スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

イロイロできて2万円少々、高満足度のフラッシュ「i40」

イロイロできて2万円少々、高満足度のフラッシュ「i40」

 今回のブツはニッシンデジタルの「i40」。デジタルカメラ向けのクリップオンフラッシュ(いわゆる外付けストロボ)ですな。コレを使っている人の実物に触ったら、想像以上にイイ感じだったので購入しちゃいました♪ Amazonで2万1570円でした。

ニッシンデジタルの「i40」。ガイドナンバー40のクリップオンフラッシュで、電源は単3形電池×4本(アルカリ乾電池/ニッケル水素二次電池)。このクラスでは世界最小で、本体質量も203gと軽量です。キヤノン用、ニコン用、フォーサーズ用、ソニー用が発売中で、富士フイルム用は「発売日未定」となっています。

 買ったのはフォーサーズ用。もちろんマイクロフォーサーズ機にも使えます。購入理由は「これなら仕事でもかなり使えそう」と思ったから。

 具体的には、まず自由度の高いバウンス撮影ができそうな点。バウンス撮影とは、被写体に直接フラッシュ光を当てず、壁や天井などを使ってフラッシュ光を反射(バウンス)させて被写体に当てるというフラッシュ撮影方法です。この方法だと、被写体への光の当たり方がより自然な雰囲気になり、写真が好印象化することが多いんですな。i40は、この撮影方法にも十分対応できる「各部の可動の自由度の高さ」と「光の強さ」があります。

 それから、TTLオートでもマニュアルでも使えるということ。露出(明るさ)決定を全部カメラ任せにもでき、手動で発光量の調節もできます。詳しくは後述しますが、i40の場合、それら以外にも多彩な発光モードを使えます。

 このあたりまでデキるクリップオンフラッシュって、フツーはけっこー大きめ重めになりがちです。まあ大きめ重めと言ってもクリップオンなので、携帯できないほどって感じではナイんですが、やはり機材は小型軽量なほうが有利。上記のような機能を備えたほかのクリップオンフラッシュと比べると、やっぱりi40は明らかに小さめ軽めなので、迷うことなく購入したというわけです。

 ちなみにワタクシの場合、愛用中のカメラであるオリンパスの「OM-D E-M1」や「OM-D E-M10」と組み合わせて使っております。装着状態を見てみましょう。

i40をカメラに装着した様子。左が「OM-D E-M1」、右が「OM-D E-M10」ですな。たとえば純正の「エレクトロニックフラッシュ FL-600R」と比べると、サイズ感は一回り小さいです。重さは50g程度軽量。コンパクトなマイクロフォーサーズ機ボディとよく合います。

 で、とりあえず満足度を言えば「これスッゲくイイからソニー用とキヤノン用も買っちゃおうかな!!」的な。ワタクシ的観点ではかな~り汎用が利くクリップオンフラッシュです。また、詳しくは後述しますが、ダイヤル×2個による設定や操作が非常にわかりやすく快適。「これで2万1570円ならまあまあ安いよネ♪」みたいな気分です。ともあれ、以降はi40の機能や使用感について書いてみたいと思います。

充実の可動部と装備

 まずは「バウンス撮影対応のクリップオンフラッシュ」として、可動部の自由度はどのくらいなのか?

 あたりから。手っ取り早く写真で見ていきましょう。

発光部は横方向に左右180度の範囲で回転します。30度刻みで「カチカチカチ」と回転する感じですな。回転させるとき、ロックボタンを押すなどの操作はとくにナイので、手早く使えるという印象です。
縦方向には上側へ90度まで回転します。上方45度の角度でまず止まり、続けてそこから15度刻みで3段階回転して真上を向きます。この方向への回転もとくにロック機構などはありません。
横方向と縦方向の回転を同時に行えますので、カメラの上側ならどの方向にでもフラッシュ光を照射できることになります。

