Magic Mouse」を使えば、同様のジェスチャー操作ができます。しかし、ワタクシ個人的には、マウスの上を二本指でダブルタップとかそういう「Magic Mouse」的な操作について、「だったらMacBookのトラックパッドを操作したほうが手っ取り早いし確実」とか思いがちです。

 なのですが、「MX Anywhere 2」のジェスチャー操作だと「トラックパッドよりラク」って感覚。Mac OSでもマウスを使うとナニカと便利なんですが、Mac OSで「MX Anywhere 2」を使うと激便利なので、Mac用としての「MX Anywhere 2」はとりわけ気に入っております。

「MX Master」をやめて「MX Anywhere 2」に揃えてみる!?

 しばらくの間、デスクトップで使っていた「MX Master」をやめて、デスクトップPCもノートPCも全部「MX Anywhere 2」にしてみました。というのは、「MX Master」から「MX Anywhere 2」へ持ち替えたとき、操作に一瞬戸惑うからです。ボタン位置や機能、サイズ感が違うから当然なんですが。ともあれ、そういうことで「じゃあデスクトップPCでもノートPCでも同じ「MX Anywhere 2」を使ってみよう」と。

 結果、これまた当然ではありますが、手に触れるインターフェースが統一されると、快適度がかな~り高まりますな♪ どの端末を使っても違和感ナシ戸惑いナシ小さなイラツキもナシ。「MX Anywhere 2」は、ワタクシ的にはメインのマウスとして使っていても全然問題ない快適なマウスなので、「じゃあいっその事、「MX Master」はお蔵入りにして「MX Anywhere 2」を常用しようかな」と思ったりしました。

 しかし、しばらくすると、「やっぱりデスクトップPCでは「MX Master」を使おう」と思うようになりました。なぜでしょうか?

 ちょっと前述しましたが、「MX Anywhere 2」って確かにヒッジョーにイイものの、「MX Master」と使い比べると、細々したフィーリングがけっこー違うんです。大雑把に書きますと、「MX Master」のほうが高級感や重厚感があり、それがマウス操作時のストレスの少なさにもつながっている、ということです。

 具体的には、たとえばホイールのフィーリング。まず、「クリック・トゥ・クリックモード」では「MX Master」がより快適です。「MX Anywhere 2」は回転がやや軽すぎて、クリック感も弱めで、カサカサした擦れるノイズのような音もちょっと気になります。「MX Master」のほうが「指先でスクロールを確実に制御できる」という感じで、ノイズもありません。

 それから「高速スクロールモード」。機能性はどちらのマウスも同様ですが、「MX Anywhere 2」では回転時に擦れるようなノイズが聞こえたり聞こえなかったり。「MX Master」ではそういうノイズはありません。実用上差し支えありませんが、ちょっとだけ気になる「違い」です。

 あと安定感。形状や重さの違いからか、「MX Master」のほうがより安定しています。繊細なポインター操作には、指先だけでより細かく動かせる「MX Anywhere 2」がイイと感じるんですが、長時間使い続けると安定感のある「MX Master」の方が疲れにくいかな~、てな印象。

 ワタクシの場合、デスクトップPCではイロイロな作業を長時間行いがち。ノートPCでは、あまり長くない時間、主に情報の閲覧をし、多少テキストを書いたりしています。そんな使い方の差が、「快適と感じられるマウス」の違いになって現れたのかもしれません。

 ちなみに、ノートPCで「MX Anywhere 2」を使っている場合、「やっぱり「MX Master」を使おうかな」と思うことはありませんでした。以前はノートPCで「MX Master」を使っていましたが、それを思い出して「やっぱり「MX Anywhere 2」はコンパクトでイイな♪」と思うことはありましたが。

 まあ、適材適所ってコトなんでしょうな。でも、細かなフィーリングの違いを気にしなければ、よりコンパクトで汎用性も高めの「MX Anywhere 2」が、多くの人にマッチするのではなかろうか、と思います。ともあれ、手で触れて常時使う重要なインターフェースなので、購入の吟味はぜひ実機に触れつつ行ってください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。