 これだけ可動すればバウンス撮影時に「この方向に向けられなくて困る」ということはないですな。i40はワイヤレス撮影にも対応していて、例えばカメラとは別の位置に置いて発光させることもできますが、発光部の向きがこれだけ変えられるとライティングのセッティングにも幅が出て便利スね。

 あと、「これイイな~」と思ったのは「キャッチライトパネル」と「ワイドパネル」。前者はバウンス撮影時などにキャッチライト(人物の瞳に入る光の映り込み)を入れるための白い反射板で、後者はフラッシュ光をより広く拡散させるための樹脂レンズです。バウンス撮影対応のクリップオンフラッシュには、まあフツーに内蔵されている装備です。

 が、i40の場合、これらを個別に引き出して使えるという機構になっています。また、軽い力で引き出せて、スムーズに扱えます。ワタクシ、こんなにササッと使えるキャッチライトパネルやワイドパネルを搭載したクリップオンフラッシュって初めてな感じで、軽く感動しちまいました♪

発光部上からキャッチライトパネルを、下からワイドパネルを引き出せます。同時にも使えます。軽く引き出せて軽く押し込めるあたりの使い勝手も良好。マグネットやバネで固定されていて、不意に飛び出すこともありません。

 個人的な意見ですが、多くのクリップオンフラッシュに共通するモヤモヤを感じていました。具体的には、発光部を可動させる場合はロックボタンを押しながらとか、キャッチライトパネルとワイドパネルが同時に出てくるししかも出し入れが重いとか。まあ不便とまでは行かないんですが、いちいち小さなストレスになる使い勝手だと思います。そういう細かいトコロまで気を配っている感じがするi40をイジっておりますと、メーカーのマジメ度っていうか律儀度の高さが伝わってます。

 そういう観点では、付属品の+αもイイ感じです。付属品は下の写真のとおりですが、「わーいディフューザーまで付いてる~♪」みたいに少し喜べたりします。

i40本体のほか、ソフトポーチ(カラビナ付)、三脚ねじ穴付きスタンド、専用ディフューザーが同梱されています。専用ディフューザーを使うと、被写体に当たる光をソフトにし、影や反射(テカリ)を和らげることもできます。

 ただ、難点がひとつ。i40は上の写真のポーチに入れて携帯できるわけですが、携帯時は四角い箱状態になって、微妙に嵩張る感じがするということです。ポーチのサイズは、約幅8×高さ9×奥行き10cmって感じです。

 バウンス撮影対応の多くのクリップオンフラッシュって、ケースに入れると棒状で、カメラバッグの隙間にスルリと収まったりします。が、i40の場合はケース入り小型ズームレンズ程度には嵩張り、バッグの中で少し場所を取るというイメージなんですな。

単3形電池×4本で使える高機能フラッシュ

 さらに細かい部分を見ていきましょう。前述のとおり、電源は単3形電池×4本で、コンビニなどで買えるアルカリ乾電池でも、エネループなどのニッケル水素二次電池でも使えます。アルカリ乾電池を使った場合の発光回数は、約220~1700回となっています。

i40本体を正面から見て左側に電池蓋があります。単3形電池×4本を差し込んで装着します。同社のクイックローディングシステムのような電池ホルダー的存在ははなく、丸い穴に電池をスコッと入れるタイプの電池室ですな。

 それから動作モード。TTL、オート(A)、マニュアル(M)、デジタルスレーブ(SD)、アナログスレーブ(SF)、ワイヤレスTTLリモート(グループABC)、さらにはLEDビデオライトまで使えます。フォーサーズ用i40の場合、スーパーFP発光モードも使えちゃったりします。また、手動で照射角を設定できる「マニュアルズーム機構」も搭載しています。

2つのダイヤル操作で各種モード切り換えおよび発光量調節を行えます。発光部上部には、発光の照射角を手動で切り換えられる「マニュアルズーム機構」の簡易説明がプリントされています。

 つまりカメラ&i40任せでお手軽簡単フラッシュ撮影から、自分で調光しつつのマニュアル撮影、さらにプリ発光するフラッシュに連動(同調)してのスレーブ発光、単発で発光するタイプのフラッシュに連動(同調)してのスレーブ発光あたりまで全対応って感じです。LEDビデオライトは光量9段階切り換えだったりしますな。

 ちなみに、スーパーFP発光は、非常に速いシャッター速度にも対応する連続発光モードです。オリンパスの「OM-D E-M1」と組み合わせて使うと、1/8000秒のシャッター速度でフラッシュ撮影ができたりします。試してみたら下のような写真が撮れました。

水道の蛇口から「ダラダダダダダ……」と細く流れる水をスーパーFP発光モードにより1/8000のシャッター速度で撮影しました。流れる水が静止したようになります。右は少々ピンボケでスマンス。

 それと、ワイヤレスTTLリモート(グループABC)ですが、オリンパスのカメラだと「RCモード」での撮影に対応できるということですな。i40をワイヤレスのスレーブフラッシュとして多灯フラッシュ撮影ができるわけです。

 多灯フラッシュつながりでワタクシ的なi40利用法をひとつ挙げますと、モノブロックストロボと連動(同調)させて使っています。モノブロック側は光センサーによる発光で、いわゆる「フォトセル」での連動(同調)です。このとき、i40の発光はモノブロックストロボ発光用のトリガー兼キャッチライト用で、発光量はかなり落としています。先日この方法で猫を撮影したので、少々ご覧ください。

カメラにi40を装着して弱く発光させ、それに連動(同調)して2台のモノブロックストロボが発光するというセッティングです。左のように猫の顔が下を向いていない場合、モノブロックストロボで瞳に強めのキャッチライトが入ります。よく見ると、モノブロックストロボ×2+i40で、3つのキャッチライトが入っています。右のように猫が下を向いた場合、モノブロックストロボがキャッチライトとして入らず、瞳のイキイキ感がかなり低下してしまいます。が、i40の弱い光が小さなキャッチライトとして入りますので、まあまあ使える雰囲気の写真にはなりました。

 上記の撮影セッティング、モノブロックストロボ×2台を、i40に置き換えても、だいたい通用しそうですな。幅広く使えて汎用&流用が利くi40だと感じられます。

 i40、全体的な使用感の中で「印象が良くない点」は、付属ポーチに入れたときの四角くなる感じ=嵩張る雰囲気くらい。ほかにはとくにナイです。逆に、各社の純正クリップオンフラッシュと比べると、操作がダイヤル式で非常に快適です。今時的クリップオンフラッシュって、液晶表示を見つつ各設定モードに入って設定を切り換えて……という操作感がけっこー煩雑ですな。

 でも、i40はダイヤルをカチカチカチと回すだけ。小さい方のダイヤルがモードで、大きい方のダイヤルが調光、という非常にシンプルなインターフェイスなので、撮影中に戸惑うようなことはほとんどない感じです。ただ、ちょっとだけ意識していないと、不意に大きい方のダイヤルに触れて回してしまうことはあります。

 ちなみに、i40は「キュィ~ン」と小さめのチャージ音がするタイプのフラッシュです。でも、昔のフラッシュほど大きな音ではないかも。用途次第でこの音が「邪魔」だったり「必須」だったりすると思いますが、「うるさいほどではない」ので、多くのシチュエーションで問題とはならないような気がします。

 ともあれ、シンプルに使えて、小型軽量で、機能的にも抜け目ナシな感じのi40。「ガイドナンバーは40あれば十分」てな人になら幅広くオススメできそうなクリップオンフラッシュです。コストパフォーマンスもなかなか高めだと感じられますので、興味のある方はぜひ一度ジックリとチェックしてみてください。基本的に直販のオンライン販売のみなので、ニッシンジャパンに問い合わせたところ、「高円寺にありますニッシンジャパン本社オフィス(ニッシンデジタル・ダイレクト高円寺店)でのみ、お手に取ってお試し頂けます。営業時間は10~17時・日曜祝日はお休みです」とのことでした。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。